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326 遂に、完璧な蘇生技術が確立されます。

◆◇◆◇◆




最先端アースノイド:クラン「超重力プロテイン部」。

 部員募集。

 君も鉄色くろがねいろに輝く鋼の肉体を手に入れよう!


最先端アースノイド:でた(草) プロテイン部(草) マジで、超重力の惑星で体鍛えてんの?


プロテイン部長:まじだぜ(・ー・) æ+キラーン


最先端アースノイド:何倍まで行けた?


プロテイン部長:部長は8倍まで行けたぜ。


最先端アースノイド:マジかよ・・・よく生きてたな


プロテイン部長:死にかけたぜ。


最先端アースノイド:危ねぇなあ!


プロテイン部長:6倍以上は超重力のプロでもおすすめしないぜ、腹筋ガチガチに固めても血が頭に届かなくて、普通に気を失うぜ。初心者におすすめは3倍くらいまでだぜ。


最先端アースノイド:バーサスフレームの重力加速度で知ってるよ。


最先端アースノイド:やらねーから!


最先端アースノイド:今、61層が開放されたぞ!


最先端アースノイド:おっ、マジ? ボス攻略組やってくれたか! また新しい上層・中層のクエスト発行されるじゃん、助かる。


最先端アースノイド:スウがまたやってくれました


最先端アースノイド:ま た ス ウ か


最先端アースノイド:でも今回はちょっとヤバかったらしい。スウ死にかけてた。


最先端アースノイド:マジか・・・それは冗談じゃ済まないな。大丈夫だったのか? なにがあったんだ?


最先端アースノイド:http://www.■■■...このアーカイブの1時間辺り見てみ。


最先端アースノイド:見てきた。マジで冷や汗出た。これ生きてたんか?


最先端アースノイド:生きてた。


最先端アースノイド:まじかあ・・・良かったあ。いつもは羨ましいなあって思ってるけど、今回は流石に感謝だわ。命がけじゃん。


最先端アースノイド:こんな目に遭うなら、力などいらぬ。


最先端アースノイド:ダンジョンの時も、相当命がけだったらしいぞ。特にスウたちをコピーしてくる相手とか、一瞬スウの腹に風穴が空いたからな。風穴(物理)な。


最先端アースノイド:え、グロ・・・アーカイブにそんなシーンなかったけど


最先端アースノイド:グロすぎるんで、そのシーンはアーカイブではカットされた。


最先端アースノイド:50層ボスもやばかったしなあ。近づいただけで焼け死ぬとか、なんなんだよ。


最先端アースノイド:俺等とかもう、上位勢から完全に置いてけぼりだしなあ。バーサスフレーム安くなったりしないかなあ。


最先端アースノイド:そういえば、前にスウが61層解放されたら、ボス層以外の攻略も体験してみたいとかいってたけど。


最先端アースノイド:それって上層攻略が楽になるのかな


最先端アースノイド:どうかなあ? とりあえず上層来てくれるなら、生スウを見に行きたいな。普段スウが居る層とか、俺行けないもん。


最先端アースノイド:それよりクリスマスだよなもうすぐ。12月入ってすぐガチャイベもあったけど、本番もFLでなんかイベントするのかな?


最先端アースノイド:今年のクリスマスは中止になりました。




◆◇◆◇◆




 その知らせは、配信中に突然来た。


『スウさん。スウさんが見つけてくれたホムンクルス工場の調査をして、魂のコピー方法が確立しました』

「え!?」


 ネットで、フィギュアを買う配信をしていた時だった。

 ――視聴者に、カレーのフィギュア(食品サンプル)をオススメされながら「なにに使うんですか・・・?」とツッコミを入れていた時、突然アイビーさんのアホデカウィンドウが目の前に開いたのだ。


『自我や、意識のコピーと言っても良いかも知れません』


 私はアイビーさんのウィンドウを、何度も指を動かし、小さくしながら尋ねる。


「そんなのどうやってコピーするんですか・・・?」

『スウさんは、テセウスの船という物はご存知ですか?』


 あっと、あれかな。


「確か・・・展示されているテセウスの船という物があって、駄目になったパーツを交換していく。やがてこの船は全てのパーツが入れ替わる。すっかりパーツが入れ替わった船はテセウスの船と言えるのか? みたいな話ですよね」

『はい。人間の脳も時間が経てば、やがて全ての脳細胞が替わります』

「ですね。数百年生きる脳細胞もありますが。人間の体も、またテセウスの船と言えますね」

『では、被験者が死なないように、脳細胞をゆっくりと別の細胞に変えていくとします。やがて脳細胞がすべて入れ替わったら。これは元の本人ですか?』

「え・・・・!? えっと・・・?」

『答えは難しいですが、かなり本人に近いでしょう』

「まあ、そうですかねぇ?」

『さらに、左右の脳には別々の意識がある事は昔から知られています』

「そ、そうなんですか?」

『左右の脳の交信を切断すると、右脳の行動を左脳が否定したり、左右の体が別々の動きをする事が知られているのです』

「・・・なるほど」

『そこで被験者とそっくりな脳をもう一つ生成して、被験者の元の脳の左右の交信を遮断し、生成した脳の左右反対を接続します。――つまり生成した脳半分と、被験者の元の脳半分づつで、一つの脳になった状態を作ります。この時点では生成した脳側には記憶がないので、被験者の元の記憶を植え付けます。そうして被験者の元の脳と接続してしばらくしておけば、被験者の意識、自我、魂を持った脳が2つ出来上がる事を確認しました』

「け・・・結構、無茶苦茶しますね。――脳を、そんな遮断したり繋いだり、大丈夫なんですか?」

『銀河連合の医術を使えば、全く問題有りません。ただ、この方法はコピーした脳を保管しておく必要があります。この蘇生方法は、プレイヤーのみなさんに告知します。前もって魂のコピーを取る処置を受けるかは、プレイヤーのみなさんにおまかせする感じで』

