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346 デブリ集めを体験します


 通信士の女性のちょっと弾んだ声が聞こえてくる。なんか嬉しそう。


『やはり、今回もいつものメンバーですね』

『エヘヘ。俺あんま腕が良くないんで、ゴブリン辺りを相手にしたりデブリ掃除とかで稼がないと』

『あたしもあんまり稼ぐチャンスないから、クレジットがカツカツで』

『いえいえ、いつも助かっています。こういうのに参加してくれるプレイヤーさんは少ないので』


 どうやらみんな顔見知りみたい。いつも仲良くやってるのかな。

 女性の通信士さんが、説明を始める。


『いつも通り、デブリが小さい物ほど高い感じで、ダスト集積艦に放り込んでください。えっとではIDの確認を、エレハントさん、レナさん、ス――スウさん!?』


 私の名前を呼んだ通信士さんの声が、引き攣るのがわかった。


『えっ、〖ザ・ワン〗が、なんで居るんですか!?』


 通信士さんの後ろが、騒がしくなるのが分かった。


「あっと・・・・駄目ですか? ――興味があったんで」

『いえっ、駄目ではありませんが・・・・! ザ・・・〖ザ・ワン〗であるスウさんの腕を使わせるような作業でもないんですが・・・・』

『マ、マジか――スウかあ。スウいると俺等のデブリ残るかな?』

『まあ、デブリはそこら中に浮いてるし』

『ま・・・まさか特別権限ストライダーで、〖ザ・ワン〗な上にアインスタの方が、こんな地味なクエストに参加してくれるとは思いませんでしたので、驚いてしまいました。――で、では気を取り直して・・・掃除用具を射出しますんで受け取ってください』


 なんか黒い球体がついた棒が、こっちにゆっくり飛んでくる。

 なにこれ?


『重力発生装置のついた棒です。それでデブリをくっつけて集めてください』


 掃除用具まで、超科学。


「えっと、デブリ集めとか初心者なので、皆さんよろしくお願いします」

『お、おう』

『スウさんに「初心者です」とか「よろしく」とか言われても、コッチが困惑してしまうわ』

『スウさんも、デブリを引き寄せて集めたら、あの虎縞の艦がダスト集積艦なのでよろしくお願いします。――作業を始めてください』


「はい。じゃあリイム、しんどくならない程度まで〖アポート〗でデブリをあの棒の先付近まで引き寄せてくれる? 〖念動力〗」

『おぅい、普通にスキル使うんかい!!』

『いきなりチート全開!!』


「あ――っ! だ、駄目ですか!?」

『いいけど!!』

『羨ましいだけ!! 〖アポート〗とかデブリ拾いにピッタリ過ぎるし。あたし、戦いの腕がないからペットは戦闘力に全振りよ!』


「じゃ、じゃあちょっと遠くのデブリを担当しますね」

『う、うん』

『ありがと!』


 デブリって、結構な速度で飛んでて危ないなあ。

 爆散した時の慣性とか、残ったまんまだもんね。

 あ、印石出てた。

 〈繁 殖 力 強 化〉。

 よし。〈時空倉庫の鍵〉入りだ、君は。


 私がフェアリーさんで、棒の先でデブリを集めたり、ひょいひょい掴んだりしていると、周りがざわついた。


『うっそだろ・・・なんであんなに簡単に掴んでるんだよ――メチャクチャ速い速度で飛んでるデブリまでひょいひょいって・・・・』

『相対速度を合わせるのが早いし、うますぎるのよ』

『あの手早さでデブリ集めるのは反則だわー』


 え、デブリ集めってそこまで難しいの!?

 なんて困惑していると、先程の女性通信士さんから慌てたような通信が入ってきた。


『すみません、デブリ集積艦にプチ・ヒドラが入り込んできました!! どなたか何とかなりませんか!!』


 おっ、これは〖仲間〗補充のチャンスかな?


『お、俺には無理だよ!!』

『そんなのと戦えない!!』

『あたしにも無理だよ』

「今、行きます」

『おおっ。そうだ、スウさんは以前プチ・ヒドラの討伐をしていましたね! ・・・・たまたま今日に限っていてくださって、本当によかった!』


❝マジで幸運だったなあ、銀河連合❞

❝スウたんは必要なときに、必要な場所にいること本当に多いよな❞


 私はフェアリーさんを、集積艦に着艦させる。


『着艦うめぇ(笑)』

『あんな相対速度合わせるの早い人類、いていいの!?』

『羽毛が着陸するみたいに降りたんだけど(笑)』

『普通、宇宙だとガッコーンとか、ぶつかるみたいに着艦するんだけど』


❝なんたってスウだからな❞

❝スウにとっちゃもう、朝飯前どころか、睡眠中でもできるんだよなあ❞


 睡眠中は、無理だから。

 私はケンタウロスユニットを履いて、フェアリーさんから降りる。

 攻撃のためではなく、移動しやすいように。〖飛行〗でも良いんだけど、一応。


「リイムはお留守番しててね」

「コーケ」(はあい)


 いいこいいこ。

 リイムを撫でた私がフェアリーテイルから降りると、さっきの通信士の女性が駆け寄ってきた。


「スウさんこっちです!!」

「はい!」


 アサルトライフルを構えた水色の制服の通信士さんに、案内される。

 いた・・・人の身長くらいの三つ首竜、プチ・ヒドラだ。

 私はプチ・ヒドラをボコして、


「〖仲間〗」


 仲間にしました。

 

『マイマスター、連合クレジットが10万、勲功ポイントが20万振り込まれました』

「結構入ったね」

『マイマスター以外には、プチ・ヒドラは脅威ですので』

『スウさん、幾らもらったの?』

「え、えっと」


 言って良いのかな。


『配信見てたけど、連合クレジットが10万、勲功ポイントが20万だって』


 あ、バラされた。まあ配信してるんだしなあ。


『・・・・すげえ。――万年金欠の俺らとは違いすぎる』

「あ・・・・あとで何か奢りましょうか・・・・戦艦内でもサリハラでもいいですし」

『マジで!?』

『やった!!』

『ずるいわぁ! アタシもアタシも!!』

「―――全員でいいですよ」


 クレジットなら、この間もアテナ戦で2500万とか手に入っちゃったし。


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