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320 ビスカムアルバム行きます


 コハクさんが、慌ただしく指示しながら、厳しそうな声を出す。(今回コハクさんたちは、私がガチャで当てた戦艦マザーグースで出ている)


『左舷から弾幕が来るから距離を離して――! これ、スウさん以外で上手くやれてるのは、マイルズとメアリーさんと・・・・後二人くらい? ユーと、誰だろう?』


 すると綺雪ちゃんが気付いた。


『助平お兄ちゃんです!』

『綺雪ちゃんにスケベな事するお兄ちゃんがいるの!?』


 コハクさんが、綺雪ちゃんの口にした、あまりに風聞の悪い言葉に驚愕の声を上げている。

 私は慌てて訂正する。


「ち、違いますコハクさん! 本名が佐々木 助平なんです! まとも・・・かはともかく、いい人なので勘違いしないであげて下さい!」

『な・・・なんと可哀想な名前――にしてもこの人凄いですね、格安機のハンマーヘッドで無双してる』

「彼、滅茶苦茶強いんですよね」

『こんな腕があるなら早く買い換えればいいのに』

「たぶんもうすぐ第5世代機が出るらしいんで、勲功ポイントを溜めてるんだと思います」


 すると、金色のスワローテイルがこっちに来た。

 ユーの聖蝶機スワローテイルだ。


『おい、クレイジーギークスに元・アカキバ軍団の砲撃の上手いヤツいたな? マッドなんとかってヤツ』

『なんだ、俺か?』

『力を貸せ』

『おう』

『射撃はお前と、スナークに任せる。当てやすく飛んでやるから、しっかり当てろ』


 戦艦マザーグースに着艦した聖蝶機スワローテイルに、オックスさんが乗って出発。

 ユーとオックスさんが協力かあ、なかなか凄いことになりそう。

 見ていると、やっぱり次々と撃破している。だよねえ。

 私も負けてられない。

 私はムシャ・リッカを運びながら、敵を撃破していく。


 ――にしても。


「おかしいな、メインボスのアテナがエンジン止めてこないね?」


 私の呟きに、アリスが答えた。


『ですね』


 遠くにいる、巨大なアテナがなにもしてこないのが不気味。


『時空震確認、ヘルメス来ます!! ――また数が多いです!』


 ペィジィさんの声に、プレイヤー達がざわついた。


『またかよ、いくら俺等が強くなってるって言っても多すぎないか?』

『アンティキティラどころか、ミダスも倒し切ってないぞ』

『とにかく密集するな、密集すると弾幕も密集して防ぎきれなくなる。みんな距離を取れ!!』


 ――ん、距離?


(―――そういえば)


 よく見ると、誰もが距離を取っていてまともに連携が・・・・。


(まって――まさか!)


「――み、みなさん連携を確認してください!」


『え?』


❝ん?❞

❝スウたん、どうした❞


 ヘルメスが転移してくる――〝各個の正面へ〟、ヤバイヤバイヤバイ!


『おいまて、これ、ボスをたった数人で相手しろってことか!?』

『ふざけん――うわああああああ!!』


 ペィジィさんの緊張した声が、通信に響く。


『――え、ちょっと本当に多すぎる! ヘルメス300体です!!』


 オペレーターさんの言った内容に、通信の声が一斉にざわついた。


『ボスが300体って』

『やばい、逃げろ!! こんなの無理だ!!』

『すまん転移装置を使う!』


 久々に見たヘルメスは、相変わらず空色の体をしたすんごいイケメンのお兄さん。――あと半裸。

 ちょっとえっちぃので見づらい――とか思ってられる相手じゃない。


 プレイヤーが次々撃破されていく。


『まずいです、プレイヤーの数が――4000、3900、3800――3000』


 瞬く間に減っていく、味方のバーサスフレーム達。


『おい、無理するな! やられそうなら逃げろ!! ――これじゃボスの弾幕じゃなくて、味方と防壁のデブリに撃墜される!!』

『逃げるのも無理よ! ヘルメスがとんでもない速度で追いかけてきて、逃げられ――きゃあああ!!』


「ま、まずい――」


 私は、破壊され飛んできたバーサスフレームの右腕を躱しながら考える。


「――これは、あれを使わないとかも」


❝あれ?❞

❝あれってなんだ?❞


『〝アレ〟ですか! スウさんのヘルメスを引き受けるので、戦艦に向かってください!』

「ありがとう、アリス!」


 私は一旦、戦艦に向かう。

 星ノ空さんの通信ウィンドウが開いて、そそり立つサムズアップが見える。


『スウ、出撃準備なら整ってるよ!』

「ありがとう、空さん!」

『コハクー! 大型ハッチ開放するから!』

『了解、綺怜くんスウさんに相対速度合わせて! 弾幕少々当たってもいいから、命理ちゃん、シールド回復お願い!!』

『はいっ!』

『了解よ』


 実はさくらくんも、今日はいない。

 メープルちゃんと同じく受験間近なので、猛勉強中。

 なので戦艦の操舵は、綺怜くんがやってくれてたりする。

 あとティンクルスターは出ていない。戦艦の中に準備しているけど、乗り手がいない。

 私は戦艦の大型ハッチに着艦した。

 ここにあるのは、黒体塗料塗りたての蕾のような機体。

 全長100メートル。

 ほとんど空母サイズ。

 そんな蕾の中へ、フェアリーテイルを入れてドッキング。


「準備できました!!」

『了解、カタパルト射出するよ!』

「はい――戦闘基地ビスカムアルバム、出撃します!!」

『3、2、1――ビスカムアルバム、出撃!!』

「行きます―――!!」


 私は、巨大ユニットにドッキングして出撃した。


『なんだ、あれ――バカでかい、蕾?』


❝これ、あれか! スウたんが課金ショップで買ったやつ!!❞

❝デケェ!! 戦闘基地って名前は伊達じゃねえ!!❞

❝いよいよ、初お披露目かあ❞


 私はヘルメスの群れに向けて、4つの花弁で構成された花を開く。

 直径300メートルにも達する花びらの中央に、人型形態のフェアリーテイルがドッキングして刺さっている。


 4つの花弁には無数の連装ミサイル砲台、機銃砲台、荷電粒子砲台、黒体放射系砲台。さらには様々な武器を格納したコンテナ群。

 そして新武器〝γ崩壊・輻射砲〟。


 他のビーム系との違いとしては、γ崩壊・輻射砲は範囲攻撃ができる。


 荷電粒子砲は電子、陽子、重イオンなど弾薬を入れ替える事ができる。右に行くほど質量が多く、ダメージが大きい。


 黒体放射系はただのレーザー。


「よし、行くぞ――入れ、ゾーン」


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― 新着の感想 ―
更新お疲れ様です。 クソデカ花びらの真ん中に機動兵器をドッキング……これはロマン兵器ことデンドロビ○ムのオマージュかな?まぁ見た目は花だからF9○のラフレシアのが近そうですが。 後はスウちゃんの顔が…
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