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355 マイルズとコンビします


 なんて私とマイルズはやり合ってるけど、実は私達のいる上空も結構激戦。

 FLの戦闘は空中戦すら、撃ち合うのは1キロ以内の近距離戦闘になる。レシプロ機の時代みたいな交戦距離。


 狙撃ですら、20キロ以上はまず離れない。

 惑星の大きさにもよるけど15メートルの身長のバーサスフレームでも、地平線とか邪魔で、あんまり先まで視えないし。


 空からなら何百キロ先とか見渡せるけど、敵がレーダーに映らないから遠くを狙えない。

 しかし〝大気中の空中戦〟ならやっぱり戦闘機が強い。という訳で、現在私とマイルズが小隊を組んで大暴れしていた。


 時にはマイルズがおとりになって、彼は敵に自分を追わせ蛇行しながら敵機を、私の前に引きずり出す。

 私は罠にかかった敵機を撃墜する。


 逆に、私が戦闘機での格闘戦をしている時に他のオーク機がちょっかいを掛けようとするなら、マイルズがもう一機を牽制。私とマイルズで互いの状態を見ながら、隙あらば分隊を組んでいるオーク機を撃墜。

 敵の数がこちらより多くなれば無理せず、相手に向かい合うように(正面対決(ヘッドオン)に近い状態)ですれ違う。

 この時はアンロード加速(僅かに機首を下げて抗力を減らし、水平飛行より速く飛ぶ機動)

 さらに三択ブースト加速を掛けたり、リミッターを外して一気に逃げる。

 ――そういえば昔、この戦い方を綺雪ちゃんに教えたなあ。

 そんな感じで、私達はオーク戦闘機を圧倒していた。


 広域通信から、知らない人の口笛が聞こえた。


『ひゅ~、流石勲功ポイント1位と、最狂プレイヤー』

「最強だなんて、そんな」


❝知らぬは❞

❝本人❞

❝ばかりなり❞


「え?」


 なにか私の噂を、広域通信でしている人もいる。


『スウってさ、VRトレーニングで強くなったんだろ? 俺も頑張ったらあれくらい出来るかな?』

『VRトレーニングで24000時間やればな』

『に、24000!?』

『俺は以前、時間を聞いて心が折れた』

『いやでも、頑張れば・・・』

『今の攻略スピードから考えると、多分――お前が24000時間の訓練終わらせる頃にはFLの攻略終わってんじゃね? しかももう〖奇跡〗とか〖幸運〗は手に入らないらしいし。手に入って〖黄金率〗って下位互換がやっとだって噂があるぞ?』

『う・・・なるほど・・・・スウは前半の混乱期や、見返りの少ない時期に訓練をしといて、一気に美味しいところばっかりを貰いに来たってわけか』

『いや、スウが出てきて活躍して一気に美味しい所まで進めてくれたんだよ』

『え、スウがいなかったら、今も美味しい所まで行けなかったの!?』

『1年半30層のボス攻略がストップしてたからな――てかそれ以前にお前は、この間初めたばっかだろうが。あとスウはFLの訓練始める前に、既に1万時間以上FPSやりまくって、そこでも伝説残してたからな』

『畜生! スウさんありがとう!』


「えっと、いえいえ?」


(にしても)


 私は、このあたりの地図をみる。私達の進んでいる方向――進軍先の地形が複雑なんだよね。

 切り立った山とか、崖とか。

 もしかしたら、奇襲が有り得るかも知れない。

 でも、そんなバレバレな奇襲が来るだろうか?

 タタセさんも奇襲を警戒してるらしく、通信が入ってきた。


『皆さん、この先の地形が複雑です。奇襲に警戒して下さい』

『はーい』

『おっす』


 返事があって、みんな山の上や、崖の下に注意を巡らせだす。


『スウどう思う?』


 マイルズからの通信。

 私は雲海の向こうにそびえる金床雲(背が高くなりすぎて、上が平たくなった入道雲)を見る。


「この惑星の雲って、地球とはちょっと違うけど――ねえ、マイルズ・・・あの金床雲――大きな物が隠れられるよね」

『ん――あの積雲か・・・・』

「で、みんな崖下とかに注目してる」

『―――なるほど』

「あの雲を、偵察に行ったほうが良いかな? って思った」

『よし、行くぞ――お前は特別権限ストライダーだったな。自由に動いて良いのだろう? 誰かに命令して、連れて行くことも出来る。ならば』

「うん。――じゃあマイルズに命令するね。マイルズ・ユーモアは今から私と一緒に、あの雲を偵察に行く作戦を遂行しなさい」

了解(ラジャ)


 私とマイルズが、同時にスロットルを前に倒す。

 するとタタセさんから慌てた通信が入った。


『あ、スウさん、そんなに隊列を乱さないで下さい!』

『私スウは、今から特別権限ストライダーとして行動します』

『え、あ――じゃあ、どうぞです・・・』

『というわけで、ちょっとあの積雲の中を偵察してきますね』

『積雲・・・? ――あ、そうか!』


 タタセ・アルジェントさんが納得の声を出した瞬間、私とマイルズに積雲の中から砲撃が飛んできた。


「やっぱりいた!!」

『手柄だ、スウ』

「でてくるよ!!」


 金床雲の中から伸びてくる船首――巨大だ、FLの戦艦より巨大。

 機首だけであのサイズだと――全長3キロは有るんじゃないだろうか。

 タタセさんも驚愕する。


『なんですかあの巨大戦艦は!? ――我々連合でも、あんなサイズは浮かせられませんよ!?』

『初心者クエストかと思っていたが、これはなかなかどうして――一筋縄でいかないクエストになったな』

「いける?」

『ボクとお前を、誰だと思ってる』


 巨大戦艦が、地上に向かって砲撃を開始した。

 地面でヤバイ位の大爆発が起きてる。


『ちょ、うわあああ!!』

『バリアが一撃で!!』

『3択ブーストを掛けながら下がれ、交代しろ!!』


 私は、皆さんにアリスが行っていたコツを伝える。


「みなさん、バリアだけじゃなくて物理的な盾も使って下さい!! そうすればバリアへのダメージが少なくなります!! ――それから砲撃の間隔が有ると思いますから、タイミングを読んでバリアのブーストを掛けて下さい!!」


 タタセさんの必死の声が、私とマイルズに掛かる。


『このままじゃ、隊列が――ス、スウさん、マイルズさん、戦艦を引き付けられますか―――!? 今、連合の戦艦が3艦そちらに向かってます!!』

『お安い御用だ』

「任せて下さい!」

「にしてもこのオークの戦闘機、やっぱりコックピットは現代地球のにそっくりだなあ。足元とか視界悪そう――今の地球の戦闘機はちょっと事情が違うみたいだけど。オークのはどうなんだろう」


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