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244 命理ちゃんと戦います

◆◇◆◇◆


 一方、命理ちゃんがどれだけフィンガー・バレットを放っても、黒いリイムに乗る黒いスウに当たらない。


「スウに弾丸を当てられる気がしない! ――な、なら光ならどう!? アイ・レーザー!!」


 命理ちゃんが目から光線を放つけど、


『〖触手〗』


 黒いスウが、〖触手〗で光を受け止めた――光が全部黒い触手に吸い込まれた。

 命理ちゃんが呆然とする。


「・・・・あれ、黒体なの?」


 あの黒い触手、黒体だったの!?

 ――私の中で〖触手〗の評価が一気に上昇する。

 黒いスウが、右手を突き出す。


『〖念動力〗〖超怪力〗〖怪力〗』

「不味――」


 命理ちゃんは不可視の何かから逃げようと飛び回るけど、命理ちゃんの動きが衝突事故でも起こしたように止まる。


 駄目だ、黒いスウの〖念動力〗が命理ちゃんを捕らえてしまった。


「ぐ――か、躱せない! スウの攻撃は躱せない!!」


 命理ちゃんが大暴れする。

 さらに触手が、命理ちゃんに巻き付く。


 命理ちゃんの体が軋み始めた。


 というかアレ、念動力を命理ちゃんの体の中に突っ込んで内部から握りつぶそうとしてないか!?


「あ、ぁあああああ!!」


 悲鳴を上げた命理ちゃんは、全力を振り絞るようにする。

 すると徐々に拘束が解けていく――けど、ここで黒いスウが首のスイッチを押した。


 まずい、雪花のバーサクモードだ。身体能力を2倍に引き上げた。


「ァ―――キャアアアアアア」


 命理ちゃんの体から、バキバキという音が聞こえてきた。


 しかし黒スウの触手を、隣から飛んできたティタティーが氷の刃で切り裂く。


 命理ちゃんが床に転がって、お腹を押さえながらティタティーにお礼を言う。


「あ、ありがとうティタティー」

「うん」


 そのティタティーを追いかける、黒いアリス。


「〖重力操作〗」


 飛んでいたティタティーが地面に貼り付けになった。


 強化された〖重力操作〗だ。


 ティタティーに掛かっている重力は、考えるのも恐ろしい。


 それでもティタティーは氷の壁を作って、黒いアリスの刀をなんとかしのいでいる。

 しのぎながら、なんとか黒いアリスに氷柱をぶつけて、〖重力操作〗が解けた瞬間に抜け出して逃げる。


「ニセモノ・アリス――なんか、ボクの心を読むみたいに行動してくる――」


 アリスのギフトだ・・・あんなのまでコピーしてるのか。

 ティタティーが呟く。


「――まずい、相性が悪い者どうしをぶつけられてる?」


 ティタティーのつぶやきに、私も同意だった。

 ――多分、相性が悪い者同士をぶつけられている。


 アリスとリッカは、なんとか互角の戦いをしているけど。


 でも私に向かってきた黒い命理は、そんなに相性が悪くない気がする。

 ――もしかして、多分私がこの中の全員に勝てるから・・・・命理ちゃんをぶつけるしか無かった?


「なら!」


 私は、黒い命理を素早く倒すことを決意した。


 現在、私はリイムに乗って、黒い命理と空中戦を繰り広げている。

 この空間は高さもかなりあるのだ。


 リイムの翼vs黒い命理のロケット噴射。

 ――流石命理ちゃんのコピー、容易に近寄らせてくれない。

 というかこっちは亜音速なのに、命理ちゃんは超音速。

 どうしてもこちらが不利。


 私も黒いスウみたいに、バーサクモードを使用するべきかと考える。

 でもバーサクモードを使用してしまったら、私はおおよそ30秒後意識を失うだろう。そうなったら、みんなの援護に入れない。

 それじゃあ、素早く相手を倒しても戦況が変えられない。


 なら、どうするか。――黒い命理が私の目を見た。


 私は危険を感じて、自分の顔に触手を持ってくる。

 やはり黒い命理ちゃんの目から、光線が放たれた。


 私は黒体と分かった触手で、光線を吸収できた。


 光が止んだので、眼前を覆った黒体をどける。


 視界が戻る――って、黒い命理ちゃんがいない。


 黒い命理はちゃん―――どこ?!


