351 選ばれます
すみません!
予約ミスりました!
『こっちにも、絶望がいた・・・・!』
『・・・上位勢って、本当にメチャクチャなのね』
『どうやったらあんな事になるのかしら』
ブルーテイルが顎に手を当てる。
『また少しランキングの距離が縮まったな。もうお前は、完全に2位だろうな。――というか、たった9ヶ月でそんなに稼ぐとは』
こんな風にみんなで自己紹介をしていると、62層の攻略に参加するらしい人たちが続々と着艦してきた。四角い離着艦口からバーサスフレームがどんどん入ってくる。
見れば空母とかも一杯来てる。戦艦はあんまりいない――やっぱり初心者さんが多いのかな。
「本当に人が多そうだね、今回」
私が近づいてくる沢山の輝きを眺めていると、ブルーテイルが頷いた。
『オークの巨大な拠点が有るらしいからな』
「なんか、大戦争になりそうな匂いがしてきた」
『なるだろうな。しかもここはジャングル惑星だから、乱戦になるかもしれないぞ』
「乱戦は同士討ちが怖いなあ――にしても大分銀河の中心に近づいてきたのに、まだまだ生命に溢れてる惑星があるんだね」
『条件が良いみたいだな。この惑星も、元はテラフォーミングされた星だしな』
ロブをハンガーに収めながらタマさんが尋ねてくる。
私も泳ぐの止めてハンガーに行かないと、着艦してくる人たちの邪魔になるや。
『なになに、銀河の中心に行くと生命が減るの?』
私はタマさんの隣のハンガーに、フェアリーさんをドッキングさせる。
「そうらしいです。恒星が増えたり、金属が減ったりするんで生きるのが難しくなるみたいです」
『恒星が多いと危険な天体現象が増えるからな――とはいえ、ガンマ線バーストにでも曝されなければ大丈夫だろう』
私とマイルズが返すと、タマさんが感心した。
『マイルズちゃんはともかく、スウちゃんも詳しいのねぇ』
マイルズもブルーテイルをハンガーに収めながら、タマさんたちに尋ねる。
『お前たちも、俺やスウとパーティーを組むか? 良いか? スウ』
「マイルズが良いなら、私は大歓迎」
『おおっ、それは助かるぜ!!』
『スウちゃんと、マイルズがパーティーにいれば凄く助かる!』
『アタシたち、このところ凄くラッキーねぇ。スウちゃんの幸運パワーかしら』
こうして私達はパーティーを組んで、オーク攻略戦――ジャラルグ作戦が開始された。
「じゃんじゃんジャングル、じゃんじゃんジャングル。じゃーんじゃーんジャングル~、じゃんじゃんジャングル~」
私が歌っていると、マイルズが通信を入れてきた。
『なんだその歌は』
「今考えた」
『悪くない、続けろ』
「そう言われても、即興だからここまでしか思い浮かばないし」
私達5人は広大なジャングルを、小高い丘空眺めていた。
見渡す限り一面を緑大地を緑が覆い尽くし、緑を緑が覆い返すような。広大な森。地平までずっと緑だ。
そこを雄大な河が沢山走っている。湖もかなり多いように見える。
『残念だな』
「そんなに?」
『お前の声は、愛らしいと思うぞ。よく通るし心地よい』
「なっ! ・・・・そ、そそそ、そー言うことを普通に言うなぁ! 恥ずかしい!! 配信始めよ。マイルズをユニコーンさんに怒ってもらうんだ」
『ボクはお前の視聴者に何を言われても、気にしないがな』
私は、エレハントさんたちに訊ねる。
「みなさん、配信をして大丈夫ですか?」
『構わないぜ』
『問題ないわ』
『いいわよ~』
という訳でSNSで呟いてから配信開始。
❝配信来ちゃー!❞
❝スウスウスウスウ Herスウ! Herスウ! Herスウ!❞
「みなさん、こんにちわです。今日は62層のオーク攻略戦に来ています。パーティーを組んでてマイルズと、それから知り合ったエレハントさん、レナさん、タマさんという方と一緒です」
❝マイルズ、またか貴様ー!❞
❝マイルズ以外、全然知らない人ばっかだなあ❞
❝スウとパーティー組めるとか、うらやましすぎる・・・・どんな幸運だよ、それ❞
『ちわ、エレハントだ。初めて一年も経ってない初心者だ』
『こんにちわ? こんばんわ? こっちは昼だけど――地球はいま夜だっけ? レナです。同じく初心者です』
『やっほー、タマよぉ。一番の初心者よぉ』
❝女子いるじゃん、女子!❞
❝オネェもいるぞ!❞
❝戦場は、いまどんな状況?❞
「偵察部隊が、オークの拠点を偵察してます。あ、地図が送られてきました。敵のレーダー施設を破壊して欲しいらしいですね」
『ボクとスウを、名指しだな。他二人が選出されているらしい』
「――ええ!? 私来てること、銀河連合にバレてるの!?」
『そりゃバレるだろう。行くぞ、スウ』
『俺たちは待機か』
『二人共頑張ってね』
『頼りにしてるわよぉ』
ブルーテイルが人型から戦闘機に変形して、空に上がる。青い機体がカッコイイ。
私がフェアリーテイルを戦闘機にして後に続くと、マイルズがこちらに尋ねて来た。
『スウ、ロッテ戦術か、エレメントは知っているか?』
「2人1組を、分隊とするやつだよね」
ブルーテイルが速度を上げると、テーパー翼が前進翼になった。
やっぱり前進翼はいいよね。私のフェアリーさんも前進翼だけども。
『シュヴァルムか、フライトは知っているか?』
「分隊2つ、4人で小隊」
『編隊飛行のやり方は?』
「ちょっと知識古いかもだけど、それで良いなら大丈夫」
『まあ、航空ショーで実力を見たしな――よし。戦闘力の高いお前が長機をやれ、ボクは僚機に回って警戒や援護を行う。ボクなら、お前にでも合わせられる』
「わ、分かった。あ、他の二人が来たみたい」




