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★各作品の著作権は放棄しておりません。無断転載や自作発言等、著作権を侵害する行為はお止め下さい。もちろん無断での改編や再配布も禁止です。




★あくまで趣味の範囲での活動や放送、金銭の発生しないツイキャスなど、各種配信サイトでの使用は基本的に歓迎しますが、金銭が発生するものはNGです。




★ツイッターのDM等でお知らせ頂けますとツイキャスなら聴きに行ける可能性があるので、よかったら気軽にご連絡下さい!




★アドリブ等はストーリーを捻じ曲げない、




雰囲気を壊さない程度であればOKです




男女の入れ替えはおやめください




愛陰弄ひいらぎかげろう22歳♂♀

見た目は少年のようで息をするように毒を吐く上から目線

子供っぽい部分がある

小さい頃から体が弱くて車椅子生活をしている。




光野陽太こうのようた23歳♂

陰弄の助手兼雑用係

あることをきっかけに助手になることになった

明るく世話好きだが陰弄に頭が上がらない



宝生來夢ほうじょうくるみ25歳♀

捜査1課の新人刑事

真面目な性格



後藤誠二ごとうせいじ31歳♂

坊主頭に筋肉質で細身の1課の刑事

來夢の先輩

明るく誰にでも優しい朗らかな性格



高谷典明たかやのりあき20歳♂

クール

俳優

被害者の弟


不破一美ふわかずみ22歳♀

八方美人

誰に対しても気遣いをする性格

被害者の友人



市原紗千いちはらさち30歳♀

近くの会社で働くOL

高飛車な性格


警察官(被り)

誠二推薦


タロウ♂♀(被り)

情報屋

1人称だけは変えないでください。

陽太以外推薦


陰弄:

陽太:

來夢:

誠二:

典明:

一美:

紗千:

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


陽太M「カゲがいなくなって3日後。

いつか戻ってくるカゲのために俺は毎日事務所に来ていた。

だけど、一向に姿を現すことはない。

そんなことを考えながら事務所を掃除していたとき…

俺のスマホがブルブル震えた。

着信だ。カゲかもと思ったが違った。

その相手は……」


誠二「もしもし…俺だ。」


陽太「どうも。 

もしかしてカゲのことでなにかわかりましたか?」


誠二「あぁ…わかったことにはわかったんだが…」


陽太「どうしたんですか?なんか歯切れがよくないですね。」


誠二「落ち着いて聞け…」


陽太「は…はい…」


誠二「陰弄が…殺人容疑で捕まった。」


陽太「えっ?」


誠二「ほんの少しだが…お前と話す時間は作った。

急いで警察署に来い…」


陽太M「俺はそれを聞いて通話を切った瞬間…走り出していた。

心臓がはち切れそうになりながら走った。

カゲが殺人容疑?

あり得ない…あいつが殺人なんてあり得るわけがない…」













來夢「どうも陽太さん。

こちらです。」


陽太M「警察署の前に着くと…

宝生さんが待っていてくれた。

俺は、思い切り息を吸って…吐いた。

そしてゆっくり息を整えて…署内へと入った。

ある取調室…その扉を開くと…いつもと何も変わらないカゲの姿がそこにはあった。」


來夢「陽太さんをお連れしました。」


誠二「来たか…」


陽太「カゲ…」


陰弄「光野…待ってたぞ。」


陽太「待ってたぞって…お前……今まで何してたんだよ!

俺がどんだけ心配したことか…」


陰弄「そんなことはどうでもいい!

悠長ゆうちょうに会話してる時間はない!」


陽太「どうでもいいって…」


誠二「とりあえず落ち着いてくれ陽太…

本当に時間がないんだ。

コイツに文句があるなら全てが終わってからにしてくれ。タイムリミットがあるんだ!」


陽太「タイムリミット?」


誠二「俺がこいつの担当でいられるのは5時間だけなんだ…

一応殺人容疑で捕まってるからな…

長々とは行かないんだ。」


陽太「誠二さん…

はぁ…わかりました。

それで?なにがあったんですか?」


陰弄「僕から説明する!