「うーん・・・魂のコピーなんか作っちゃって、大丈夫なんですか?」

『どうも2つになった魂は死後、一つに融合されるのが確認されました』

「ま、まじですかぁ」


❝えっ!? じゃあもう、スワンプマンを恐れなくて良いって事!? スウたんが見つけてくれたホムンクルス工場のおかげで!?❞

❝ホムンクルス工場を探しに行った時はスウたん大変だったけど、すごい成果を手に入れてくれた!!❞

❝どうだろう。俺は魂にメスを入れるような真似はしたくないけどな・・・❞


 だけどこの処置を受けておかないと、やっぱスワンプマンなんだよね。

 コピーされた魂側が、ずっと眠らされてるかも知れないのは怖いけども。


「私的には・・・・この処置は受けておきます。オススメとかは言えませんが・・・私はやっておきます」


❝うーん、なんか含みの有る言い方?❞

❝とにかく、スウたんありがとう!!❞

❝俺も、処置を受けとくよ!❞


『スウさん! スウさんのお陰で、真の蘇生技術が完成しました! ――フェイテルリンク・レジェンディア開始時点より状況が良くなってしまいました!』


 アイビーさん。それ、連合の人間が大声で言っちゃっていいの?


『このお礼は、お望みのままに! 銀河連合に出来ることなら、何でもしますので!』


 なんか、私は成果を一つしか出してないのに「貸2つな?」状態になっちゃった。


 じゃあ、一つ使ってみようかな。


「あの、アイビーさん。お願いがあるんです」

『どうしました?』

「アカキバさんの遺体って、どこかに残ってませんか?」


 私の言葉にコメントが騒然となる。


❝は?❞

❝いやいや、あんなヤツ!❞

❝この人マジかよ・・・・❞


 なんて。


『一応、保管してありますが』

「その遺体にテセウス処理(?) を出来ませんか・・・?」

『彼の素行は決して良いものではありませんでしたよ? こっそりスウさんに迷惑を掛けていた事も、一度や二度ではありません・・・・それでも、使うんですか? 〝私が、何でもお願いを聞く〟という、権利を』

「はい。お願いします」


❝ありえねぇ❞

❝ほんと馬鹿じゃネーノ❞

❝でも、まあ・・・これでこそ❞

❝スウたんなんだよなあ・・・(クソデカ溜息)❞


「・・・・皆さん、ごめんなさい」


 私が頭を下げると、


❝いやもう分かったよ。良いよ❞

❝スウたんがそういう子だって、分かってるから❞

❝でも、そういう生き方辛いぞー❞


 私はカメラに向かって、顔を溶かして笑う。


「その分、皆さんが私を甘やかしてくれるんでしょう?」


❝それはそう❞

❝任せろバリバリー!❞


 優しいコメントに私は頬を緩めて、アイビーさんのウィンドウに向き直る。


「じゃあ。アイビーさん、お願いします」

『分かりました――〔問題は銀河憲章ですが・・・・クナウティア様に相談してみますか〕』


 アイビーさんが、聞き取れないほど小さな声で言った後、リアルのクソデカ溜息を吐いた。


 すると、モデレイターのコメントが一つ。


❝モデレイター(ヒナ):スウちゃん・・・・マジか・・・ごめんね❞


「あっ、いえっ、あの時のヒナさんの言う事も納得したから、私は彼を見捨てたんです」


❝モデレイター(ヒナ):そっか・・・気を使ってくれてありがと。でも、これでとりあえず、アカキバに対するスウちゃんの罪はほぼ浄化されるわけだし。――あ、アイビーさん、アカキバに死の恐怖はしっかり残しておいて下さいよ。それが無いとアイツ絶対同じこと繰り返しますから! これはスウちゃんじゃなくて、ヒナからのオーダーです!❞


『そうですね・・・その方が彼のためですね』

「あう」


 私は諦めの表情になった。

 でも、まあ・・・そういうのも理解出来る。


❝モデレイター(ヒナ):今度、私がスウちゃんを甘やかす会を開くんで。ストリーマーズのスウちゃんを癒やし隊を全部集めるんで❞


 ヒナさんの突然の提案。

 私は スン となる。


「あっ、そういうの良いです。他人と一緒に居るのがしんどいんで」


❝モデレイター(ヒナ):この隙のない陰キャっぷり! 流石スウちゃんだよ!❞


 その後、アリスがコメントに現れてヒナさんとバチバチにやりだしたんだけど、私は関わるのが怖いので、雪を見るアイスを食べだした。

 触らぬ神にタタリ無し。

 んーーーっ! 冬といえば、このアイスだよね~!


「とりえず、アカキバさんの事はもう考えない。考えなくていいよね! 罪滅ぼし完了でいいよね!」


❝モデレイター(ヒナ):元々考える必要なかったのに❞

❝モデレイター(アリス):貴女がスウさんに余計な事をさせなければ、私が無理やりスウさんの唇を奪う必要もなく!❞

❝アリスたん、なにそれkwskくわしく!❞

❝モデレイター(ヒナ):状況が何となく分かるけど、大義名分でチューできてよかったじゃん❞

❝モデレイター(アリス):ありがとうございます!❞


 冬といえば、このアイスだよね~!

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― 新着の感想 ―
脳を半分取り出す決断ができるとか、もう完全に最前線兵士の思考だ
更新お疲れ様です。 完璧に極限まで近い蘇生手段と流れが構築完了したのもデカいですが、あのバカのせいでいつまでもスウちゃんが心に闇を残したままにならなくて済んだ…という事実のが大きいですね。 言ってみ…
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