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285 バーサスフレーム戦に入ります

 私達は、追跡を振り切って宇宙港に戻ってきた。


「タンカーが出発できないって、何故ですか!」

「基地に侵入したスパイを逃さないためだ!」


 宇宙港の警備兵3人と、タンカーの艦長が押し合いへし合いしている。


 不味い、すでにこっちにも手が回ってた。

 ・・・・当たり前か。


 私が「如何にしてこの窮地を脱そう」と考えていると、後ろから西園寺さんの声。


「リアトリスの基地の方から、バーサスフレームが飛んできますわ!」

「え・・・ちょっ」


 格納庫の外を窓から見れば軍用ロブ2機と、ヘリクス2機。

 ロブは、換装することで、タンクにも火力にも、ヒーラーにもなれるのに程よい値段の機体。

 プレイヤーに一番人気。その軍用バージョンみたい。


「みんな!」

「はい!」

「応! 戦うんだな!」


 戦う気になっている私、アリス、みずきに引き気味になる西園寺さんとチグ。


「えっ、軍人相手にやるんですの!?」

「マジかよ。死んだらゴブリンになるんだぞ、スズっち、アリス、みずき」

「でも、戦うしか無いから!」


 私達はタンカーの格納庫側に〖飛行〗で飛ぶ。西園寺さんとチグは私が〖念動力〗で掴んでいる。

 スキルを使っても問題ないだろう――もう、私達がプレイヤーだとかバレても構わないだろうし!


 すると、宇宙港の警備兵にアサルトライフルを向けられた。

 彼らの一人が、私の顔を見て大声を出す。


「お前ら、連絡にあったスパイだな!」


 叫んで、アサルトライフルを撃ってきた!


 私はバレルロールで銃弾を躱しながら、警備兵に接近。

 間合いに入ったところで、


「〖味変化〗」


 脅威の激辛に口を押さえた警備兵3人から、アサルトライフルを〖念動力〗で奪って、さらに懐にもぐこんで、


「〖サイコメトリー〗」


 ここ数分の記憶を、根こそぎ奪う。

 悠長に選んでる時間はない。


 キョトンとなる警備兵3人。


「なんだ、このサイレンは・・・?」

「何があった・・・?」

「隊長、何なんですか、これ」


 私は出口を指差す。


「皆さん、あっちで呼ばれてましたよ!」

「おおっ、済まない君」

「いえいえ」


 走っていく3人。


 船長さんは状況が掴めず、きょとん。


「な、なんだ急に、どうしたアイツ等」

「船長さんは出発準備をしてください!」


 船長さんが、私の声に「ハッ」となる。


「お、おう。そうだな!」

「あと、手動でハッチは開けられますか!?」

「ああ、バーサスフレームが有れば、あのハンドルを回すことで手動でハッチが開く」


 かなり高い場所にある、巨大なハンドルを船長さんが指差す。


 よし。――あとはロッテを組んで、4vs4にしたい。


「生身で飛びながら銃弾を、躱してましたわよ・・・」「なんで避けられるスズっち・・・・」なんて言ってた西園寺さんとチグを、私は振り返る。


「西園寺さん、チグ。戦いはどっちが得意!?」


 急に話しかけられてビックリしたように背中を跳ねさせて、西園寺さんが答えてくれる。


「チグさんの方が、お強いですわ・・・というかクラスの女子組で、スウ様以外では、チグさんが最強ですわ」

「じゃあチグ、私とロッテを組んで!」

「ロ、ロッテ・・・?」

「二人組!」

「ああ、スズっちの苦手な・・・・」


 慈母神チグから、心のデリケートな部分に不意打ちを受けた私は、胸に銃撃でもされたように服を握って仰け反る。


「・・・・わ、悪い悪い」


 久々にチグに謝られた。

 で、でも今はそれどころじゃない。

 飛んできているバーサスフレームにタンカーを襲われたら、ガチで帰れなくなる。


「と、とにかく二人共、自分の機体に乗って下さい。西園寺さんはバーサスフレームであのレバーを回して下さい」

「わ、わかりましたわ!」


 私は二人を〖念動力〗で掴んで、格納庫に入る。


 みんなでそれぞれの機体へ。


「アリスとリッカは、二人でロッテを」

「はい」

「任せとけ!」


「チグは私と」

「オーケー!」


「西園寺さんはハッチをお願い」

「おまかせ下さいまし!」


 よし出撃だ。


「スウ、フェアリーテイル行きます!」

「アリス、ショーグン出ます!」

「リッカ、ダーリン出る!」

「チグ、ラウンドフェイス行くぞ!」

「さ、西園寺、ロロ。で、出ますわ!」


 5人で出撃、4人で宇宙港から飛び出す。


「じゃあアリスとリッカは、敵のロブをお願い。コロニーだから宇宙や地上とは勝手が違うんで、注意で!」

「はいー」

「気を付ける!」

「チグは私と一緒に飛行機を相手するよ! 私が囮になるから、相手を後ろから撃って! その機体だとスピード勝負は難しいから、小回りを活かして戦って! ――相手が距離を取って撃って来たら、相手しないで遮蔽物に隠れて」

「しゃ、遮蔽物ってどこに!?」

「ビルとか!」

「ビ、ビル!? ――中に人がいるんじゃにのか!?」

「避難始まってるから、その辺りは見極めて」

「マジかよ!!」


 私が作戦を伝えていると、飛んできていたヘリクスがスピーカーで尋ねてきた。

 かなり速さに乗って飛んできている。


『おい、さっき車を運転していた奴はどいつだ!』


 飛行機の機首に描かれた絵――ノーズアートに、太陽を描いているヘリクスだ。

 私もスピーカーで返す。


『私です』

『やはり、フェアリーテイルのパイロットか。俺の名はシバ・ノイズ大佐――今からお前を殺す人間の名前だ。――あの秘密を見たんだろう、覚悟しろ』

『・・・』


 あれで復活した人間は、たしかに本人の記憶を受け継いでるし、身体も全く本人と同じなんだろう・・・・でも、本当に本人と言えるの?


 私が思考の沼にハマっていると、アリスとリッカが敵のロブと戦い始めた。

 私は戦いに集中して、思考の沼から這い出す。


 二人の機体は、ロブよりかなり高性能だ。

 あの二人が遅れを取るとは思わないけど・・・。


 それより問題はこっちだ、あまりバーサスフレームに慣れてないはずのチグが僚機。

 クラスの女子で最強らしいけど、どの程度やれるのか。

 またシバが話しかけてくる――ただし今度は通信だ。


 連合同士の機体だから通信が弾かれたりしない。


『お前ら、出撃したばかりで、速さが足りてないぞ!』


 シバが機関銃を乱れ撃ってくる。

 なかなかの精度――だから読みやすい!


 私は弾丸を躱していく。

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― 新着の感想 ―
>「じゃあアリスとリッカは、敵のロブをお願い。 ロブという名称はここが初出だと思うので、説明があった方が良いかもです
ティタティー。スウと一緒に日本のご飯を食べてた時のティタティーが滅茶苦茶可愛くて好き。
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