224 ティタティーが宇宙に来ます
『お久しぶりです。スウさん』
アイビーさん暇なのかな? とか失礼なことを考えていた私は、考えを打ち消して返事をする。
「あっ、お久しぶりです!」
『スウさんの提案、AIからお聞きしました。確かに、ファンタシアの方に手伝って貰った方がいい案件かもしれません。クナウティア様他、連理演算器3方も同様の答えになりました』
「やっぱりそうですよね」
『しかし一つ問題があります』
「なんでしょうか?」
『我々は、あの世界の事をあまり知りません。端的に言うと、どんな人がお強いのか分かりません。あの惑星の文化は保護されていますので、全てのファンタシアの方に募集を掛けるわけにはいきませんし。ですから下手に力を借りる訳にはいかないのです』
「それは理解しています」
『ですが量子魔術の力はあれど、科学力なしの戦力としてみれば、かの惑星の方々は我々を遥かに凌駕します』
「はい、恐るべき戦闘力を持つ人物がいました」
『その恐るべき人物を、スウさんは知っておられるのですね?』
「知っています。あの惑星全体かは分かりませんが、一つの文化圏で最強と言われる方を」
『ではご紹介頂けないでしょうか。このダンジョン攻略、1000年前の記録を調べれば調べるほど、どうも一筋縄ではいかないようなのです。結局ボス発見にすら至っていませんし。しかも現代のわたくしたちは、これまで黒体のお陰でMoBに対して帝国時代以上に渡り合えてきましたが、黒体を塗れるのはバーサスフレームだけです。パイロットスーツに塗ると人間は身動きできなくなります。黒体は、とても硬い物なので。黒体の盾は使えると思いますが、光を盾で受けるのは一般人には難しいと思うんですよね』
「・・・ですね」
『――ユニレウスで沢山の帝国時代のパイロットスーツや武器が発見されていますが、それでも正直心許ない。スウさんの持つ雪花くらいのスーツがあれば良いのですが――ご存知かもしれませんが、それはとても高価なものなので、おいそれと手に入る物ではないのです』
「はい」
『是非、我々にファンタシアの方を紹介して下さい』
「ただ、一つ問題が有るんです。その方は現在重要人物の警護に就いています。あの星のAIが『護衛対象が死ぬと、とんでもない数の人間が死んで、文化が遥かに後退して、それが数百年続く』と予想しています」
『それは・・・・不味いですね。――では我々から護衛と、彼らの言うアーティファクトを準備して贈与しましょう』
「よろしくお願いします」
「現在、護衛対象の護衛に就いている方は恐らく、相当な過剰戦力なのですよね?」
「だと思います」
『ではお任せ下さい』
こんなやり取りがあって、3日後。
私とティタティーの2人は、フェロウバーグの浮遊島の基地にあるアイビーさんの部屋の前に来ていた。
銀河連合に二人できて欲しいと言われたので、アリスとリッカと命理ちゃんとは別行動。
ティタティーが、周囲を物珍しそうに見回した。
「すべてがアーティファクトで出来ている世界があったなんて、ここがスウの故郷?」
「違うんだ。私の故郷はもっと文明が遅れてる――ただ、ティタティーのところよりかは進んでる感じ。ティタティーの世界の1000年後くらいかも? 私がティタティーの世界の文化を、ちょっと進めちゃったかもだけど」
「じゃあ今度、スウの故郷にも連れてって貰っていい?」
「それも今から聞いてみるね」
「うん」
❝ティタティーくそかわいい❞
❝最推し決定❞
❝でも性別どっちなん?❞
❝こんな可愛い子が、女の子のはずがない❞
❝納得の理論すぎる❞
❝いや、実際どっちよ❞
私がドアをノックすると、「どうぞ」と返事があった。
なので扉を開けると、アイビーさんが社長が座ってそうな机の前に立って待っていた。
アイビーさんが私達を部屋に招き入れ、ティタティーに寄っていく。
「はじめまして、ティタティーさん。銀河連合・少将、アイビー・アドミラーと申します。我々銀河連合は、貴方を迎えられたことを、とても嬉しく思います」
「アイビーさん、准将から少将になったんだ?」
私が尋ねると、
「〝ドキドキ! モンスターからの大攻勢〟で、真っ先にスウさんの凄さを看破した功績からです」
「・・・え?」
アイビーさんが握手を差し出すと、ティタティーがその手を握った。
「はじめまして」
すると、アイビーさんが目尻をさげた。
「にしても、とても可愛らしい方ですね。偉大な魔術使いと聞いていたので、もっと老齢の方かと思いました。でも格好は確かに魔術使いっぽいですね」
「いや、アイビーさん。ティタティーは104歳ですよ」
「え゛」
「伝説のエルフみたいに、長命な妖精族なんですよ」
「妖精族ですか・・・そんな種族の記録は1000年前には無かったはずですが。ちょっと待ってくださいね」
❝104歳www❞
❝ガチのエルフかよワロワロワロwww❞




