319 私達の作戦が炸裂します
私達には作戦があった。
フェアリーさんがムシャ・リッカ・インフィニティーを掴んで飛ぶ簡易合体で、私とリッカの二人の火力を合せ、ミダスを集中砲火して一気に倒す。
いまやフェアリーテイルも火力機くらいの火力は出せる+火力の高いムシャリッカ・インフィニテーなら相当な威力が出せる。
私は、〈臨界・黒体放射バルカン〉と〈時空倉庫の鍵・大〉からの一斉掃射も容赦なく使う。
さらにアリスとリッカが用意したドローンも、私のドローンも全部使って。
とにかく火力を出してミダスを撃破するという算段。
本当は命理ちゃんにも協力してもらいたかったけど、メープルちゃんが受験間近で参加できないので、今日の命理ちゃんはヒーラー装備に換装して、ヒーラー役になってもらっている。
『7体、8体、9体、10体。〈狂乱〉ミダスが、ザコ扱い?!』
私にとってはスカスカの弾幕を放ってくるだけなのに、こっちは火力マシマシ・マッシブだから相手にならない。
とは言え、あまり調子に乗って倒してはいけない。
あまり倒すと、2段階目に移行するという予想がAIで予想されている。
だから拠点を作りやすい程度にミダスを減らしながら、倒しきらないようにしないと。
『日本勢の工兵のみなさん! 日本担当エリア、座標空間x201,y302,z106地点、フェアリーテイルの方角で、敵が手薄になっています。そこを起点に拠点建築をお願いします!! 火力の有る方、フェアリーテイルの援護に回って下さい!!』
私は、今の通信を訊いてちょっと方針変更。
「なるほど。じゃあ――アリス、リッカ、私達は拠点を建設している場所の周りのミダスを掃討していこう。そこからじわじわ広げていけば、一番無駄なく敵の数を減らせると思う」
『なるほど、わかりました!』
『ほいきた』
私達が建設の護衛をして、建設班が作業を始めると、他のアジア勢もこちらを援護し始めてくれた。
どうやら、集中して一気に建設を早めていこうという考えらしい。
私は翻訳のスイッチを入れる。すると各国の通信が流れてきた。
『弾幕に壁を破られかけたら、合金板を入れ替えて!』
『相手を囲むように建築して行くんだ!!』
『エンジンが起動してる間にバリアで防ぐから、一気に建築してー!』
『うおおお、ここなら弾幕が全然こないぞ!』
これなら直ぐに拠点ができそう。
にしても一機、異常な動きをしているバーサスフレームがある。
どう見てもエアマの砦建築勢の「フォートファイト」だとしか思えない人が、弾幕を躱しながら、物凄い勢いで建築していく。
――ってあのID、エアマのスーパートップガンのメガPhoneさんじゃん。
昔、会った事がある。
『メガPhoneさーん』
『おお、スウさんですか? 拠点作りはお任せ下さいー!』
彼もフェイレジェに来たんだなあ。
にしてもあの速さ、頼もしすぎる。
「頼りにしてますー!」
なんて、ちょっと安堵していると、ビブリオ・ビブレから通信が有った。
『デュランダルが轟沈! ――デュランダル・マークⅤ轟沈しました!』
「デュランダルまた轟沈したの!? あと、マークⅤってなに?」
アリスが教えてくれる。
『よく買い替えるんでナンバーを付けるようにしたらしいですね』
「・・・・え、ヘルメス戦のはデュランダルはマーク何?」
『Ⅱです』
・・・おかしい、数が合わない。
ま・・・・まあ、今はあんまり敵を減らさなくていいから。
「アリス、リッカ。私ちょっと、ミダスを何匹か引き連れて遠くに離れておくよ」
『わかりました』
『じゃあわたし達は、砦の護衛にまわる』
ムシャ・リッカ・インフィニティーが一旦合体解除して、再び合体。ナイト・アリス・ゼロ状態になる。
私は近くのミダスを適当に見繕って、誰もいない方向に連れて行く。
こうして私はミダスを3匹ほど連れて、みんなから距離を取った。
❝なあ、スウのあれ〈狂乱〉ミダス3匹分でエグい弾幕が飛んできてるのに、なんで当たらないんだ?❞
❝こっちが聞きたい❞
ビブリオ・ビブレのオペレーターさん。――ペィジィさんのぽやんとした声が通信から聞こえる。
『時空震確認、アンティキティラ来ます!! ――また数が多いです。――200!』
ウェンターさんからも、すかさず指示。
『みんな足を止めないで、アンティキティラは高速戦闘を挑んでくるはず!』
『宇宙でアンティキティラ相手するとか、なんの冗談だよ!!』
『とりあえず眷属召喚はしてこないみたいだ、そこだけは良かった・・・』
『それでも弾幕エグいって。くっ、避けながらだと滑る――照準が合わせられない!』
『コイツ、ダメージが通ってる気がしないんだけど!?』
『アンティキティラは、動くコアを3つ同時に攻撃しないと、ダメージが通らないんだ!!』
『宇宙で当てられるか、動くあんな小さなもん!』
確かに3つ同時に当てないとダメだし、当てる場所がずっと動いているけど。
「私の機体は、以前のスワローテイルとは違うんだ〈臨界黒体放射〉と〈汎用バルカン〉2丁を同時に発射すれば」
たしかに硬いけど、30秒もすると撃破できた。
「そこまで苦労する相手でもないね」
❝当てすぎなんよ❞
❝動く的に、宇宙でほぼ外さないとか❞
ここでペィジィさんから通信が入ってくる。
『スウさん! スウさんからみて左方向まだ拠点がない方向に、アンティキティラが強襲を掛けてます。拠点を築けるようになるまで、なんとかアンティキティラの気を引きつつ、排除して下さい! 言いにくいなアンティキティラ!!』
「はい!」
おっとりしたペィジィさんが、アンティキティラの言いにくさにちょっと怒ってる。




