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251 再戦

「シャラララ」(しねぇぇぇ!!)


 ドミナント・ドラゴンが、スウへ刃物を口から乱れ打ちしてくる。


 スウは躱しにくい刃物でも、躱す。


「その口を、躱せばいいだけだし!」


 スウが、ドミナント・ドラゴンの背中側に向かって飛ぶ。そうしながらアサルトライフルを連射。

 だが、ドミナント・ドラゴンも弾丸を躱す。


「やっぱり躱すか・・・でも問題ない」


 スウの狙いはドミナント・ドラゴンの撃墜ではない。


「コケ!」(ママ!)

「リイム、ただいま!」


 スウがリイムに跨る。


「私やリイムが一人で勝てなくても、二人ならできる!」

「コケ!」(それが、合体!)

「シャラララララ!」(戯言(ざれごと)を!)


 スウが、リイムに掛けていた(あぶみ)を捨てる。

 リイムの翼の動きを遮る物が無くなった。


「コケ・・・!?」(ママ、翼が自由に動くよ!?)

「これが、リイムの翼の邪魔をしていたんだよ!」


(私にはリイムのリズムが分かる。鐙が無くたって、姿勢が乱れたりしない!)


「私達に、鐙は要らない!」

「コケ!」(ママ、有難う! 凄く飛びやすい!)

「うん、ここからがリイムの本番だね!」

「コケッ」(うんッ!!)

「じゃあいくよ、リイム」


 スウとリイムが、同時に息を吸う。

 二人がタイミングを合わせ、呟く。


「(入れ――」)


 集中していく、深く深く。


「(――ゾーン」)


 スウが世界を捨てて、瞳から光を消す。


 リイムが母の愛を信じて、瞳を星のように輝かせる。


 刹那―――、凄まじい青い輝きがリイムの翼から放たれた。

 その光は伸びて伸びて、8メートルほど左右に広がった。

 さらにリイムの全身も覆う。


 リイムが、ドミナント・ドラゴンに突進。

 

「シャララララ」(は、早い!?)


 亜音速で飛んでいたリイムが一気に加速。


 リイムとスウの体を雲の傘が覆う。


 スウは自分とリイムを〖念動力〗の膜で二人を覆って、音速を超えると発生する危険なソニックブームから二人を護る。


 ――いや、リイムの身体は光が守っているようなので、スウは念動力は全て自分の身体の保護に回した。


 凄まじい振動の後、静寂。そして無音。


 二人は、今、音を超えた。


 スウの放つアサルトライフルの弾丸が、正面からドミナント・ドラゴンに迫る。


 リイムの加速まで加えた弾丸相手では、さしものドミナント・ドラゴンも正面対決(ヘッドオン)状態では躱しきれず、ドミナント・ドラゴンが被弾。


 痛みに叫んだドミナント・ドラゴンの口から、再び衝撃波が放たれる。

 だがもうスウに衝撃波は当たらない。


 スウ&リイムとドミナント・ドラゴンがすれ違う。


 互いが同時に、上昇からの背後へ∪ターン――インメルマンターンを繰り出す。


 同じ行動を取ったスウ&リイムとドミナント・ドラゴンは、インメルマンターンを中止。


 上昇しながらのバレルロールを行い、二本の螺旋を描きながら上昇。――シザース状態で昇って行く。


 すると早すぎるリイムが、ドミナント・ドラゴンに後ろを取られる形になった。

 そこへアリスとリッカからの通信。


『スウさん!』

『スウ!』

「あ、駄目二人共! 相手はスキルを使えなくしてくるから、あんまり近寄らないで! 〖飛行〗も〖重力操作〗も使えなくなったら、二人は死んじゃう――長い鋼の棒とかあれば助かるかもだけど・・・」

