308 リメルディアへの侵略を阻みます
「大丈夫ですか!? 大分調子悪そうですが・・・・!」
「セ、セーラ様は見殺しにできないし、彼女が死んだらこの大陸が!」
反暴機ビジィは敵に後ろを取られるけど、魔法のように機体の前後が入れ替わる。慣性まで前後逆になる。
流石、ドッグファイトでは負けない機体。
だけど、反暴機が前後を挟み撃ちにされた。
駄目だ。幾ら反暴機でも、人数差は覆せない・・・・それに。
反暴機が、右から来た人型機に掴まれた。
「不味い、あれじゃあ反暴機の能力が意味ない!」
『は、離しなさい!』
敵空母から声が聞こえる。
『クハハハ、反暴機の力は知っておるわ――当然弱点もな。じわじわとなぶり殺しにしてやれ。そうだな、外からゆっくりと温めて蒸し焼きにしろ』
「ド外道が・・・・!」
敵は空母を除いて30機はいる・・・・私は端にいる人型機に向かう。
『一機じゃない! 私も居る!』
私はセーラ様を捕まえている機体の顔面に〈臨界黒体放射〉を放った。
って――外れた。
「スウさんが・・・止まっている相手に外しました?」
「嘘だろ・・・おい」
アリスとリッカが愕然としている。
私も自分の手のひらを、驚愕の眼で見た。
『【アイシクル・アロー】』
私が震えていると、ティタティーのウィズダムが巨大な氷のツララを放って、反暴機ビジィを掴む腕を粉々にした。
反暴機ビジィが、敵の拘束から抜け出した。
『ありがとうございます! スウ様、ティタティー!!』
「い、いえ・・・・私は」
『セーラ様に害を成す奴を、僕は赦さない』
『なんだ、貴様は!』
ティタティーが答える。
『セーラ様の護衛』
『ニクサ、お前が報告したあの白い機体だ! 出ろ!』
朕さんの叫び、すると真っ赤な機体が出てくる。
『そこの白い機神、前はようやってくらはりましたなぁ!』
「ニクサ!?」
『その声、間違いないですわ! あの、女奏者! ――あての新たな機神、反攻機アグレスで、あの時の借りを返してやりますわ!』
「イルさん〈励起翼〉――は、止めとこう。〈励起バルカン〉」
『イエス、マイマスター』
こっちが〈励起バルカン〉を放つと、反攻機アグレスが近づいてきて、あちらも〈汎用バルカン〉を放ってくる。
私はフライバイワイヤなどを切って、スナップロールを・・・・あれ?
で、できない! 普通の横転になった・・・。
フェアリーテイルに命中する、敵の〈汎用バルカン〉。
私は、機体を左右に横転させて何とかダメージを軽微にする。
は、反射神経は無くなってない!
原始反射の訓練をしたのはVR外だったし。
そうしていたら、敵方の別の機体に、
「後ろに着かれた!!」
『――ん? あんたさん、随分と弱くなってはらへんか? ――ホンマに前にその機神に乗ってはった人なんか? ――これなら勝てますわ!』
不味い、すぐに後ろを取り返さないと!
「こういうときは、シャ、シャドウ・サークルしかない!」
シャドウ・サークルなら訓練場から出てきた後に憶えた技だから・・・スナップロール分だけ無くても・・・・
「入れ、――ゾーン!」
駄目だ、視界が青く染まらない。
・・・前はあんなに簡単にゾーンに入れたのに・・・・!
「ゾ、ゾーンにも入れない・・・! ――そ、それに駄目だ。中途半端な変形ができないから、尾翼に乱気流を当てるスナップピッチができない!」
私はシャドウ・サークルに失敗。
フェアリーテイルが操作を失い、失速。
「え、えっと、こういう時はどうするんだっけ・・・・!? そうだ、エアマで、確か!」
「スウさん、機首を下げて失速からの回復を!!」
「そ、そうだ、失速から回復するには機首下げだ!!」
しかし、私は失速からの回復に失敗してしまう。
「う、嘘・・・・姿勢回復が一番得意な私が・・・姿勢を回復できない・・・!?」
不味い、このままでは墜落する!
私は機体を人型にしてロケット噴射、なんとか軟着陸。
そうして、人型のまま〈汎用バルカン〉を空に乱射した。
「このっ、このっ、このぉぉぉぉぉぉ!!」
ま・・・・まだ、人型形態の方が戦いやすい。
わたし、飛行形態で戦えなくなってる。
❝スウたん・・・・❞
「なんで、なんでよりにもよって、9年分の訓練の記憶を・・・記憶を!! こんなの―――あんまりだよ!!」
私は〈時空倉庫の鍵・大〉を開いて、そこからも乱射。
『な、なんですの、その数の攻撃! 反射しきられへんわ・・・!』
さらにティタティーの援護が入る。
慌てたニクサが、逃げていった。
私は追撃を撃つけど、当たらない、当たらない当たらない当たらない!!
AIMまで無くなってる!!
「う・・・・うう・・・」
私が鼻をすすっていると、アリスが後ろから抱きしめてくれた。
「大丈夫です。スウさんはスウさんです!」
「アリス――私、弱くなってる。弱くなってるよ・・・・」
「関係ありません! スウさんの良いところは、他にもいっぱい有ります! ――それに記憶を取り戻す方法だってきっとあります! わたしが見つけてみせますから―――!!」
リッカがワンルームから持ってきたらしいティッシュで、私の涙を拭いた。
「スウ。大丈夫だ、気にすんな。わたしも記憶を取り戻す方法を探してやるから――ほら、チーンしろ」
私は二人に縋り付いて、さめざめと泣いた。
私が泣いていると、上空から声がした。
『スウさん、クレイジーギークス到着しました!』
現れた超巨大戦艦マザーグースに、ロキ帝国の兵士が驚愕する。
『う、うわぁぁぁぁぁぁ!? なんだあの巨大な船は!!』
『馬鹿な、帝国の誇る方舟より巨大だと!?』
『は、方舟の5倍はあるぞ!?』
そして、コハクさんの怒りの声。
『侵略とか、空爆とか、貴様ら・・・・! さくらくんやっちゃって!』
『はい! 〈励起剣〉』
マザーグースから巨大な剣が横に伸びて、マザーグースは突撃。
敵の人型機を薙ぎ払った。
「みんなが、来た・・・・」
私は霞む視界で、マザーグースを見上げる。
「・・・・フェアリーテイルを一旦、マザーグースに着艦させるね」
「はい」
「そうだな」
私は人型形態のままマザーグースに向かい、着艦した。
フェアリーテイルから降りたヴァンデルさんやトリテさん、バルムさんが驚天動地している。
「なんだ、こりゃぁ」
「こ、こんな物が空を飛んでいいのニャ?」
「おおお・・・歌詞にせねば、歌詞に! ――し、しかし、頭が混乱して言葉が紡げませぬ!!」




