231 課金要素が出現します
私達がダンジョンから帰還すると、ダンジョン前に人だかりが出来ていた。
人々が騒ぎ出す。
「出てきた。本当にスウたちだ」
「アナウンス通り、マジでクリアしたっぽい」
「スウさん、一式さん、リッカたん。銀河連合からアナウンスがあったんだけど、『超空洞ダンジョン』をクリアしたって本当?」
私は、知らない人に怯えてアリスの後ろに隠れる。
アリスが、私を撫でながら返事をした。
「はい、クリアしましたよ」
一斉に「おおっ」と、感嘆が挙がった。
「ダンジョンボスの宝箱出た? 出たなら、なんだったの?」
「鞘でした」
人だかりの顔が、急に曇る。
「鞘・・・・それは」
「ハズレか」
「ご愁傷さまだなあ」
リッカが「フッフッフ」などと笑っている。
大当たりだったもんねぇ。
私達が人だかりに囲まれていると、後ろから知った人の声がした。
「やー、参ったな。やっと52階まで行けたところだったんだけど、ダンジョンが変質を初めて、階層が消えて押し出されてしまった」
ウェンターさんだった。
というか。え、ダンジョン消えちゃったの!?
「す、すみません。ウェンターさん、消えるとは思って無くて!」
「いやいや、仕方ないよ」
ウェンターさんの後から続々と人が出てくる。
「やられたー」
「1階だけの巨大なフロアになっちゃった」
うわー、せっかくみんな攻略してたのに悪い事しちゃったかな。
なんかPTを組んでいるらしいイケメンたちが。
「おー、よくもやってくれたよー」
「まあ仕方ないよ」
「そうだな」
「やっと26階まで登録出来たのに、やられたなあ」
登録? ・・・〖パーティー〗のスキル持ちさんかな?
「ほ、ほんとごめんなさい・・・」
イケメンに怯えながら頭を下げる私に、4人は私に笑うだけだった。
「まあ。スウさん命名のでかでかダンジョンの方もあるし」
「んじゃ、あっち行くかー。こっちクリアされたんだし、すぐ開放されるだろう」
「階ごとに自然あふれるダンジョンらしいし楽しみだぜ、また速攻クリアされるんだろうけど」
「そうだなぁ」
イケ面達が相槌を打って立ち去っていく。
私は怯えながら「やっちゃったなあ」という顔をしていた。
すると、周りが「そんな事ない」と言い出す。
「さっさとここをクリアしてくれて良かったよ」
「こっちをクリアしたんだし、でかでかダンジョンがすぐに開放されそうだから寧ろ感謝」
「うんうん」
そうなのかなあ。と私が思っていると、アナウンスが流れてきた。
『ただいま超空洞ダンジョンがクリアされましたので、でかでかダンジョンの開放を前倒しさせて頂きます。本時刻より入場可能です。皆様ふるってご参加下さい』
人だかりの人々が騒ぎ出す。
「な? ホラきた! スウたん達クリアありがとな!」
「よっしゃ、でかでかダンジョンいくぞー!! パーティーメンバー募集~! 当方スキル〖パーティー〗持ちです。でかでかダンジョン行く人声かけてくれ~!!」
良かった。問題なさそう。
私が安堵していると、頭がモヒカンの男性が首を傾げた。
「ところで、ダンジョンが変質してどうなったんだろう?」
隣りにいたスキンヘッドの男性も首を傾げる。
「今のとこダンジョンをクリアしたら、全部変質したよね」
「最初のダンジョンは、好きな階に飛べるようになったし」
「次のダンジョンはモンスターが強くなった」
私は、命理ちゃんを振り返る。
「ダンジョンをクリアすると毎回変質するの?」
命理ちゃんが、首を縦に振った。
「そう。ダンジョンをクリアすると、ダンジョンにアイリスの幻影が現れる。そして変質する」
そっかアイリスさんが現れるのか。やっぱ、ダンジョンはアイリスさんの夢みたいな場所なんだなぁ。
とか考えていると、ダンジョンの中からアフロの男性が出てきて叫んだ。
「おい、大変だ! ――このダンジョン、クリアによる変質やばいぞ!!」
知り合いなのか、モヒカンの男性が返す。
「なに? なにに変質したの?」
「課金ショップが開かれてる!」
か、課金?
モヒカンの男性が眉をひそめた。
「課金とか、何が凄いん・・・?」
「星団帝国時代の物品が、色々売られてるんだよ!!」
え、まじで?
周りがピンと来てないみたいなので、アフロの男性が大きな声になる。
「要するに、ロストテクノロジーが売られてるんだよ!! 特機もある!!」
特機!? そ、それって――やばくない?
ロストテクノロジーや特機が売られているという言葉で、モヒカンの男性が納得の表情になってアフロの男性に尋ねる。
「ど、どうやって買うの?」
「・・・・星団帝国時代のクレジットが必要らしいけど」
「どこで手に入れるの?」
「わ、わかんねぇ」
私はアフロの男性と、モヒカンの男性のやり取りを訊きながら考える。
・・・・そう言えばさっきゲットしたなあ。バグかと思ってたけど、ここで使えって事かな。
『マイマスター、アイビー・アドミラー少将から通信です』
私達5人の顔の前に開かれる、いつもの大きなウィンドウ。
『大変な事になりました!! スウさん、アリスさん、リッカさん、命理さん、ティタティーさん! 今すぐフェロウバーグの基地まで来てください!!』
こうして私達は、銀河連合に呼び出された。