軽くは聞いているだろうが…

僕は殺人容疑をかけられている。

それをお前に解決してもらいたい。」


陽太「はぁ?お前何言ってんだよ!

俺が解決?それはお前の仕事だろ!

俺はただの助手だぞ?

お前みたいな推理力なんてもちろんない!

どうやってやれって言うんだよ!」


陰弄「落ち着け光野!

僕が動けない以上…こうするしかないんだ!

僕だってお前になんか頼りたくはない!」


陽太「じゃあ誠二さんに動いてもらったらいいだろ?」


來夢「それが無理らしいんです。」


陽太「な…なんでですか?」


誠二「さっきも話したとおり、こいつの担当でいれるのは5時間だけって上からのお達しなんだ。

俺がいつも依頼の相談してる上司からの命令でな…

俺と陰弄が関わってるのを知ってるのはその人だけだ…

そのおかげでお前らを入れることができたんだ。

俺がいないと他の人間に荒らされちまう…

だから俺は動けないんだ…」


陽太「そんな…」


誠二「お前に頼るしかないんだ…

悪いな陽太…」


陽太「俺が…謎を解く…」


誠二「俺との連絡係として…いや…お前の相棒として宝生を連れて行け!」


陽太「宝生さんと?」


來夢「私ですか!?」


誠二「宝生が行けばすんなり現場にも入れる。

なおかつ俺に連絡して陰弄の知識も借りれる…

しょっちゅうは無理だがな…」


陰弄「言っておくが…

僕は力を貸す気はない。

こんな時ぐらい自分の力でやってみろ!」


陽太「全く…無茶言ってくれるぜ…」


誠二「相変わらず厳しいな…」


陽太「そうなると…俺と宝生さんで事件を解決するのか…」


誠二「安心しろ!

新人とは言え…仮にも警察学校を卒業した立派な警察官だ!」


來夢「後藤さん…」


誠二「頼りにしてるぜ?

宝生!」


來夢「はい!必ず犯人を突き止めてみせます!」


陽太「わかりました…

やれるだけやってみます!

待ってろよカゲ!」


陰弄「早くしてくれ…

こんな狭い部屋にいたら息苦しくてたまらない…」


陽太「行ってきます!」


來夢「行ってきます!」


誠二「…行ったか…」


陰弄「頼んだぞ…」(小声)


誠二「ん?なんか言ったか?」


陰弄「なんでもない!

それよりも茶ぐらい出ないのか?

カツ丼はいらないが茶ぐらい出すべきだろ!」


誠二「カツ丼なんか出ねえよ。

どこのドラマだ…

それにな…仮にもお前…一応容疑者なんだぞ?」


陰弄「知ったことか!

僕は無実なんだからな!」


誠二「ったく…ちょっとまってろ…」


陰弄M「確かにお前は役に立つことは少ない。

だが…僕はお前の利用価値を知ってる…」














陽太M「俺達は…現場へと向かった。

この時の俺は…更なる衝撃が待っているとは知る由もなかった。」


來夢「着きました。こちらです。」


陽太「ここは…雑居ビルですか?」


來夢「名前は大山ビル。

まだ綺麗ですが、今は廃墟と化しています。

人通りも少ない大通りからは外れた裏道ですね。

3ヶ月前までは使われていたそうですが…

扉も開きっぱなしで誰でも自由に入れる状態だったとて」


陽太「なるほど…遺体は?」


來夢「こちらです。」


陽太「亡くなられた方のお名前は?」


來夢「それは…見ていただいたほうが早いかと思います。」


陽太M「それを言われて…最初はよくわからなかった。

だけど…俺は目を疑った。

それは…首をナイフで刺されて絶望の顔を浮かべて横たわる知った顔…

田尻憂歌たじりゆうかの姿だった。」


來夢「私も今現場に来たので遺体を初めて見ました。

最初連絡を受けて名前を聞いたときは驚きました。

先日事件があった家の田尻憂歌さんが亡くなられるとは…」


陽太「嘘だろ…

ちょっと前まで弘樹くんを待ってるって笑顔で言ってたのに…

こんなことって…」


來夢「私も…まだ動揺してます。」



陽太「なんで…なんで憂歌さんが…

なんでなんですか!?

