227 生まれて初めてのお呼ばれクリスマスパーティーが始まります!(うれしい)
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カレーのフィギュアを買った10日後、クリスマス本番が来た。
そしたらクランのみんなや、招待した人たちとクリスマスパーティーになった。
クランハウスの酒場をクリスマスに飾り付けをして、配信しながらパーティー。
今日はジャズ用の舞台とか、売ってるクレイジーギークスグッズをどけて、お店を広くして招待客をお出迎え。
あと、アテナを撃破した時の報酬はこんな感じだった、
『60層ボス、ユニークモンスター・アテナを撃破しました。クエスト〝守りの軍神〟をクリアしました。
銀河クレジット2500万。勲功ポイント400万を入手しました。
61層から70層までが開放されました。
ホールボスを、倒したことで、★1 コモン称号:〖瞬間接着〗指先を様々なものに貼り付けられる』
この、印石じみた称号は何なんだろうなあ。まあ、〖奇跡〗の印石は連合作っぽいしなんかあるのかな。
前回に比べて報酬は少なめだった。前回はソロ撃破したり、星団連合もクリア出来なかったのをクリアしたりしたからなあ。
にしても家族以外とクリスマスパーティーするのは、実に初めて。
「ぐふふ、ぐふふ」
「どうしたんですか、涼姫――じゃなくてそろそろスウさんって呼んだほうが良いですね。誰かが配信を始めるかもですし」
アリスがオーブンの様子を確認しながら、電動泡だて機で生クリームをかき混ぜる私に尋ねてきた。
「いや、私、リア充みたいだなって」
するとリッカが「ぷ」っと、口元に手を当てた。
「恋人もいないくせになー」
「リッカ!?」
私の悲痛な叫びを無視して、リッカがダーリン・ドローンに手をふる。
「こん、リッカー。只今、クリスマスパーティーの準備も大詰めだよー。わたし以外がー」
「・・・・手伝いなさい」
アリスが、痛む頭を押さえるような仕草をした。
ちなみに今日のパーティーに呼んだのは、音子さん、ヒナさん、マイルズ。
あとリッカが結菜を呼んだ。
リッカのお友達の仲條 優子さんは、配信するなら今回は見送りと遠慮された。
あと、誰かが呼んだ・・・・ユー。
ティタティーはクランメンバーだし私が呼びに行ったので、すでに来ている。
命理ちゃんと仲良く、色紙で作ったチェーンを壁に掛けて行ってる。
あの二人はすごく仲いい、何かと一緒にいる。
そしてティタティーは、クリスマス初体験らしい。
そりゃそうだよね。
あとリイムもケロりんも、ドラ子もいる。
「コケー」(はい、ママ、お皿)。
リイムが背中にお皿を何枚か乗せて、私に届けてくれた。
――んだけど。
「リイムって、〖アポート〗で引き寄せれるよね?」
私が思わず言うと、リイムが愕然とした。
「コ・・・コケ?」(なん・・・だと?)
なんか顔だけこっちに正面にしながら、震えている。
そしてスキルを使う。
「コケ」(〖アポート〗)
ワープしてくる、お皿。
「コケー!!」
リイムがまた愕然とした表情になって、私を観た。
するとアリスが、オーブンの様子をみたままボソリと言う。
「リイム、その人の真似ばっかりしていると、運動不足になりますよ」
「コケ~」(あ~)
リイムが今度は、駄目なものを見る目になって、私を観た。
昔はアリスに全然懐いてなかったのに! なんで今はアリスに傾倒してるの!?
