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240 でかでかダンジョンで初めてのボス戦をします

 で、159階までクリア。攻略を始めてから、ここに来るまでに14日も掛かってしまった。

 とうとうハロウィン当日。ハロウィン配信ということで、私達みんなで〈熊袋類〉と〈熊手〉を装備して探索をする。


❝あははは可愛いwww❞

❝全員クマの着ぐるみ、ハロウィンにピッタリじゃねワロwww❞


 受けて良かった。

 でもこのきぐるみ、防御力や攻撃力は対したことないのですぐに脱いだけど。動きにくいんだもん。


 そうして階を進めるほど、印石がでなくなってきてアイテムが沢山出るようになってきた。

 どうも、そもそも出る印石が無い敵もいるらしく、いくら倒しても印石を出さないのがいる。


 結果、手に入ったアイテムは、


〈獣王の竪琴〉 奏でれば、獣は恐れ慄く。命理ちゃんがゲット。

〈ウィル・オ・ウィッチハット〉 帽子が喋って魔法を唱えてくれる。リッカがゲットして、ティタティーにプレゼント。


 そしてアリスがゲットした、〈思い出す指輪〉。


「この指輪は、〖サイコメトリー〗の強化をしてくれるみたいですね記憶の検索をしやすくなるというか。まあ検索ワードが分からないと駄目みたいですけど」


 ちなみにアリスの形態変化はもう解けている。


 今日がハロウィン当日なのに。


 猫耳メイド、可愛かったなあ。


「記憶版Googol先生かな?」

「スウさんにあげますね」

「いいの?」

「これはスウさんにしか使えないじゃないですか」

「そっか、じゃあ貰おうかな」

「では、わたしが嵌めてあげますね。手を出して下さい」

「いや、恥ずかしいから自分で嵌めるって」

「いいから手を出して下さい」


 アリスがちょっと強引に、わたしの左手を取る。

 そして、薬指に指輪を嵌めようと・・・・。


「ちょ――待て待て待て! そこに嵌めたら結婚指輪じゃないか!」

 

 私がアリスの手を押さえると、なんかアリスの指の力が強くなった。私は思わずアリスに尋ねる。


「全力出してないか、アンタ!」

「先っちょだけ先っちょだけ!! 遊びなので、5秒で外していいですから!!」

「結婚指輪を、遊びではめられてたまるか!!」


 ふたりで「「んぎぎぎぎ」」とやり合っていると、アリスが急にピタッと止まって。

 自分の頭を コツン と叩いて「イテッ」という感じにウインクして、イタズラっぽく舌をちょこんと出した。


「いっけネ♡ 忘れてました。ここだと結婚指輪ですね」

「忘れてたと言うなら、私が思い出せる言葉を吐いた時点で止まれ」


 アリスが一瞬そっぽを向いて、改めてという風に私の右手を取る。


「じゃあ、こっちの薬指なら問題ありませんね」

「まあ」


 アリスが何か獲物でも狙うように、ギラギラした目で私の右手の薬指に指輪を嵌めだした。

 ――どうしたんだろ。


❝スウたん、右手の薬指の指輪の意味は「恋人」だぞ❞


 「「んぎぎぎぎぎぎ」」私とアリスの手が力の拮抗を始めた。


「潔く嵌められて下さい! 〖重力操作〗!」


 うわ、アリスの指が重くなった、ビクともしない!