憂歌さんが殺されるなんてあんまりだ!」


來夢「お…落ち着いてください!

こんなことになって私も辛いのは同じです!

だけど、今は陰弄さんを救うことを優先しないと…

今度は陰弄さんが殺人鬼にされてしまいます!」


陽太「……ぐっ……わかりました。」


來夢M「私だってもちろん辛い…

だけど…ここでしっかりしないと…

刑事として…陽太さんの相棒として…」


陽太「ふぅ…ご迷惑おかけしました。」


來夢「いえ…大丈夫です。」


陽太「まぶたを閉じてあげてください。

死んでなお絶望の顔は…可哀想ですから。」


來夢「そうですね。

………ゆっくり休んでください………

あっ…鑑識さん。

お願いします。

解剖が終わり次第…私に連絡をするように解剖担当にお伝えください。」


陽太「じゃあ……宝条さん

捜査に移りましょう。

今わかることを教えてください。」


來夢「わかりました。

被害者の名前は田尻憂歌22歳…」


陽太「憂歌さん…旦那さんが亡くなられたあとも…

名字はそのままなんですね」


來夢「田尻憂歌さんから聞いたことがあります。

もし私が、引っ越さなきゃいけなくなっても…

あの子がすぐに私を探し出せるように…

名字を変えない…と言っていました。

今回の事件が起きる少し前に気になって個人的に伺ったことがあるんです。」


陽太「宝生さんって…意外と優しいんですね。」


來夢「……意外は余計ですけど

ありがとうございます。

今はそんなことより…憂歌さんです。」


陽太「ですね…

…俺が絶対…かたきをとりますから…

えっと…途中で止めてしまってすいません…

続きをお願いします。」


來夢「わかりました。

詳しいことは解剖してからになりますが…

時間もないので、どうにか急ピッチで解剖に当たらせるように頼んでおきました。

状況から見て首を刺殺されたことによる大量出血。

それによるショック死だと思われます。

ナイフからは陰弄さんの指紋のみが検出されました。。」


陽太「そうですか…

でも…そもそもなんであいつが容疑者になったんですか?」


來夢「警察署の警官から聞いた話だと…

陰弄さんが警察署に来て…

後藤誠二を出せ。

僕は人を殺したかもしれないと…言っていたそうです。」


陽太「なんともカゲらしいな…」


來夢「その場で現行犯として逮捕されたようです。

そして同時刻…第一発見者の二人から遺体が発見されたと通報がありました。時間は12時45分頃。

前の荷物が残されたままになってる一室です。

先に被害者の方の会社に連絡したところ…急用ができたと会社を出てきたそうです。

それが11時半です」


陽太「なるほど。

会社の近くの監視カメラは?」


來夢「確認したのですが…

会社を出て以降の足取りが掴めないんです。」


陽太「足取りが掴めないか…」


來夢「会社からここまでは徒歩で約一時間ほどです。

そのことから死亡推定時刻は11時半から12時45分となります。」


陽太「なるほど…」


紗千「すいません。」


來夢「あっ…待たせてしまい申し訳ありません!」


紗千「早くしてもらえる?私も用事があるので…」


陽太「あの、どちら様ですか?」


來夢「こちらの方は市原紗千いちはらさちさん。

ここのビルで無断でお昼ご飯を食べていたらしいので…

関係者として…事情聴取させていただく予定の方です。」


紗千「別にいいじゃない!

使ってないんだから!

もう使わないから帰らしてほしいって言っても事情聴取があるの一点張りなんだもん!

だから警察って嫌い…」


陽太「他にもいるんですか?」


來夢「はい。奥の部屋に2名…」


陽太「じゃあ…解剖の結果がまだ出てないし…

まずは話を聞きましょうか。」


來夢「わかりました。

では、こちらへどうぞ!

市原さんもこちらへ!」


紗千「はいはい…わかったわよ!」


陽太M「そして俺は…

それ用に準備された個室へと通された。

警察署だと色々と面倒になるかもしれないという…

誠二さんの考えらしい…」


來夢「こちらの方々です。

手前に座ってる方が先程も一度お会いしてる…

市原紗千さん。」


紗千「早く終わらしてよね!

