337 特訓開始します
すみません! 投稿遅れました!
タイトルは待って下さい!
ちなみに戦闘機形態の時は弓を背中にくっつける。弓と蝶の羽根の形が近くて収まりいいし、カッコイイので好き。
クレイジーギークスに与えられた格納庫に向かっていると、小学生っぽい男の子と女の子がエッグ・モンスターを追いかけていた。
「きゃっきゃ」と楽しそうに追いかけている。エッグ・モンスターが、明らかに速度を手加減している。微笑ましい。
私達は、格納された戦艦マザーグースに入って、さらに空母ティンクルスターに入った。
格納庫では、空さんとコハクさんがゴザを敷いて、サンドイッチをつまんでいた。
「あ、皆さん。こんにちは」
「スウさん、アリスさん、リッカさん、こんにちわー」
「みんな、やっほー」
二人はよくアトランティスで寝泊まりしてるらしい。
私が挨拶すると、こっちに気づいたコハクさんと、空さんが手を振って挨拶を返してきた。
リッカとアリスも挨拶をする。
「こんにちわです」
「よーす」
空さんが、私達に訪ねてきた目的を尋ねる
「なになに、ここに来るなんて珍しいね。どしたの?」
すると、アリスがため息を吐いた。
「ヤツ等ですよ」
「あー。ヤツ等かあ」
「ヤツ等ですかー」
どうやら空さんやコハクさんも、アリスとみずきが特機に乗れていないことを知っているらしい。
「なら、奥のハンガーにいるよ。搬入されたまま、今日も微動だにしてない」
「ありがとうございます」
空さんに指さされて、私達は奥へ向かった。
現れたのは武者のような黄金の機体と、騎士のような白銀の機体。
篇世機オラクルA&オラクルB
ショーグン・ゼロやダーリン・インフィニティ(ムシャ・キャリバーや、ナイト・キャリバー)の元となった特機で、ニューショーグンや、ニューダーリン(無改造)の1.5倍の出力を持つんだとか。
アリスが彼らの前に立って、篇世機オラクルAに尋ねる。
「そろそろ、わたし達を認めてくれませんか?」
するとオラクルAが反応した。
『お前たちでは我等を使いこなせぬ。潔く身を引け』
マジで喋るんだ・・・・流石、特機。
そういえば光神機モールスも喋ってたっけ、『トン』と『ツー』だけだけど。
アリスは少しイラっとした様子で、篇世機たちに尋ねる。
「どうやったら認めてくれるのかも、教えてくれないんですか?」
『使いこなせればよい。そう、そっちの頭のおかしい女ならば乗せてやっても良い』
・・・・いきなり頭がおかしいとは、失礼な。
アリスとみずきが唸る。
「・・・・・・やっぱりですか」
「・・・・・・なるほどなあ」
二人が、私を振り返る。
「え――私を見られても・・・! 私は、人型形態しかない篇世機には乗る気無いよ!?」
『極めて残念だ』
オラクルAが首を振った。微動だにしないって話だったのに。
「スウさん」「スウ」
「いやっ、二人共・・・・だから私は――」
「「わたしを特訓して」ください」
「あ・・・・あーね? ・・・いいけど。私の特訓は厳しいぞ?」
「誰に言ってるのですか? こちとらインターハイ優勝者ですからね」
「わたしは今年のインターハイ優勝者だぞ。ちょっとやそっとの修行じゃへこたれない!!」
「残念ながら、今年も私が優勝なんですよねえ」
「冗談を言ってる場合か?」
二人が腰の刀を抜いて、向き合う。
「止めなさい! それオリハルコンでしょ!! シルバーセンチネルだってザクザク切り裂くぞ!」
まあ流石に冗談らしく、こうして二人の特訓が始まった。
丁度今は、学校も休みだし良いかな。
VRトレーニング場。アリスとリッカが、VRを急に外して、床を張って逃げようとした。
「アゥオアゥ!!」
「モウムリDeth!!」
私は〖念動力〗で引き戻す。
「ほら、座って。まだ行けるでしょ」
暴れて泣き出す二人。
「脳が、脳が・・・痺れている!」
「せめて脳に栄養を送るために、甘いものを食べさせて下さいぃ!」
私は、銀河連合に特別にVR内の加速時間を12倍にしてもらった。
〖ザ・ワン〗の効果はマジで、結構無茶な願い事でも叶えてくれる。
にしても、やっぱりNPCさんたちの反応が更に激しくなってる。
前は私の頭上を見て「おー」って感じだったんだけど。
最近は「ひぃ!」って感じになった。
NPCさんの中には、敬礼して直立して置物みたいになる人までいる。
NPPの人には、震えだしたりする人がいる。ただ「でも、アインスタの人だ・・・よ、良かった」とか言って、震えを収めたりする。
マジで―――私の頭の上になにが有るというの?
例えばさっきは、
「あ、あの~VRの出力を12倍にあげたいんですけどぉ・・・いいですか?」
って、恐る恐る受付の人に頼んだんだけど。
「ザ、〖ザ・ワン〗のス、スウ様!! ――少々お待ちを!!」
なんて背中に杭でも打ち込まれたみたいに、背筋を伸ばして敬礼しながら叫んで、通信を始めだした。
「はい!! スウ様です!! はい、出力を――構いませんよね!! はい!!」
って感じで、
「構わないようです!『ただ、危険域に達したら切断します』との事です。あとサイン下さい!」
と、紙を差し出してきたんだよね。
「あ、そっか。同意契約書とかですか?」
私が返すと、
「いえ、私の部屋に飾る用です」
「そ、そっち!?」
こうして並んで写真を取って、そこにサインをすることになった。
お陰で1時間が12時間になった。
で、ただいま現実時間で6時間――VR時間72時間目。
二人が、とうとう泣き出した。
私には大したことないんだけどなあ。
私はアリスとみずきを〖念動力〗で椅子に座らせる。
持ち上げられた二人は、空中を這うようにして逃げようとしてたけど。
「脳がブドウ糖を欲しているんだろうけど、駄目。まだ自動切断とか兆候すらないんだし、甘いものは私から一本取ってから」
「ナニイッテンノ!? コイツゥゥゥゥゥゥ!!」
「ムリデショォォォォォォ!?」
「でも2対1だよ?」
「弓なんか、当たらないんだよ、一発も!! 弾幕が雨あられと降っても避ける人間に、どうやって弓を当てろと!!」
「フェアリーさん、早すぎて追いつけないじゃないですか!! 刀が届く範囲に入らないじゃないですか!!」
二人が猛然と文句を言うけど・・・。
「でもでも、2対1だし」
「遠距離当たらない、近距離に持ち込めない。攻略不能なんだよ涼姫は!!」
「バーサスフレームに乗った涼姫は、理不尽すぎます!!」
「だけど二人共、これは私に当てれるようになったり、追いつけるようになる訓練だし――私に当てたり、追いつけるようになりたいんじゃないの?」
「「それはそう」」
二人の返事がハモったので、私はにこやかに笑う。
「じゃあ続けようか」
「「正論パンチやめて、ムリィィィィィィ」」
こうして私は二人をVRに引きずり込んだ。
流石に、あとは現実時間2時間で勘弁してあげた。VR内では24時間だけど。
終わると、屍が2つVRチェアに転がった。
白目をむいて爆睡している。
「二人共ー、お風呂入らないと。あとそんなとこで寝たら風邪引くよ。」
仕方なく私は二人を、ショーグン・ゼロとダーリン・インフィニティの機体のワンルームに連れてって、ベッドに寝かせた。
アリスのワンルームは和風で、みずきのワンルームは洋風だった。