 周囲を探すと、頭上からなにか甲高い音がしてきた。

 みれば飛んでいる私の――更にはるか上空で、何かを溜めるようにしていた黒い命理ちゃんが、飛び蹴りの姿勢。


「え、な―――?」


 私は危険を感じて、リイムを蹴りながら飛び退く。


「〖飛行〗」


 私がスキルを使った次の瞬間、黒い命理ちゃんの背中で大きな爆発が起きて、黒い命理ちゃんの全力蹴りが私のお腹に刺さった。


 瞬間、視界がモザイクになった。


 私は一気に空中から降ろされていく。背中で空気が逃げ場を失い、飴みたいになって、私を押しつぶそうとする。


 雪花がダメージを抑えきれていない。

 ダメージが通ってくる!


 これが、ハイパー命理キック!?


(〖再生〗〖再生〗〖再生〗〖再生〗――!!)


 私は黒い命理ちゃんを、なんとか〖念動力〗などで押し返そうとするけど、エネルギーを十分にためた黒い命理ちゃんは止まらない。

 ついには猛烈な圧力で背中が発火、地震で揺さぶられるような衝撃で空気に滅多打ちにされながら、床にエスコートされる。


 私は、耳をつんざくような轟音とともに、名前も分からない金属の床に叩きつけられた。


「ぃ・・・ごぇ―――」


 床に熾烈なタックルを食らって、視界がブラックアウトしそうになる。

 だけど気力を振り絞って〖再生〗。


 黒い命理ちゃん、駄目だ――油断なんかできる相手じゃない。


「ス、スウさん!」

「スウ!!」

「スウ・・・!?」

「・・・うそ・・・!」

「コケェ!!」(ママァ!!)


 私は手のひらをリイムに伸ばして、駆け寄ってこようとする彼に叫んだ。


「リイム、来ちゃ駄目!!」


 黒い命理ちゃんが〈ヘウレカ〉を準備し始めてるんだ。


❝嘘だろ、スウが初めて地面を舐めたぞ!?❞

❝やばい、黒い命理が〈ヘウレカ〉を取り出してる!!❞


 た、立たなきゃ流石に〈ヘウレカ〉を受けたら、雪花が有っても死んでしまう。

 私は〖飛行〗で自分を浮かせて無理やり立たせる。

 そうして〈時空倉庫の鍵〉を開いて、中から殺虫剤の様な形をした缶を取り出す。

 さらにみんなに念話(こっちを見ちゃ駄目)。

 リイムには〖テレパシー〗。


 みんなは了解の返事と共に、私の方を視るのを止めた。


 私は殺虫剤の缶のような物のピンを〖念動力〗で抜いて、〖念動力〗で投げた。


 宙を舞った〝それ〟は、突如強烈な音と閃光を放った。


❝が、画面が真っ白だぞ❞

❝なんだあれ!?❞

❝フラッシュバンだ!!❞


「〖超聴覚〗」


 私は〖超聴覚〗で聴覚をとりもどし、黒い命理ちゃんを視る。私はちゃんと目を閉じていたので、視覚を失ったりしていない。


 狙い通り、黒い命理ちゃんは視界と音を失っている。


 私は〖飛行〗で黒い命理ちゃんに接近――間合いに入って〖念動力〗〖超怪力〗〖怪力〗で、黒い命理ちゃんを拘束。


 〈ヘウレカ〉を奪って243mmキャノンで撃滅。


 すると黒い命理ちゃんが大きく口を開く――ヘウレカがなくなったから〈真空回帰砲〉を撃つつもり!?


 本物の命理ちゃんは、下手に〈真空回帰砲〉を撃てないけど、黒い命理ちゃんは容赦なく撃てる。

 ――アレを撃たれたら、私どころか全員やられる。


「〖触手〗」


 私は触手を使い、自分自身をカタパルトから放つ様に射出。


 横向きになって、〖乱歩〗。左右に蛇行するのを一歩だけ使って加速。


 〖飛行〗〖怪力〗〖超怪力〗〖空気砲〗。で加速に拍車を掛ける。


 後は正面を向いて――凄まじいGと空気の圧力が私に襲いかかって来た。


 〖前進〗!!


 慣性を全て乗せて――、


 243mmキャノンの弾丸を2つ、黒い命理ちゃんに向かって放つ。


 直撃だ、轟音と煙が上がった。


 命理ちゃんのコピーでも、流石に耐えられる訳がない。

 これで倒せた筈。

 そう思っていたのに――私は目を剥いた。


 煙が晴れて現れた黒い命理ちゃんは今の攻撃を耐えていたのだ。

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