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349 初心者特訓を終了します



 皆さんがびっくりして、水柱を見る。


『え、敵が居たの!?』

「みたいです」

『な、なんでわかったのよ、あんな泥沼みたいな河なのに水中がみえたの!?』

「湖面が揺れました。揺れ方が早くて、生物じゃなくてエンジンぽかったんで――ん、虫の声が止んだ・・・・鳥が逃げた――そっちから来ますよ!!」


 私が河の対岸に銃を向けると、やっぱり出てきた。

 人型コボルト機3体。


『虫の声ぇ・・・!?』


 言いながらもエレハントさんが前に出て、バリアを張ってくれる。

 雨を弾く傘みたいに、バリアが弾丸を防ぐ。

 レーザーも飛んでくるけど、バーサスフレームの表面で溶鉱炉の鉄が流れていくみたいに弾かれながら熱が吸収される。


『マジに出てきやがった――!』


 タタセさんから指示が入る。


 今は彼女も、ロブに乗って私達の真ん中にいる。


『みなさん、戦闘態勢に入ってください!』


 私と、レナさんで一斉射撃。

 犬の頭をした機体が一体、蜂の巣になる。


 コボルトは遠距離戦は不利と見たのか、犬の顔をした機体がロケットを噴かして水面を飛んでくる。

 すごい水蒸気が巻き起こって、敵機が見えにくくなる。

 さらにレーザーを水面に放たれて、水蒸気だらけにされた。


『うわっ、見えない!!』

「ここです!!」


 私が〈臨界黒体放射〉を放つと、上がる爆発と水柱。


『―――は? 全く見えなかったよな?』

『・・・なんで分かったの?』

『スウちゃん、自信満々で〈臨界黒体放射〉撃っちゃってるけど』


 〖マッピング〗を使えば一発だけど、今回は使ってない。


「相手のやりたい事を読むんです。相手はまずヒーラー機を狙うはずです。ならそっちから来るはずですから――もう1体も来ますよ!! あと、後方に気をつけてください!」

『なるほど、それは司令官としても――え、後方ですか!?』


 サルとかが森から逃げ出したあと、やっぱり出てくるコボルト機。――多い10体。


「相手が数的にも圧倒的不利なのに、自信満々に攻めてきましたし、水蒸気で時間稼ぎしたりして来たので、本体は別の場所だと思ったんです」

『すみません、――司令官なのに、気づかなかった』

「じゃあ、タタセさん。ここから何をどうしますか」

『えっと、スウさん河の方のコボルトをお願いします! エレハントさん後方の敵の前へ! 敵の攻撃を耐えつつ、レナさんと私で火力を集中して、屠っていきましょう! タマさんは回復をお願いします!』


「了解しました!」

『アイ、マム!』

『はいっ!』

『了解よ!』


 私は水蒸気の上へ飛ぶ。やっぱりコボルト機が、上を取ろうとしてる。

 ここで簡単に倒してしまっても良いんだけど、ちょっと4人の様子を見ようかな。


 スワローテイルでコボルト機の顔面に蹴りを入れて、河に叩き込む。

 そして私も河に飛び込み、シンクロナイズドスイミングをしながら、皆さんの戦いの様子を見学。


 ばしゃー

 ざぱー


『ちょ、スウなにしてるんだよ(笑)』

『やめて、笑っちゃってお腹痛くて手元狂うから(笑)』

『スウさん!?』

『あの子、お茶目なところもあるのねぇ(笑)』


「いいですね皆さん、岩も使ってバリアを温存したり、ベストポジションです。次は森の中で移動しながら戦ってみませんか? 仲間の位置はマップで確認できるんで、マップを意識しながら戦ってみてください。十字砲火を組む感じで」


 私は、水中でこちらに向かってくるコボルト機を爆散させて皆さんの下へ向かう。


『おーけー先生!』

『わかったわ!』

『なるほど。では私の機体も盾ですので、私とレナさん。エレハントさんとタマさん。できるだけエレハントさんが引き付けてください!』


 タタセさんも戦うようだ。


『アイ・マム!』

『はいっ!』

『いくわよー!』


 という感じでジャングルで訓練したり、宇宙で訓練したり。


 そこから、もう3日ほど訓練を見ることになったんだけど、みなさん忙しくて。

 でも、途中で気づいたんだ。

 私は銀河連合に連絡を入れる。


「あの――もしかしてVRの時間を12倍にするんじゃなくて、6倍くらいなら負荷も抑えられますか?」

『そうですね、その位なら気絶とかの報告はありません』

「あ、じゃあ――」


 タタセさんは忙しくて途中で抜けちゃったけど、6倍で訓練を開始。

 でも三日目にみなさん、変な笑い方をしだしたんで訓練は中断する事にした。

 ・・・・やっぱ6倍でも脳への負荷が大きいのかな・・・。


 というわけでVR訓練が早めに終わって時間が余ってしまったので〈マッピング〉を取りに行く事にした。


 タタセさんも呼んでみたけど、印石を使えないのでそもそも意味がなかった。

 タタセさん本人はちょっと残念がってた。こればっかりは・・・・仕方ないよね。


 全員に、グレムリンからでた印石の紐を接続して渡す。

 もちろん配信は切ってある。


「〈マッピング〉に〈飛行〉に〈超音波〉に〈超聴覚〉まで、なんで今日はこんなに出るんだ!? ワロロロ」

「私も4つ出たわよ!? イヒヒヒ」

「アタシまで、どうなってるの今日は!! あびゃびゃびゃ」


 私は、とぼけて遠くをみる。

 あとみなさんの笑い方が心配。アリスとリッカも最後の方へんな笑い方してたけど。


「なんかこう、タイミングとかあるんでしょうか?」


 洞窟だから、すぐ側が壁だけど。


「まあ、なんとなくこんなに出てるのもスウのお陰なんじゃないかなとは思ってるよ。有難うなスウ! ワロロロ」

「そうよね、どう考えてもスウちゃんのお陰よね! イヒヒヒ」

「隠しきれてないわよねぇ。あびゃびゃびゃびゃ」

「ひ、秘密にしてくださいね!!」


 皆さんが微笑む。


「ワロロロ。あたぼうよ」

「イヒヒヒ。口は堅い方よ」

「あびゃびゃびゃびゃ。わかってるわぁ」


 微笑みにしてはなんか、凶暴な顔だったけど。


「じゃあ今度は、62層で会いましょう!」

「おう! ワロロロ」

「うんうん! イヒヒヒ」

「またねぇ! あびゃびゃびゃびゃ」


 こうして、デブリ掃除から新しい出会いがあったのだった。

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