ここでタバコはだめって言うし…

廃墟だからいいと思うんだけど…」


來夢「奥の席の右側に座ってる方が…

田尻憂歌さんの弟さんにあたる第一発見者の一人…

高谷典明さん。」


陽太「発見者の方は複数いるんですか?」


來夢「そうです。」


典明「どうも。」


陽太「あなたが田尻憂歌さんの弟さんですか?」


典明「弟と言っても…義理ですけどね。

改めてはじめまして。

高谷典明と言います。

姉さんをご存知なんですか?」


陽太「ちょっと前の事件でね。」


來夢「さっき話した探偵さんの助手の光野陽太さんです。

今回は探偵の人が諸事情でこれなくなったので代わりにお手伝いを申し出てくれました。」


典明「そうなのですね。よろしくお願いします。」


陽太「よ…よろしくお願いします。」


來夢「そしてこちらが田尻憂歌さんのご友人でもう一人の第一発見者の方です…」


一美「不破一美と言います。

遠いところ…憂歌のためにありがとうございます。」


陽太「いえいえ…たいしたことじゃありませんよ。

俺も憂歌さんにはお世話になりましたから…

犯人を捕まえたいんです。」


一美「絶対捕まえてください。」


來夢「では、すぐに一人づつ事情聴取を始めますので

もう少々だけお待ちください。」


典明「わかりました。」


紗千「まだ待つの?

じゃあ一服だけしてきていい?」


來夢「ふぅ…

わかりました。

では、その代わりに警官を一人付けさせていただいてもよろしいですか?」


紗千「別に逃げないわよ!」


來夢「すいません。

規則ですので…」


紗千「わかったわよ!

まったく…めんどくさいなぁ…」


來夢「…同行お願いします。」


警官「はっ!わかりました。」


來夢「じゃあ陽太さん!

少しこちらの方に…」


陽太「なんですか?」


來夢「このあと別室で事情聴取を行います。

その際は…自由に聞いてください。」


陽太「わかりました。

でも…今日は邪魔するなとか言わないんですね。」


來夢「まぁ緊急事態ですから。

それに…後藤さんの指示でもありますし…」


陽太「わかりました。」


來夢「ふぅ…」


陽太「どうしたんですか?」


來夢「私は陰弄さんが嫌いです。」


陽太「あっはは…はっきり言いますね…」


來夢「嫌いですが…

あの人が殺人なんてするとはどうしても思えなくて…

陰弄さんはあんな性格なので僕は犯人じゃないの一点張り。

そのままダンマリを決め込んでいるし…

なので…私は刑事として真犯人を捕まえる。

それだけです!」


陽太「ええ…捕まえましょう。」


來夢「もちろんです。」


陽太M「そして俺達は…別の部屋で個人の取調を行うことになった。

最初の容疑者は市原紗千。

性格に少し難はあるようだが…

それだけで決めたらカゲに怒られてしまうだろう…

それにしても…カゲは大丈夫だろうか…」















誠二「なぁ陰弄?」


陰弄「なんだ?」


誠二「お前もしかして、もう犯人わかってたりしないのか…?」


陰弄「バカが!

わかるわけがないだろう!

僕は確かに他の人間より頭はいいだろうが天才でない!

情報も無く犯人を見つけられるなら苦労しないぞ!」


誠二「まぁ…それもそっか…

そんなことあったら警察はいらないよな…。

それにしても…なんであいつにやらすんだ?」


陰弄「ふっ…そんなこと…言う必要があるか?」


誠二「…お前ならそう言うと思ったよ…」


陰弄「まぁいい…少しだけ教えてやろう…」


誠二「珍しいな…

お前が余計な話をするなんて…」


陰弄「気まぐれだ…

暇だしな…」


誠二「あぁ…そうかい…

まぁ…一番驚いたのは自分から警察に来たことだな…」


陰弄「自分じゃどうにもできないことだ。

仕方ないだろ!

