336 アリスとリッカが機体に認めてもらおうとしてます
最先端アースノイド:いや、なんであんな一等地が先に埋まってるんだよ
最先端アースノイド:「クレイジーギークスだけ、先に招待されて決める権利を貰えたらしいぞ」
最先端アースノイド:ズルくね? ここのハウス一番重要になるらしいじゃん。いくらなんでも贔屓しすぎ
最先端アースノイド:だけどクレイジーギークス――てか、スウが51層に導いたし61層もほとんど誰も手も足も出ない中、スウが単騎でアテナ撃破したしなあ。ちょっとくらいええんでねえの? アーカイブ見たけど。アレ、スウでないとどうにもならなかっただろ。スウでも死にかけてたし。
最先端アースノイド:ほんと、生きててよかったよなあ。
最先端アースノイド:あそこでスウがアテナを撃破しなかったら、攻略不能になってたらしいぞ。
最先端アースノイド:それだよ、スウはなんで一人であんなに強いんだよ。明らかに印石とかのドロップで贔屓されてるだろ
最先端アースノイド:いや、それはスウの〖奇跡〗スキルのお陰だろ。スウはそこから連鎖的に強くなっていった。
最先端アースノイド:持つものが、次から次へと手に入れていく世界はんたーい
最先端アースノイド:大体なんで運営は〈奇跡〉の印石をあんな馬鹿げた難易度のシミュレーターのクエストの賞品に設定したんだよ。PvP大会の賞品とかで良いだろ
最先端アースノイド:運営曰く、PvPの実力はあまり重視してないらしいぞ。あくまで対MoBとの戦いが重要で、プレイヤー同士で戦うのはむしろ非推奨。
最先端アースノイド:そりゃ、今でもたまにいるけどプレイヤー同士でバーサスフレームぶっ壊しまくってたら、誰が資源出して労力出して負担してるんだって言ったら銀河連合だもんなあ。たまったものじゃない。銀河連合からしたらPvPやるヤツは迷惑でしかないだろ。
最先端アースノイド:PvPもPKも許されてるんだからいいだろ。
最先端アースノイド:許されてねーよ。
最先端アースノイド:なら出来ないようにしろよ
最先端アースノイド:どうやってするんだよ。FLはコンピューターゲームじゃねぇんだぞ。
最先端アースノイド:味方が斜線にいたら撃てないとか
最先端アースノイド:そして、その状況を敵に利用されるのだった。
最先端アースノイド:誤射とかまで判定してられないってだけだろ。他人の機体勝手に壊してたら、なんかの評価下がるらしいぞ。
最先端アースノイド:いや、PvPでこそ実力分かるもんだろうが
最先端アースノイド:俺はお前の考えが分からん。
最先端アースノイド:直接戦えば強い方が分かるって言ってるんだよ
最先端アースノイド:いや、だからな? MoBとの戦いなんだよ、フェイテルリンクは。目的は、マザーMoBの撃破。アンダスタン? PvPとPvEはFLでも必要な技術、全然違うだろ?
最先端アースノイド:人間みたいなMoBも結構いるじゃねえか
最先端アースノイド:小型戦闘機とか、生身で倒せるみたいなザコばっかだけどな。
最先端アースノイド:これから強いのが出てくるかもしれねーじゃん
最先端アースノイド:まあ、ベクターのアクティブなんだっけ? アレと戦うことにはなりそうだけどな。
最先端アースノイド:ほらな!?
最先端アースノイド:それならスウに挑めよPvP。そんでボコられてこい。スウは対人もアホみたいに強いぞ。
最先端アースノイド:アイツはチートみたいなスキル大量に持ってんじゃねーか。それが、そもそもおかしいって言ってんの
最先端アースノイド:じゃあスキルなしでお相手してもらえばー? 鼻ほじ。
最先端アースノイド:おう、そんなに言うならやってやるよ。んでアイツの持ってるもん奪ってやる
最先端アースノイド:どうやるんだか。
最先端アースノイド:じゃあ、手伝ってやろうか? 私、他人のスキルを取れるスキル持ってるんだけど。スウのスキル欲しかったんだよね。
最先端アースノイド:は!?
