403 自慢します
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ネモさんと海斗さんとミサキちゃんの幸せを見届けた次の日、私はフェアリーさんのワンルームにいた。
ちなみに初心者さんたちのトレンドは今、オークの本拠地な惑星でのオーク討伐らしい。
私に関しては、オークはもうお腹いっぱいなので、ワンルームでアリスと雑談配信をする。
「アリス、見て見てー」
「見る見るー、です」
ちなみに、初心者さん達のトレンドはオークらしいけど、私のトレンドはアリスです。
「この機械、買ったの!」
「自動湯沸かしポットですか?」
私が〈時空倉庫の鍵〉から取り出したポットほどの大きさの機械を見て、アリスが首をかしげた。
❝おー、スウたんアレ買ったのか!❞
❝高いやつ❞
私は鼻を高くする。
「ムフー。ポットじゃないよ。コレの使い方はね――ここに使用済み薬莢があります」
「え、拾ってきたんですか?」
「使用済み薬莢とか拾って売ってるプレイヤーさんが、たまにいるんだよね」
「―――ご苦労が忍ばれます」
❝俺も前にやってた・・・・バーサスフレーム壊れちゃって・・・❞
❝MoBの狩り場とかでな・・・❞
薬莢拾いは、バーサスフレームを失いクレジットも勲功ポイントも底をつきたプレイヤーさんの最終手段の一つらしい。
NPCさんの印象が良いプレイヤーさんはアルバイトに誘われたりするらしいんだけど、NPCさんとの交流する間もなく全て無くした人や、NPCさんの印象が悪い人は、こういう事でないとクレジットや勲功ポイントが溜められないんだとか。
薬莢を拾って売って、銃を買う。銃を持って生身で遺跡などに入り、勲功ポイントを貯めて、バーサスフレームを買い直すという流れ・・・・本当に大変そう。
ちなみに以前、私が3章に導いた事でバーサスフレームや勲功ポイントが配られた時は、クレジットや、ポイントが底をついているプレイヤーさんからすんごい感謝された。
私の配信中のコメントや、アーカイブのコメント欄、SNSなどに感謝の言葉が大量に書かれていたのを思い出す。
❝でも最近は、沖小路宇宙運輸が荷物運びのクエスト出してくれててなあ❞
❝そうそう、助かってる。ありがとうスウたん❞
「え!? ――私、そんな話全然しりませんよ!?」
❝子会社の事知らないのかあ❞
「全然ですね・・・」
フーリに任せっきりにしてたら、なんか知らない内に、スーチャンネルの印象が良くなってる。
「・・・と、とりあえず私も薬莢拾いは大変そうって思ったので、一杯使用済み薬莢を買って来ました。で、ここに弾頭と、銃弾用火薬と、雷管用の火薬と、雷管保護用の蓋があります」
「はい」
「これをこのポットみたいな機械の蓋を開けて、全部中に入れて。そしてスイッチオン――すると!」
しばらく低い作動音がして、チーン。という音がなった。
すると、下の出口からジャラジャラと新品同然になった銃弾が一杯出てきた。
「売ってる弾薬の2/3の値段で、この通り!」
「おおお!」
「これは9ミリ口径だから、アリスにあげるね」
「助かります!」
私は続いて.45口径の弾を新品にしながら話す。
「ま、この機械で元を取るには、何万発も打たないと駄目なんだけどね」
しかも私、まだまだ弾薬とか無料補給できるし。
「・・・・この機械は、趣味ですか?」
「・・・うん、趣味――私一人じゃ元取れないよねぇ」
「では、空母に置きませんか? ――スウさんって、戦艦は沖小路宇宙運輸に貸し出していますし、空母で」
「それいいね! アリスとかに自由に使ってもらえたら、嬉しい」
「わたしも、空母に何か機械を設置しましょうか。みんなの場所を、みんなの手で豊かにしていくのは、楽しくて好きです。役に立てたーって思えて」
そうそう、MMOとかでクランハウスをみんなで成長させるのって楽しいよね。
「じゃあ、あれ欲しいな。弾倉に自動で弾丸を装填してくれるやつ」
ロイトさんの射撃場に有ったやつ。
「そんなの有るんですか!? 弾倉への弾込めって、一発一発込めるの大変なんですよね。〈時空倉庫の鍵〉があるので弾倉をいくらでも持てるのは良いんですが、何十個も弾倉に装填するだけで疲れ果ててしまいます。指を怪我することもありますし」
「私は手動で素早く弾込めできるやつは持ってるんだけど、自動は持ってないんだよね」
「じゃあ、自動で弾込めをしてくれる機械を買いますね!」
❝MMOとかで、クランハウスを発展させたりするの凄く楽しいんだよなあ❞
私は、コメントに同意する。
「たのしいですよね!」
「ですね!」
「まあ、後から入ってきた人間がちょっと居心地悪かったりするんですけどね」
「と言っても入ってきたのって、綺麗くんと綺雪ちゃん位だからなあ。あの二人はなんていうか、弟と妹みたいな感じだし」
「まあ、ウチはあんまり人が増えるクランでもないですからね。とりあえず、新しい人が入ってきた時はお任せ下さい。――あ、そうだ。スウさんは詳しそうなんで質問なんですが、銃弾って色んな種類あるじゃないですか。どんなのを選んだら良いんですか? 弾丸の重さとか火薬の特性が違ったりするらしいじゃないですか――あと、敵にぶつかったときに糸に変形して引き裂く奴とかもありますし。FLには対象を凍らせたり、当たったらプラズマ化するのとかもありますし」
「プラスマ化かあ、跳弾しないから良いらしいよね」
「――あと燃えるとかもあってビックリしました」
「それは地球にも有るよ、アメリカなら一部の民間人も買えたりするよ。拳銃用のもある」
「マジデスカ」
❝マジカヨ❞
「ちなみに、焼夷拳銃弾って言うんだけど。ピストルカービン・ニューゲームで的に向かってフルオート連射したら、煙幕みたいになって的が見えなくなった」
❝そりゃ・・・煙が発生するよねえ❞
❝モデレイター(音子):ニューゲームのフルオートってなんやねん。そんな事できるん?❞
❝音子さんだ❞
❝音子さんもよーみとる❞
❝わからないです❞
❝てか、そんな事してた?❞
❝ピストルカービンだから、たまにグリップから長い弾倉がはみ出てるマシンガンみたいなの使ってたじゃん。アレだと思う――俺はずっと「あれは、どこで手に入れたんだ?」って思ってた❞
❝連合のサイトに、あんな武器の記載はないんだよねえ❞
・・・・ロイトさんプレゼンツだから。
400話行きました!
表示によると、ここが400話らしいです!(消したり足したりしたので話数が変なことに)
思えば遠い場所にきたもんです。
これからも『フェイテルリンク・レジェンディア ~訓練場に籠もって出てきたら、最強になっていた。バトルでも日常でも無双します~』を宜しくお願いします!