それにあのままあそこにいたら…誰かの策略に乗った気がして腹が立つ…」


誠二「まぁ、そりゃそうだ…」
















來夢「お座りください。」


紗千「はいはい…」


陽太「まずはお名前と職業を…」


紗千「市原紗千…OLしてます。」


來夢「では、あなたのアリバイを聞かせてください。」


紗千「アリバイって言ってもねぇ…

私は会社の昼休みでいつもここで一人で食べてるの

会社は全域禁煙だし…

喫煙所も遠いから…ちょうどここが良かったってだけ。」


來夢「休憩は何時から何時なんですか?」


紗千「12時から1時間だけど?

もしかして私疑われてる?」


來夢「いえ…形式上のものですので…

気分を害してしまったなら申し訳ありません。」


紗千「刑事さんも大変だよねぇ。

知らない人が殺されて…

その殺したさらに知らない人を探すなんて…」


來夢「まぁ…これが職務ですから…」


紗千「私なら絶対できないなぁ…

知らない人のためにそこまで…

知ってる人でも無理だけど…アハハ!」


陽太「ちょっといいですか?」(少し怒りながら)


紗千「な…なによ…」


陽太「仮に知らない人だとしても…人が死んでるんです。

そうゆうことを言ったり態度に表すのは控えてください。

その人の家族もいるので…」


紗千「わ…わかったわよ。

冗談も通じないなんて…嫌になっちゃう。」


來夢M「陽太さんも…怒ることがあるんだ…」


紗千「それで?他に聞きたいことでもあるの?」


來夢「はい。質問を続けますね。

いつも、何時頃こちらに来られてるんですか?」


紗千「いつも、歩いてくるから休憩の5分前に抜けて

ここに来てる。

うちは仕事さえしっかりしてればそれぐらいの文句言われないからね。」


來夢「なるほど…」


陽太「一つ聞いてもよろしいですか?」


紗千「なに?」


陽太「被害者である…田尻憂歌さんのことはご存知でしたか?」


紗千「田尻憂歌?

あぁ…亡くなった人でしょ?