最先端アースノイド:ちょ・・・おまっ、どこで手に入れたんだよそんなチートスキル!!
最先端アースノイド:ダンジョンクリアご褒美。45階のヤツあったじゃん。あの最下層で手に入れた。
最先端アースノイド:おい、勝手に他人のスキルを奪うなよ?
最先端アースノイド:大丈夫。〖デュエル〗っていうスキルだから。これ、同意がないと奪えない。契約履行的な感じで。
最先端アースノイド:良かった、ホッとしたわ。
最先端アースノイド:んじゃあ、お前スウに同意させてスキル奪う気か?
最先端アースノイド:相手が同意するなら。〖奇跡〗辺り、貰ったら良いんじゃないの? なんか同意させる方法有る?
最先端アースノイド:〖奇跡〗・・・・奪えたらすごいけどなあ。どんな条件ならスウが呑むんだよ。
最先端アースノイド:方法なら幾つか思い浮かぶ、場所指定するから来てくれよ
私は今サリハラの新しいクランハウスのオックスさんの部屋にいる。
何をしているかと言うと、オックスさんと一緒に等身大フィギュアプラモを組み立て配信をしている。私がクリスマスパーティーのプレゼントに持ってきたやつ。
――にしても、可愛いなあこのフィギュア。
とりあえず全身の組み上げが終わって「塗装はまた今度」という話になり、オックスさんが配信を終わらせようとしていると、部屋のトビラがノックされた。
オックスさんが「どうぞ」と言うと、頭の上に乗ったエッグモンスターの稚魚にプリンをあげながら、みずきが入ってきた。
その稚魚、プリン食べるんだ?
「あーまだ、配信中?」
「いや、今終わろうとしていたところだ」
オックスさんの配信のコメントに❝こんリッカー❞とか❝相変わらずロリかわええ。お姉さん、お持ち帰りしたい❞とかいう、コメントが流れてくる。
「では今日の配信はここまで、ここから塗装か・・・・この大きさを塗りきれるのか?」
なんて言いながら、オックスさんが配信を終えた。
ほんとゴメンなしあ。
様子をみたリッカが、私に話しかけてくる。
「終わったかな。――じゃあ、ちょっとスウに相談が有るんだけどさ」
「ん、なになに?」
稚魚がリッカの頭からケロりんに乗り移った。
ケロりんが稚魚を乗せて、机の上を跳ねている。
するとアリスまで現れた。
「アリスまでどうしたの?」
「それがですね。特機が私達を認めてくれないんですが・・・・その方面ででして」
「あー、前に言ってたね」
「61層の攻略も始まっていますし、そこに参加するなら特機でと思ったんですが」
「完全にスーパーロボット的な何かだよね。アレ」
「この間、スウさんを見た特機が頭をスウさんに向けたんですよね」
みずきが肩をすくめながら、アリスの言葉をつなぐ。
「ティンクルスターの格納庫に搬入されて以来、今まで微動だにしたこと無かったのに、スウには反応したんだよなあ」
「スウさん。というわけで、ちょっと一緒に来てもらえないでしょうか」
「うん、力になれるか分かんないけど――わかった」
というわけで、やってきたサリハラの港口。
サリハラは最前線基地&今もエッグイベント継続中だけあって、沢山のバーサスフレームや空母が出入りしている。
地球の空母みたいな見た目の航宙空母もあれば、キノコみたいなのや、お団子みたいな形のまで様々。
流石に戦艦は滅多に所有者がいないので、今は見えない。
空母の隣を最近人気の新型機、サジテイルαが一杯飛んでいる。
サジテイルは、射手座の事だったかな?
あの機体は、スワローテイルの速力を控えめにて、火力を高めにした物らしい。つまりスワローテイルをマイルドにして、火力機として使えるようにした物。
そのため〈黒体放射翼〉とか扱いづらい武器はオミット。その代わり強力な弓を装備していて〈超・臨界黒体放射〉が放てるらしい。
変形すると、人馬形態になる。人馬形態は、4本足で安定した飛行が可能。
ほんと、なんで蝶から人馬なんてあり得ない発想が出てくるの・・・・で、誰を意識して作った機体なんですか、運営さん。