『長い鋼の棒? なんでそれで助かるんだ・・・?』

「棒に地面の衝撃を受けてもらって、滑り降りるの」


 アリスとリッカが叫ぶ。


『『はーーー!?』』


 アリスは驚愕の表情のまま、スウに尋ねた。


『そ、そんな方法で生き残ったんですか!?』

『それで、わたしがワクワクしながらあげたハルバードか! ほ、本当にあげてよかった・・・』


 リッカの安堵。アリスは背中の蛍丸を叩く。


『じゃあ蛍丸の柄から地面に降りて鞘を滑り降りれば、行けそうですね』

「さ、鞘が割れなければね」

『鉄(?)こしらえの鞘ですから大丈夫です。リッカは下がってて下さい』

『むう・・・・まさかのわたしが役立たずとは』


 リッカの刀だと短すぎるのだ。


 アリスはスウに近づこうとするが、リイムが早すぎて追いつけない。


『こ、これは・・・戦いに介入するには遠距離武器が必要ですね』


 アリスは火縄銃のような物を取り出すけれど、リッカが眼を細めながらツッコミを入れる。


『それ散弾銃だよな? ――アリス、スウに当てるなよ・・・?  今アイツの装備は「ぬののふく」だからな』

『それなんですよね・・・・』


 アリスはとりあえずスウに近づきながら、背中の蛍丸に手をかけた。

 後ろを取られたスウが急降下、アリスに近づいていく。

 やがて、スウは地面に水平に逃げ始めた。


『あっ、こっちに来てくれました!?』


 スウは水平方向に、アリスから数百メートルの距離に来た。そうして、アリスに近づいてくる。


「アリス、敵の刃物に気をつけて」

『は、はい!』


 アリスが、蛍丸で刃物を弾く構えになる。

 そうしてスウはアリスから100メートルほどの所まで来て、再び上昇。


『え、刀の間合いに入らないんですか!?』


 アリスは少し驚いた。


 スウの考えは、アリスと少し違った。


「リイム行くよ」

「コケ」(うん、ママ)

「(シャドウ・サークル!!」)


 スウの必殺技、シャドウ・サークルが炸裂する。


 リイムが天空に向かって翼を広げ、フィギュアスケートでもするかの様にバレルロールをしながら、ドミナント・ドラゴンの背後へ、リイムは大空に弧を描く。


「シャララララ!!」(バカめ、上昇で速度を下げつつ、速度を高度に変換したつもりだろうが)


 リイムの下になったドミナント・ドラゴンが急降下しだす。


「シャララ」(お前達の体は軽い、どうやって高度を速度に戻すつもりだ!? 俺の体は重いぞ!)


 重い体のドミナント・ドラゴンが一気に加速していく。加速して逃げるつもりだ。


 ドミナント・ドラゴンは音速を遥かに超えて、落下していく。


 スウがアサルトライフルを撃つけど、相手の速度が早く、弾丸の到達時間が遅いため相手は余裕で躱してしまう。


 ここでスウがアリスに通信を入れる。


「アリス――」


 アリスはスウの考えを、瞬時に理解。


『〖重力操作〗全開!!』

「〖質量操作〗!」


 レベルがⅣとなった〖重力操作〗が、リイムの体に届いて一気にリイムを重くする。私がさらに〖質量操作〗でリイムの質量を重くして、〖重力操作〗の効果に掛け算をする。


「コケエエエ!!」(アリスお姉ちゃん、ありがとう!)


「シャラ―――ッ!?」(しま―――っ!?)


 リイムが落下しながら羽ばたく度にぐんぐん加速――やがて音速の二倍にも達した。

 およそ生物が出して良い速度ではない速度に達した、リイム。彼の背中から放たれたスウの弾丸が、次々とドミナント・ドラゴンに命中。


 弾丸が命中するたび、ドミナント・ドラゴンが口から衝撃波が放たれるが、スウ達は物ともしない。


 衝撃波を食らいスキルを奪われたアリスが落下していったが、スウの助言通り蛍丸を構えているし、リッカが急いで救援に行っているので間に合うだろう。


 スウが弾丸を100発ほど撃ち込んだところで、ドミナント・ドラゴンは悲鳴とともに、ジルコンのようになり砕けて消えた。


◤ドミナント・ドラゴンを倒しました。銀河クレジット50万と、勲功ポイント50万を手に入れました◢


 スウは手を、リイムは翼を挙げて、二人で打ち合わせた。


 こうして一行は、191階を突破した。

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― 新着の感想 ―
更新お疲れ様です。 今までも『再生』の使い過ぎで冥界にお呼ばれ寸前のシーンとか有りましたけど、相手が強くて物理的にガチ乙しそうになったのは久しぶりですね。 これマジで勝てるの現状スウちゃん親子(?)…
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