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225 ティタティーを歓迎します

 その後、ティタティーを歓迎するささやかな歓迎会が開かれた。

 ちなみにアイビーさんは来るのに時間が掛かって、ドレスにお色直しをして現れた。


 ドレスに着替えるなんて、よっぽど歓迎してくれてるんだなあ。


 用意された食事は、ティタティーの故郷っぽい食べ物と、日本食と、銀河連合でよく食べられる物が用意されていた。

 だけど最後のは「エイリアンなんとかって食材が有りそうで怖い」と思ったけど「あれ?」なんか、食材が凄く普通に見える。


 全体的に、異様に大きくない。

 なので私は安心して、ティタティーと一緒に頬張った。


「おいひい」

「おいひいね」


 私とティタティーは2人でリスみたいに頬を膨らまして、ご飯をモグモグしながら顔を向かい合わせる。するとアイビーさんが満足気に頷いた。


「ユニレウスが開放されたことで、素晴らしい食材が届けられるようになったのです。今までまともに食料生産できる惑星はエリアスなどに限られていましたから。殆どコロニープラントで作られる合成食料に頼っていました。それか僅かにいる食べられる生き物を取ったり」


 その僅かに食べられる生き物が、エイリアンなんとかなんですね。

 命名は、なんとかならんかったのかなあ。


「ご存知の通りユニレウスは地球にそっくりにテラフォームされており、しかも環境がよく、収穫量も多いのです。元は人の住む中心地でしたから。――スウさん達が取り返してくれたので、凄く助かっています。今回もスウさんには本当に助けられました」

「えへへ」


❝俺たちも頑張ったよなあ❞

❝凄かったよな、あの戦い❞

❝何万人もプレイヤーが集まって攻略したの初めてじゃね?❞

❝また、ああいうのやってみたいかも――でも、復活判定入らない程度で頼むわ❞


 私がくすぐったい気持ちで耳の裏を掻くと、アイビーさんが微笑ましそうな表情になった。

 ティタティーが私の袖を引く。


「スウ、これは何?」


 ティタティーが指していたのは酢飯に魚介類の乗った、日本ではおなじみの食べ物だった。


「お寿司だよ。私の故郷の食べ物で、私は故郷の食べ物だとこれが一番好き。食べてみる?」

「生のお魚が乗ってるよ? お腹壊さない?」

「そこはちゃんと――・・・大丈夫ですよね?」

「銀河連合を舐めないで下さい」


 安心した私は、大好きなアジのお寿司を手でつまむ。タレがかかっている。お醤油とかは着けない感じみたい。


「私はお寿司にうるさいですよー。――最近まで回転するヤツしか食べたこと無かったですけど」


 フヒヒ、成金ですみません。

 とりあえずティタティーより先に、食べてみせる。


「――って」


 (おいし)ッ。

 アジのトロットロの油に、噛むと溶けるように崩れるシャリ。爽やかな柚子の香りが鼻孔を抜けて。


「ちょ・・・・めちゃくちゃ美味しいんですが――銀河連合舐めてました。こんなに美味しいですか、銀河連合のお寿司って」

「ふっふっふ」


 アイビーさんが鼻の穴を膨らませて、ちんまい胸を張った。

 ティタティーが、ビックリしながら食べる私の顔に首を傾げて尋ねてくる。


「そんなに美味しいの?」

「うん! こんなに美味しいもの、なかなか無いよ!」


 私と同じく食いしん坊なティタティーは、私と同じアジのお寿司を持って ぱくん。

 すると目を見開いて、頬を紅潮させほっぺたを押さえた。


「おいひいーーー!」


❝かわいい❞

❝本場の高級寿司を奢ってやるから日本においで❞

❝俺も食いたい。奢って❞

❝お前じゃない❞

❝でもティタティーは、男の子かもしれないぞ❞

❝一向に構わん、恋は盲目というだろ!❞

❝そこに目をつむっていいのだろうか❞


 アイビーさんが嬉しそうな顔になった。


「喜んで貰えてよかったです」


 その後、ティタティーは日本食にハマってくれたのか。夢中で、うな重、天ぷら、すき焼きを食べて、さらに寿司三昧(すしざんまい)していた。

 豪華だなあ。


 私は、ソマリアの海賊を撲滅した寿司屋さんの社長のポーズをしてからお寿司を食べる。

 ――うわっ、このうなぎのお寿司ふわっふわで、タレも完全に秘伝のコクな甘辛。

 こっちのトロも、トロットロ。


 私は、そんな風に美食に舌鼓を打ちながらアイビーさんに尋ねる。


「アイビーさん、ティタティーを地球に連れて行って大丈夫ですか?」

「はい、もうここまで来てしまったので大丈夫です。連合の侵入禁止区域以外なら、どこへ連れて行ってくださっても大丈夫ですよ。――もちろん本人が望むならですが。ティタティーさんが銀河連合の市民権を取ったら、禁止区域でも大丈夫です」

「おおっ、禁止区域も行けるんですね」

「はい。あとはプレイヤーとしても後で登録しましょう。わたくしの権限で、数分ほどで終わらせます」

「やった。じゃあティタティー、今度日本に連れて行ってあげるね。美味しいもの一杯あるから・・・・――私は、あんまり食べ歩き得意じゃないけど」

「うれしい」


 こうして、ティタティーと食べ歩きの予定が決定したのでした。


❝最後のメンバーは、この子かあ❞

❝生身で黒体放射はやばいって❞

❝俺もファンタシア行ってみようかなあ。ティタティーみたいな子と結婚したい❞

❝だが男・・・・じゃね?❞

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― 新着の感想 ―
更新お疲れ様です。 つい先日放送された林先生が出演されてる『海外の人が選ぶ、好きな日本料理ランキング』でも寿司がやはり一位でしたね…ティタティーが気に入るのもなんか納得です。 そういえば日本の唐揚げ…
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