さぁ…知らない。

叫び声が聞こえて、何があったんだろうと思って覗いてみたら、人が倒れてて…他に立ってる男女

…更にのぞき込んで顔を見たけど

倒れてる人の顔は知らない人だったからねぇ」


陽太「びっくりはしなかったんですか?」


紗千「別に。まさか死んでるとは思ってなかったし…

何かの撮影かと最初は思ったけど…」


陽太「そうですか。ありがとうございます。」


來夢「、市原紗千さん…

先程の部屋でしばしお待ちください。」


紗千「はいはい。わかったわよ。」


來夢「次の方を呼んできますね。」


陽太「わかりました。」


陽太M「一人の話を聞いただけじゃ何もわからないよな…

ここも廃墟になってるからカメラもない。

それをわかった上で恐らく選んだんだろ…

一体誰が犯人だ…

一番疑うべきは市原紗千…

家族が殺すわけがない…

いや、それは甘すぎる考えか……

前の一件もある…」


來夢「……さん……うたさん……」


陽太M「容疑者は三人…

探すべきは犯人を示す証拠と動機…

今のところはこの2つ…」


來夢「陽太さん!」


陽太「えっ?」


來夢「大丈夫ですか?」


陽太「すいません…ちょっと考え事を…」


來夢「2人目の方連れてきましたよ。

もう座っています。」


陽太「失礼しました。

改めて名前と職業をお願いします。」


典明「高谷典明です。

俳優業をしています。

まだ出だしたばかりで名前も売れてません…

なので、普段はメイクや雑用などのアシスタントをしています。」


陽太「この人はあまり…感情があまり出ないタイプみたいだ…


そうゆうタイプなのかな…」


來夢「なるほど。ありがとうございます。

確か…田尻憂歌さんの弟さんでしたよね?」


典明「はい。正しくは義理ですけど…」


陽太「質問させていただきます。プライバシーなことなので答えたくなければ答えないで大丈夫です。」


典明「わかりました。」


陽太「母親と父親は?」


典明「僕は父さんの連れ子で…姉さんは母さんの連れ子でした。

最初は仲がよかったらしいですが…

父と母は僕が中学のときには喧嘩が耐えなくて…

そのため離婚して僕は父方に…

姉さんは母方について行きました。

そのあと…母さんは事故死。

父さんは今も健在ですが入院してます。」


陽太「お姉さんとは会ったりしてたんですか?」


典明「はい。一年に1回程度食事をしたりですが…」


陽太「なるほど…」


來夢「今日はなぜここに?」


典明「姉さんからメールがあったんです。」


來夢「メール…ですか?」


典明「はい。

昨日の夜…確か19時頃でした。

姉さんから珍しいなと思い、すぐに確認しました。」


來夢「内容は?」


典明「明日の昼12時に…一人で大山ビルに来てほしい。

これがそのメールです。」


來夢「なるほど。ありがとうございます。

こちら証拠品として預からせていただきます。」


典明「わかりました。」


來夢「聞きたいことはありますか陽太さん。」


陽太「いえ、俺は大丈夫です。」


來夢「それじゃあ…先程の控室でお待ちください。」


典明「わかりました。」


來夢「では、次の方を呼んできます。」


陽太「お願いします。」


陽太M「一体なんの用事でメールをしたんだ。

なぜここに呼び出す必要があった?

呼び出して殺した?

だとしてもこれじゃあ自分が殺人犯だと言ってるようなものだ…

俺は何か見逃してるのか?

もう一人の証言で何かが見えるといいけど…

答えが見える気がしない…

カゲ…俺に解けるのか?」












誠二「それで?あいつにやらせる理由ってなんなんだ?」


陰弄「理由か?簡単なことだ…

理由は2つ…

1つは利用価値があるからだ…」


誠二「利用価値ねぇ…」


陰弄「あいつは僕の手足だ!

本人もそれは理解している。」


誠二「もう1つは?」


陰弄「僕が持っていないものを持ってるからだ。」


誠二「陰弄がもってないもの?」


陰弄「そうだ…」


誠二「それって…なんだ?」


陰弄「それは秘密だ」


誠二「なんだよ…

てっきり珍しくお前の気持ち知れると思ったのにな…」


陰弄「そんなこというわけないだろ!

今は2人が解決できるかどうかだけだ!」


誠二「まぁ…そうだな。」












一美「不破一美です…

仕事は実家が居酒屋をしているので…

そこで手伝いのようなものをしています。」




來夢「あなたと憂歌さんのご関係は友人だとか?」


一美「友人なんてものじゃありません…」


陽太「えっ…」


一美「大切な親友でした!

なんで…なんで憂歌がこんなことに…」


陽太「この人は…先ほどとは違って…

感情が豊かな人なのかもしれない。」


來夢「大切な友人を亡くされたあとに酷なことを聞いてしまい申し訳ございません。」


一美「いえ、大丈夫です。学生のとき…一緒に映画を見たりして…

私は涙脆もろいので…私が泣いてるのを…

隣で頭を撫でて慰めてくれたりして…」


陽太「本当に仲が良かったんですね。」


來夢「その憂歌さんのためにも…

ご協力お願いします。」


一美「もちろんです!」


來夢「ありがとうございます。

では…質問させていただきます。

なぜあなたはここにいらしたんですか?」


一美「昨日の夜…憂歌からメールが届いたんです。」


陽太「メール…ですか…」


陽太M「またメールか…」


來夢「どのようなメールですか?」


一美「これです。」


來夢「拝見します。……これは……」


陽太「なんて書いてあったんですか?」


來夢「明日の昼12時に…一人で大山ビルに来てほしい。

と書いてありますね。」


陽太M「…高谷典明さんのメール内容と同じ…か…」


一美「なにか?」


來夢「いえ…ありがとうございます。

こちらは証拠品として預からせていただきます。」


一美「あっ…どうぞ」


來夢「では先程の部屋でお待ちください。」


一美「わかりました。」


陽太M「そして不破一美は…警官と部屋を離れ…

その部屋には俺と宝生さんが残った。」


來夢「どう思いますか?」


陽太「メールの件…ですよね。」

 

來夢「はい。

どちらかが嘘をついているんですかね…」


陽太「もしくは…どちらも真実を言っているか…」


來夢「こんな状況でどちらも真実なんてあるんでしょうか?」


陽太「そういえば…

俺が助手になったばかりの頃…

あいつが言ってました。」
















陽太「俺思うんだけどさ…

何かを推理するときに迷うこととかあったりしないのか?」




陰弄「僕をなんだと思ってるんだ全く…

…そんなものあるに決まってるだろ…」


陽太「そんなときはどうするんだ?