私がケーキのスポンジに生クリームでリイムの顔を描いていると、リッカがケーキの飾り付けに使う筈だったイチゴを切った物をつまんでいく。
こら、それ一粒5万円もする美人姫だぞ。
「リッカ、手伝いなよ・・・」
「やることがないー」
「じゃあ、サラダを作って。切って盛るだけだからさ」
「なるほど、それなら得意だー」
リッカがサラダに取り掛かった。
切るのが速いので、リイムがお野菜を運んできている。
〖アポート〗は使わない。どういう事だよ。
ちなみにケロりんとドラ子は流石に手伝うのが難しいので、ケロりんは私の頭の上、ドラ子は暖炉の側ですべての枝を広げ、光合成っぽいことしてる。
にしても――アリスがオーブンで作ってるの物が、ヤバイ。
七面鳥だ、ターキーだ。クリスマスガチ勢だ。ターキーを食べるようになったのはアメリカでの話らしいけど、イギリスでも食べるのかな。
まさか七面鳥が来るとは思わず。鶏を買ってきちゃったから、グリルはあっちに任せて、鶏は私が唐揚にした。
ちなみに、上半身が鳥なリイムは微妙な顔だった。
オックスさんが蔵から、ワインを持ってくる。
あれは・・・千年モノのワイン。
あと、千年モノの缶詰も持ってきてる。
ワインは保存をキッチリすれば1000年経っても飲めるって訊いたけど、千年モノの缶詰に関しては、ちょっと怖いんですけど。
メープルちゃんとさくらくんは、クランメンバーだけどまだいない。
ちょっと遅れてくる。
さて準備も万端になってから、30分経った頃――いよいよゲストが到着し始めた。
「今日はお呼ばれ、有難うございます」
別にドレスコードとかないんだけど、タイトなピンクのドレスで現れたヒナさんがお辞儀した。
対して、一緒に現れた音子さんはトレーナーにズボン。
いや音子さんの見た目は素材がいいから似合ってるから全然いいんだけど。
この二人、仲がいいのに格好が対極だなあ。
「今日はスウの手料理がたらふく食べられる訊いてきたでー! 呼んでくれて有難うなー!」
「ヒナさん、音子さん。いらっしゃいです」
アリスがまっさきに挨拶した。
私も含めみんなで二人を迎える。
ちなみに私の格好は、いつもの控えめなゴスロリっぽい服。
アリスは放送局とかが撮影してそうな会食とかに行く時に着そうなのドレス。さすがモデル、めちゃくちゃ似合う。きれい。
リッカはオーバーオール。かわいい。
命理ちゃんはいつものゴスロリ軍服っぽいやつ。
ティタティーも、いつもの魔法使いっぽいやつ。
コハクさん、リあンさん、空さん、綺雪ちゃんはアリスみたいなドレスっぽい格好。色は赤、黒、黄色、白。
綺怜くんは、トレーナーにジーパン。
オックスさんはバーテンダーの服。
って感じ。
リイムも今日は、リースみたいなリボンを首にかけておめかし。
ケロりんは小さなサンタさんの帽子をかぶって、ドラ子はクリスマスツリーぽく飾られていた。
「配信もしていいらしいから、ホンマ助かるわー。あ、スウは配信するの遅らせてくれてええで? スウのところの視聴者がいっぱいウチに来てるから」
「え、そうなんですか?」
私が言うと、後ろでリあンさんが手を打った。
「それ、確かに有るわ! ウチも配信する!」
「いそげいそげー、リッカが配信始めたからそっちに流れ始めとるからな~」
音子さんの情報に、リあンさんがちょっと焦る。
「リッカちゃん、一旦配信休憩しない!?」
「いま始めたばっかだぞ~、流石に視聴者に悪い」
「く――っ、アリスちゃんも遅らせてね! 君が始めたら一気にそっち行くから!」
「は、はあ」
さて続いて、ユーが来た。
「素晴らしいサプライズだ。呼んでくれて感謝だ、スウ並びにクレイジーギークス」
「私はユーを呼んでない――ほんと、誰が呼んだの・・・?」
すると、グラスを拭くオックスさんだった。
「俺だよ」
「・・・・なんで呼ぶんですかあ」
「この間のアテナ戦で意気投合してな。まあそう邪険にしてやるな」
ユーはオックスさんの前のカウンターに座って、オックスさんと何やら話し始めた。楽しげだ。――ユーは、男性には普通なんだよなあ。
あ、ユーがマルガリータって言うお酒を注文してる。
前にオックスさんの配信で、ウェイトレスとして手伝いをさせられたこと有ったんだけど、――マルガリータって、コップの口に塩が付いてるのを舐めながらキツイお酒を飲むっていうガチなヤツってオックスさんに訊いた。
塩をお酒のあてにするのは、ガチな酒飲みだって。
飲む、塩を舐める、喉が乾く、飲む、塩を舐める、喉が乾く、をループするらしい。
話を聴いた時、なにやら恐ろしい雰囲気を感じた。
「ユー、それ飲むの?」
私が尋ねると、ユーがグラスを口につけてから言う。
「ああ、まあまだ口を濡らすくらいだが。今日はタダらしいしな」
「おう、たんと飲んでけ」
オックスさんがニヤリとする。でも私は心配になる。
「酔って暴れないでよ?」
この人、数人を生身で一人で相手して、勝つんだよね。
実はクラン会議で私が空挺師団・第二小隊・紅蓮の人に詰め寄られただけど、切れて無双してた。
その後詰め寄ってきた人は、遅れて到着したスケさんに建物から蹴り出されてた。
「俺は酒で暴れたりしない、安心しろ。――というかスウ、お前に素手で敵う気がしない。俺が暴れたら適当に〖念動力〗あたりで拘束して外に放りだしておけ――暴れないがな」
「まあ、本人がそう言うなら遠慮なくそうするけど」




