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225 アイビーさんが怯えます

 アイビーさんが、ウィンドウを操作する仕草をした。

 イルさんは知ってたんだけどなあ。アイビーさんは知らないのかあ。

 まあ、彼女もドローンに訊いたりするのかな?


「なるほど、ナノテクノロジーに強く感応するホモフェキオですか。ナノテクノロジーにより寿命がとても伸びている――と。これはナノマシンを散布する杖も差し上げたほうがよさそうですね――」


 なるほど、そういうのもあるのか。

 アイビーさんが、ウィンドウからティタティーに向き直る。


「――では、ティタティーさん。早速で申し訳ないのですが、貴方の力をお見せして貰えないでしょうか?」

「いいよ」

「では少し付いて来て下さい」


 私とティタティーは、訓練場という場所に案内される。

 広々としたアスファルトの上に、バーサスフレームのホワイトマンが用意されていた。


「あれを破壊できますか?」


 流石に無茶な要求に、私はアイビーさんに「いやいや」と手をふる。


「ティタティーは生身ですよ、無理でしょ・・・」

「でもスウさんは出来ますよね、バーサスフレーム用の武器で」

「ま・・・・まあそうですけど、ティタティーが使うのは量子魔術ですよ?」

「はい、我々なら不可能だと思いますが――調べたのですが、あの惑星の量子魔術はもう進化しすぎていて、我々の知らない方法論なども出現していたり、知らない属性なんかもあって根本は同じですが、別物に近いんですよね」


 私が「それでも流石に、量子魔術でバーサスフレーム壊すのは無理なんじゃ」と思っていると、


「分かった」


 ティタティーは頷いた。


 ティタティーがあっさり頷いたので、私はちょっとビックリ。


「いや・・・ほんとにできるの?」


 頷いたティタティーが、暫く何かを念じていたかと思うと、彼の前に黒い物体が出現した。

 その物体を見た途端アイビーさんが、驚きの声を挙げる。


「こ、黒体!?」


 え、黒体を出したの!? そりゃビックリするわ。私もビックリした。


「・・・・黒体なんですか、あれ?」

「間違いないです。あのブラックホールみたいな黒さは、黒体です」


 あらゆる熱を吸収し、自由に熱を放射する。絶対零度の物質――黒体。

 ティタティーは、あれで何をするつもりなんだろう。


(イクリプス)


 ティタティーの前方の光景が凍りついていく。


(ノヴァ)


 周囲から奪った熱だろうか――黒体から細い光線が放出される。


「こ、黒体放射!?」

「ちょちょちょちょ、放射線が!!」


 黒体放射なんか使われたら、私とアイビーさん、あとティタティー自身もいま生身なんだけど!?


❝量子魔術で黒体放射するんかよ!?❞

❝怖い怖い怖い!!❞


 でもティタティーは表情を変えずに、私達に告げる。


「大丈夫。全力じゃないから、毒は出てない――あれ?」


 ・・・・よ、よかった、励起の方ね。

 うん、ティタティーは生身で黒体放射できそうってのは凄いけど――ホワイトマンには黒体塗料が塗ってあるから、熱攻撃は通用しないんだよね。


「ボクの故郷で白き翼とは何回か戦ったけど、今ので貫けるのに」


 アイビーさんが、冷や汗をハンカチで拭いながら返す。


「まさか、黒体放射が飛び出すとは思ってなかったので・・・・あの白き翼に高温攻撃は効かないんですよ」


 いや、だけどMoBには通用するから問題ないんだよね。

 ティタティーすごい。全然役に立つと言うか、生身の戦力としては命理ちゃんと並ぶ最強戦力。

 これで、ティタティーの強さがアイビーさんにも分かってもらえたかな。


「じゃあ」


 言ったティタティーが杖を持ち上げて、ホワイトマンに向けた。――え、まさか壊すつもりなの!?


 彼が念じ始めると、彼の周囲に筒のような物が沢山出現して――え、砲身? 杖というか、銃みたいな物が沢山浮いた。

 アイビーさんがまた驚く。


「ちょ、超伝導レールガン!?」


 え、超伝導の超電磁砲(レールガン)作ったの!?


 アニメで稀によく見る奴だけど、超伝導っていうのは超低温で起こされる現象で、「電気抵抗がゼロ」になる現象。確かに氷属性といえば氷属性だけども!


 超電磁砲(レールガン)に超伝導を組み合わせれば、水を得た魚どころか、水を得た龍な訳で。


 ティタティーが小さく呟く。


「いけ」


 爆音が鳴り響いて、弾丸――いやもう砲弾だ。

 幾つもの砲弾が、ティタティーの作った筒から射出されていく。


「きゃああああ」


 安全を確保しているとは言え、あまりの威力にアイビーさんが怯えてへたり込んだ。

 いやでも、これくらいの惨状は予想できたでしょ!? なんで今さら怯えてるの!?

 アイビーさんの相変わらずのポンコツぶりに、私は若干白目になりながら振動が止むのを待った。


「あれでいい?」


 ティタティーがアイビーさんに尋ねると、煙の向こうから視えてくる上半身を失ったホワイトマン。

 女の子座りのアイビーさんは、なんだか股間を気持ち悪そうにして泣きながら、何度も頷いた。


「は、はい! 十分です!!」


 アイビーさんが涙目のまま、こっちを見てくる。


「何者なんですかあの人!!」

「私もよくわかんないです」

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― 新着の感想 ―
ホホゥ この後、みんながいなくなった後で床ペロリストが出没するかも?
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