「いや、おかしい! なにしてるのアリス! 〖超怪力〗」

「わたしの指輪が、嵌められないっていうんですか! 〖超怪力〗!」

「場所による! 〖質量操作〗〖怪力〗!  そろそろスキル使うの止めないと指が取れる!」


 そこからもひとしきり2人で押し合い圧し合いして、息切れした。

 結果、「集中力」を高めてくれるという右手の人差し指に嵌める事となった。


「りスウなーのコメントさん、余計なマネをしてくれますね」


 アリスがぷりぷりしながら言った。


「危ないところだった」


 私は胸をなでおろす。


「いいじゃないですか、減るもんじゃなし」

「SAN値が減る」

「身持ちの硬い人ですねえ」


「冗談やってないで、ホラさっさと行くぞー」


 リッカが次の階のゲートに入っていく。

 一人で行かせるのは危ないんで、私達も慌てて走った。


 そしてやってきた161階は、メタセコイアの森林だった。

 2、30メートルは有ろうかというビルみたいな巨樹が立ち並ぶ中を歩む。


「ここ、MoBがいないね」


 静かな森には、そびえ立つメタセコイア以外、生き物の気配すらない。

 虫の声も鳥の声もない。


 命理ちゃんが、周囲を見回しながら警戒する声を出した。


「みんな気をつけて。こういう場所にはダンジョンボスがいる可能性が高いわ」

「え、ボス・・・・?」


「愚かで矮小な者たちよ」


 低い低い声が頭上からした。


 見上げれば、メタセコイアの倍は有りそうな身長の巨人が立っていた。


 巨大な鎌を持っている。


 巨人は古代ギリシャの人っぽい格好をしていた。

 帯のような布を左肩に掛けて、右肩を出している。

 さらに布を、足元までを覆うポンチョのように垂らしている。


 なんだろう、ギリシャの賢者っぽい格好だ。


「喋る――MoB?」


 ファンタシアならドラゴンが喋ってたけど、それ以外では初めてかも。

 巨人の頭上に表示されているのは、


『アンドロ種 ハイパーミュータント マウント・ジャイアント』


「我が領域へ足を踏み入れたことを、後悔するが良い」


 マウント・ジャイアントが空に吼えると、沢山の巨人が空中に現れだした。

 マウント・ジャイアントよりは小さいけど、それでもメタセコイアより頭一つ分くらい大きい巨人たちだ。30メートルと少しくらい有る。


 それが100体ほど。


『アンドロ種 ミュータント サーバント・ジャイアント』


 アリスが後ずさる。


「ボスなのに、ちょっと数が多すぎませんか?」


 リッカも緊張した面持ちになった。


「しかもこいつら、バーサスフレームより大きい」


 確かにバーサスフレームは13~20メートルくらいだから30メートルといえばずっと大きい。


「みんな、とにかくやるしか無いよ!」


❝やばくないか、流石にこれは❞

❝生身で相手するような敵じゃないだろう!❞


 私は〈時空倉庫の鍵・大〉のゲートを開いて、バーサスフレーム用の機関銃タイニーガンでサーバント・ジャイアントを撃つ。


❝そうだ、この子にはこれが有った❞

❝前に、生身で〈アトラス〉ぶっ倒したしなあ❞


 コメントは、一安心みたいな空気だけど。


「ちょっと不味いな」


 とりあえずバーサスフレームの攻撃は効くけど、結構硬い。


 リッカが太刀を収めて、気合とともに抜刀一閃、抜水術を繰り出した。


 足を切られて倒れるサーバント・ジャイアント。

 ・・・・やばい、ちびっ子がタイニーガンより殺傷力高い。

 でも――いけそう!?


 私が安堵したのも束の間、サーバント・ジャイアントが次から次へと密集してきて――私達全員、囲まれそうになる。


「みんな、相手の身長が高すぎる――地上は不利だから空へ!! 〖飛行〗」


 全員「たしかに」と頷いて、全員空へ飛び上がった。

 だけど、何匹かの巨人たちも翼をはやして空へ浮かんでくる。


 半数くらいが空にまで追いかけてきた。


 メインボスのマウント・ジャイアントも飛んできている。


「ちょ・・・その巨体で飛ぶの!?」


 私達は、空中で巨人たちと相対する。


 アリスの超重の攻撃、リッカの超速の抜刀術、命理ちゃんの新たな体を手に入れたことで威力の上がったフィンガーガン、ティタティーの臨界励起放射みたいな範囲攻撃。

 ――それぞれが炸裂していく。

 みんな火力高い。


 でも敵の数が多すぎる。


「キツくないですかこれ!」

「倒す前に、体力が尽きそう」


 アリスとリッカが汗を拭おうとしてヘッドギアがあるので出来ないことに気づいて、ヘッドギアのスイッチを押す。

 すると吸引装置が発動して、二人の汗を吸い込んだ。

 私は、ちょっと考えて頷く。


「よし――じゃあ、アレを出そう」

「アレ? ――ああ、アレですか!」

「集めるのに、時間掛かったなあ」

「リッカは、ほとんど寝てたわ」

「うん。主に頑張ったのはリッカ以外――というかスウがほぼ一人でやってた」


 私は両腕を広げて、〖仲間〗を呼ぶ。

 空中にゲートが開いて、その向こうから現れる。


 1000匹を超える、ドミナント・オーガ

 1000匹を超える、マンハント・ペリトン

 プルモースライムは可愛いので、私の肩に乗せている。


 2001匹の軍勢。

 マウント・ジャイアントがたじろいた。


「え・・・ちょ・・・・それはズルくない?」


 私は両腕を広げた『支配者のポーズ』で宣言する。


「ぉぉ。()け、我が冠絶(かんぜつ)比類(ひるい)なき軍勢よ」


 巨人たちに襲いかかる、我が冠絶比類なき軍勢。

 マウント・ジャイアントや、サーバント・ジャイアントはドミナント・オーガやマンハント・ペリトンを踏み潰したり、叩き潰したりするけど。――無駄、アイツ等は何度でも復活する。

 こうしてやがて一匹、また一匹とサーバント・ジャイアントが倒れていく。

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― 新着の感想 ―
更新お疲れ様です。 喋る巨人がボス…なるほど『(ダンジョンの)名は体を表す』って事ですね。 そして101匹ワ○ちゃんならぬ2001匹モンスちゃん……まさに「戦いは数だよ兄貴!」ですなww それでは…
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