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305 卑怯なクイズに挑戦です


 スフィンクスは、頭が痛むのか、翼でさすりながら叫びました。


「では、さっさと次の問いかけを、お願いします」


❝自分でクイズ出しておいてw❞


 ここでバルムさんが ジャラーン とティターを鳴らしました。


「勇者の知恵の深淵を覗き込めば、知恵の守護者すら慄き腰を抜かし~♪」


 止めなさい、スウさんにデバフが掛かってますから。


 味方にデバフを掛ける味方吟遊詩人とか、ゲームにいたらクソゲーの烙印を押されますよ。


 あとその歌、わたしが吹き抜け見て腰を抜かした所からアイデア取ってるでしょう? 殴りますよ?


 スフィンクスがスウさんに仕返しをするように、指を突きつけます。

 獣い前足で、器用に人指し指を伸ばしています。


『汝等に問おう! 我が種族の名は!!』

「スフィンクス」


 スウさんに即答されて、スフィンクスが凍りつきました。

 やはりスフィンクスでしたか。


『な、何故だ・・・・何故知っている!? ・・・・語られることのない、我が種族の名を!』

『――終わりですか? 扉開けて貰えますか?」

『いいやまだだ、まだ最後の問題がある!!』

「どうぞ」

『汝らに問おう! 北の大陸に、リメルディアという小国がある』


 ですね。

 みんなしってます。そこから来たんですから。


『この国の王家の血族は、元は貧しい冒険者であった』


 スウさんが、グロウ王子に聞いた話と合致しますね。


「あれ? 元から貴族じゃないのニャ?」


 どうやら歴史が、歪んで伝わっている感じですか?


