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264 物欲を無くします


「そうだな、私が間違ってた。必要なのは満足感だ」


 私は無心になってレバーを回す。


 ここで一つ、尋ねたいことがあります。

 みなさんは『物欲センサー』という物を知っているでしょうか。

 まことしやかに囁かれる、日本のゲーム会社が開発したという感情検知システムです。


 プレイヤーが欲しいと思うアイテムの出現率を低くして、何度も何度も同じクエストに挑ませ、必死に頑張らせて目的のアイテムを簡単には出さないようにする為に作られたセンサー。

 そしてこのセンサーの恐ろしい所は、欲しいものが出ない所だけではありません。

 必死に頑張って出したアイテムが必要なくなった途端、(くだん)のアイテムが大量に出始めるのです。


 特に逆鱗の出現率に苦しまされた人は後を絶たず、アイテムの逆鱗が出る前に、プレイヤーの逆鱗に触れるという光景が日本百景に登録されたといいます。


 私は無心でレバーを回す。


『戦艦 アトランティスが当たりました!』


 え――――――せ、〝戦艦〟!?


「「「おおっ」」」


 という歓声がクラスメイトから湧き上がる。

 クナウティアさんも拍手している。


『最新の戦艦です。とっても良いものですよ』


 しかし弱った。


「で、でも。戦艦とか貰っても困ってしまいます。・・・・うちのクランは人数が少ないので」

『大丈夫です。一人でも運用できますよ』

「一人で、戦艦ですか・・・・?」


 私は遠方のアングルから、巨大戦艦が迫ってくるような、迫力ある映像をイメージした。

 その戦艦は全長1キロ、豆粒のようだった戦艦が巨躯を現し、カメラは戦艦の甲板スレスレを舐めるような映像を映す。


 伸びるように視界の後に消えていく戦艦は無人無人無人、まるで無人の荒野。


 何千人も宿泊する設備があるにも関わらずだ。

 やがて現れる。この巨大な構造物で、唯一の住人――私が腕を組んで立っている。


「すごい、寂しすぎて心が荒む」


 超巨大戦艦を一人は・・・すんごいボッチを感じそう。


 まあ良いものを貰ったんだし、喜ぼう。


 この時の私は、後にこの戦艦がみずきを救うキーになるとは思っていなかった。


「じゃあ。あと4回、回しますね」


 無心無心。


『ステータスアップ 〈原始反射加速・大〉が当たりました!』


「え・・・っ」


 クラスメイトは誰も反応しない。

 でも私は、これの価値が分かる。

 私はクナウティアさんに振り返って尋ねる。


「これ・・・良いんですか?」

『勿論です』

「私もう、〈原始反射加速・大〉を買えないんですが。〈原始反射加速・中〉しか買えないんです」

『問題ありません』

「まじですかー」


「スズっちはなんで驚いているんだ?」

「わからん」


 黒田さんとチグが首を傾げている。他の人も同じ様な様子だ。

 でもこれは凄いことなんだよ。


 さらにその後も。


『〈集中力アップ・大〉が当たりました!』

『〈反射神経加速・大〉が当たりました!』


 私は思わずクナウティアさんを振り返る。


「あの、確率とか弄ってます?」

『そのような不正はしません』

「そうですか」


 物欲センサーかなあ。

 これ、ステータスアップの(中)しか買えなくなってから使ったほうが良いよね。あとでステータスを上げておこう。


 本郷くんにも教えてあげないと。


 そうして最後に当たったのは、


『印石 〈温泉〉が当たりました!』


 なにこれ。


 クナウティアさんが拍手する。

 それにつられてクラスメイトも拍手をはじめる。


「おめでとうございます」「おめでとう」「おめでとう」「めでたいな」「おめっとさん」


 誰、急に関西人になったの。


 後で聞いたところ、温泉は入ると疲れが吹っ飛ぶ温泉をその場に発生させるらしい。

 みずきの〖水生成〗みたいにお湯を動かしたり、温度を変えたりはできないらしい。


 その後、戦艦と空母は文化祭で展示することになった。

 ちなみに戦艦のIDはマザーグースにした。


 ティンクルスターも、マザーグースの歌だし。


 ティンクルスターを入れる戦艦ならマザーグースが良いかなって。


 ちなみにステータスはこうなった。


ID:スウ


 力:24

 知力:57

 敏捷:330


 ステータス上昇:

  原始反射加速65%

  空間把握20%

  筋操作(切り替え)20%

  酸素消費量低下10%

  記憶力拡大20%

  集中力持続強化65%

  思考加速15%

  反射神経加速65%

  筋力アップ 30% 

  筋操作(精密)30% 

  筋操作(速度)30% 

  頑強(骨)20%

  頑強(筋肉)20%


称号:〖伝説〗、〖銀河より親愛を込めて〗、〖開放者〗、〖超空洞ダンジョンの踏破者〗、〖疾駆〗、〖前人未到〗、〖半額〗、〖ザ・ワン〗、〖でかでかダンジョンの踏破者〗、〖導き手〗


〖奇跡Ⅱ〗、〖暗視〗、〖強靭な胃袋〗、〖超怪力Ⅲ〗、〖第六感Ⅱ〗、〖超暗視〗、〖サイコメトリーμⅡ〗、〖念動力μⅢ〗、〖再生Ⅱ〗、〖飛行Ⅲ〗、〖超音波〗、〖マッピングⅡ〗、〖超聴覚〗、〖前進Ⅱ〗、〖味変化〗、〖テレパシーψ〗、〖空気砲〗、〖ショートスリーパー〗、〖洗う〗、〖超怪力Ⅱ〗、〖怪力〗、〖毒無効〗、〖人化〗、〖熱耐性〗、〖質量操作〗、〖透視β〗、〖温泉〗。


 魔術:土属性


 クラン:クレイジーギークス

 所持機体:XFT-0 フェアリーテイル

      WM-5 ホワイトマン

      AT-1 アトランティス


 クレジット 7275万c

 勲功ポイント1798万p 総計4157万p/TOP2位


 その後クナウティアさんが爆弾発言をする。


『もしよろしければ、わたくしもスウさん達の学校の文化祭を見に行ってもいいですか?』

「駄目です」


 私の返答が予想外だったのか、クナウティアさんが凍った。


「だって大騒ぎになるじゃん!! すごく面倒くさいじゃん、アゼルバイジャン!!」

「ちょ、鈴咲、即答でそれはないわー。だってその人銀河連合の偉い人なんだろ?」


 笠木くんが言うけど、


「・・・・偉い人だから面倒なんじゃん、アンディジャン」

「いや、どこの国だよ」

「ウズベキスタンの州だよ」

「州かよ」


 クナウティアさんが、寂しそうな目になる。

 う・・・私、自分が寂しがりやだから、他人の寂しそうな目に弱いんだ。


『どうしても駄目ですか? スウさんは親善大使なのに・・・?』

「そ、それを言われると・・・」

「鈴咲さん、来てもらいましょうよ。その代わり色々便宜を測って欲しいですわ」


 西園寺さんの欲望爆発発言に、クナウティアさんが頷く。


『銀河連合と日本の友好の為です。構いません』

「「「おー!」」」


 あ、これ止まらないやつだ。私は諦めた。

 肩を落とすと、チグに頭をポンポンされた。


 で、戦艦の中に私達の機体も展示する事になった。


 学校が戦艦の影に隠れて真っ暗にならないかな? ということで、鎌倉市の市長に頼んで、眼の前の海を借りることになりました。

 サーファーさんが一杯いるのに、ごめんなさい。

 なんか私がメインで頼みにいかされた。

 なんで私が、市長に頼むの?


市長「これはスウさん! クナウティアさんが爽波の文化祭を見学に来ると言われましてね!! 流石、親善大使です!! お陰で国から予算が出たんですよ!! 我が市の発展に寄与してくれて有難うございます!!」

私「ア、ハイ。――えっと、それで文化祭で学校の目の前の海を借りたくて」

市長「どうぞ!」

クラスメイト「「「おー!」」」


 って感じで簡単に借りれた。


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― 新着の感想 ―
更新お疲れ様です。 >1kmの長さの戦艦 大丈夫だスウちゃん。何処ぞの宇宙怪獣と戦ってる某世界なら○クセリオンで大体全長7kwちょっと(ガル○ンの大洗の学園艦も似たり寄ったり)だから!それに比べたら…
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