『200年前――村人をカリスマで魅了し、村をリメルディアと改名した。リメルダ開祖の少女の名は!』


 リメルディアに住んでいる3人なら分かるかもですね。

 ティタティーも長生きですし、知ってるかもです。


「わからん・・・」

「そんな話しらないニャ」

「伝承にもないですね」

「ボクも100年くらいしか生きてないし」


 駄目みたいですね。

 でもこれって。


 スウさんが眉を(ひそ)めます。


「・・・まさか後世に、一切名前が伝わってない人物なんじゃ」


 スフィンクスがニヤリとし、舌なめずりしました。

 スウさんの頭を齧りたくて堪らないという顔です。

 ・・・・答えてみますか。


「ミルですか?」


 わたしが言うと。

 スフィンクスが驚愕して、わたしを見ました。


『き、貴様、な・・・なぜ・・・・その名を』


 なるほどLimeldeを逆にした、Edle Mil――エディル・ミルのミルは、人名でしたか。


『ば、馬鹿な・・・・馬鹿な馬鹿な馬鹿な!! この知恵の守護者が、知恵比べで負けるなど・・・!!』


 スフィンクスが震え上がると、パシュっと言う音がして、スフィンクスは細い光になって消えてしまいました。


「いや、知恵比べで負けるって・・・・さっきスウさんに完敗してたじゃないですか・・・」


 周囲に何やら、大きなビルを建てる工事現場みたいな音が響きだしました。

 鉄筋を、地面に打ち込む時の様な音です。


 ガゴーン ガゴーン と言う音と共にお腹に響く振動。


 やがて、地底湖に大きな渦が生まれました。

 扉が開いて水が流れ出しているようです。


「開いたみたいだね」


 スウさんの言葉に全員で頷きました。


「じゃあ行こっか」

「行きましょう」

「いくぞー!」

「おうとも」

「いくニャ」

「うん」


 こうして、わたし達は渦に飛び込んだのでした。




 扉の向こうは、広い空間でした。東京ドーム20個分はあるでしょうか。


 そんな空間に本棚が、ズラリ。


 ただ、水没し始めています。

 現在天井から流れ出る地底湖の水で、太い柱のような滝が出来上がっています。

 辺りは徐々に水に浸りはじめていて、魚が本棚の下で跳ねたりもしています。


「お、晩飯ニャ」


 魚は、トリテさんのお腹に入るようです。

 というか生魚を齧ってます。

 お腹が豪の者なんでしょうね。


 やがて、辺りにまた工事現場の様な音がし始めて、天井の扉が閉まりました。

 地底湖の水が全部抜けて、辺りが水没しないか心配だったので良かったです。


「なにか嫌な予感がする」


 スウさんが、首筋を押さえました。

 彼女の首筋の予感は、もはや超常現象レベルで当たります。


 スキルもありますし。と思っていたら、耳を押さえ始めました。

 耳鳴りもしているのでしょう。

 警戒しましょう。


 リッカも、腰の刀に手を掛けました。


 抜刀術を準備しています。

 あの鞘は絶対に壊れない鞘ですが、刀が普通なので、抜水術はできないそうです。

 ちなみに絶対に壊れない鞘は、科学製品ではなく魔法みたいな物なので、ファンタシアで使っても良いそうです。


「来る!!」


 スウさんが叫びました。

 ほぼ同時に、周囲の本棚の本が一斉に〝飛び〟始めました。


 〖輝け〗で 照らされていた大空洞の天井が真っ黒になるほどの数の本が、上空を覆い尽くします。


 そうして、本の上に名前が現れました。


 ◤エネミー・コデックス◢


 本が敵とか、高校生の悪夢の再現でしょうか?


 エネミー・コデックス達が、一斉に紙を放ってきます。


 わたしは咄嗟に躱しました――が避けきれず、二の腕を浅く斬られました。

 マジですか・・・・。


 かすり傷ですが、シルバーセンチネルの防御力を上回って来ましたよ・・・・?


 ヴァンデルさんも、斧に紙が刺さってビックリしています。


 トリテさんは俊敏さを活かして、紙を躱してます。


 リッカは・・・・絶対に壊れない鞘で、紙を弾き飛ばしてますね。


 ティタティーが、みんなの前に氷の壁を作ってくれました。

 ただ、結構削られていっています。

 すぐに粉砕されそうです。


 そしてスウさんは、


「数が多すぎる――私が引き付けるから、みんなは数を減らして! ――リイム!!」

「コケッ!!」


 スウさんはゴーグルを掛けて、リイムに乗って宙に飛び上がりました。


 そうして迫ってくる紙を躱しながら、アサルトライフルを放っています。


 わたし達は地上で本を、バッサバッサと切り裂いていきます。


 わたしとリッカは〖飛行〗で飛び上がって、空中で刀を振り回しました。


 トリテさんは巨大チャクラムを投げたり、本棚に飛び乗ってそこから跳躍したり。


 ヴァンデルさんは迫ってくる本を、斧で斬ったり、ハチェットを投げたりしています。

 遠距離攻撃が苦手なのか、一番苦戦してますね。


 ティタティーは、氷の槍みたいなのを飛ばしてます。


 スウさんは、いつもどおり完璧な回避です。

 飛行機ではなく生物に乗っているのに、相変わらず見事な物ですね。


 そうしながらアサルトライフルで弾丸をばら撒いて挑発したり、ショットガンで撃墜したりしてます。

 アサルトライフルとショットガンの両手持ちは、初めて見ました。間違いなく〖超怪力〗を使ってますね。


 リイムも足で攻撃してます。

 すれ違いざまに足で本を掴んで、啄む。

 さすが猛禽と猛獣の合成獣(キメラ)強い強い。


 みんなで本と戦っていると、だんだん本の数が減ってきました。

 相手は偽物の本とはいえ、本好きにぶん殴られそうな光景です。


 にしても紙を飛ばしてくる本なのに、ページ数が減っていません。

 なんなんでしょうコイツ等。


 ふと、数冊の本が空中で、六芒星か六角形を描くように集まり、回転しだしました。

 するとその中央から――うわ、なんか出てきましたよ。


 あ・・・アレは阿修羅?


 顔が3つある後光を放つ何かがでてきました。

 右手に小さなツボを持っています。


 そういうタイプの飛び出す本は、勘弁してほしいのですが。


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