やっぱカンとかそうゆう感じか?」


陰弄「そんなわけ無いだろ…

人間は機械じゃない…

どんなに完全に見えるものや…

迷うものがあったとしても…

必ずどこかになにかある。

それを見つけ出し真実を探し…犯人に叩きつけるんだ。

人間はどんなに嘘をついても…

残されたものは嘘をつかない…」
















來夢「陰弄さんがそんなことを…」


陽太「だから俺は…間違わないために…

全てを疑い…全てを信じるんです。」


來夢「その気持ち…私も勉強になります。

あっ…ちょっとまってください。

もしもし…お疲れ様です。

はい…はい…えっ…わかりました。

では、失礼します。」


陽太「今の電話は?」


來夢「はい。

被害者の方を解剖していた担当から連絡がありました。


陽太「なんて言ってたんですか?」


來夢「それが…ちょっと変なことを言ってたもので…

その人は優秀な人なので間違うわけはないと思うのですが…」


陽太「変なこと?」


來夢「はい。

田尻憂歌さんの死因は…絞殺だと…」


陽太「絞殺?ちょっとまってください。

確か憂歌さんはクビにナイフが刺さっていたから刺殺なんじゃ…」


來夢「そうなんですよ。

でも…私が首元を近くで見たとき…

吉川線なんてありませんでした。

鑑識の人も吉川線なんてないと言ってますし…」


陽太「吉川線って確か…

絞殺のあとのことを言うんでしたっけ?」


來夢「そうですね。」


陽太「でも…たしかにおかしいな…

なにかのトリック…

それにしてもどんな…」


來夢「とにかく…一度現場に行ってみましょう。

警察だって人間です。

見逃したことがあるかもしれない…」


陽太「そうですね。」















陽太M「そして俺達は…既に死体も運ばれたあとの現場に戻ってきた。」


來夢「どうします?

調べるものは一通り調べ終えてると思いますけど…」


陽太「そうですね。

なにか見逃したものがあるのかを確認したいけど…

特に見当たらなそうですね。」


來夢「これは…」


陽太「なにかありました?」


來夢「いや、なにか粉状のものが落ちていたのですが…

あんま関係ないですよね。」


陽太「そうですね。

あまり関係はなさそうな…

いや…ちょっと待ってください。」


來夢「どうしました?」


陽太「一応鑑識にかけてみましょう。

もしかしたら関係あるかもしれません。」


來夢「わかりました。

けど…なぜこんな粉を調べるんですか?」


陽太「カゲは直接は言わなかったけど…

もしかしたらカゲの伝えたいことがわかった気がするんです。」


來夢「陰弄さんの伝えたいこと…ですか?」


陽太「はい。

カゲはすべての見えるものを疑えって言いたかったんだと思います。

けど…俺にそんなことはできません。

だから…見える全てを疑い…

人の心を信じる…

俺はそうやって行こうと思うんです。」


來夢「ふふ…陽太さんらしいですね。」


陽太「まぁカゲに言ったら…甘い!とか怒られそうですけど…」


來夢「私はいいと思いますよ。

そんな考えがあっても…

じゃあ…鑑識に急いで回しておきますね!」


陽太「ありがとうございます!

よし!捜査の続きをしましょう!」


來夢「はい。度々申し訳ありません。

よろしくお願いします。」


陽太M「さて…どうしようか…

この粉…なんで鑑識の人は放置したんだろう…

関係ないと思ったのか…

確かに遺体の場所からは離れてる…

それに見た感じは刺殺だ…

見落としても仕方ないかもしれないが…」


來夢「おまたせしました。」


陽太「いえいえ!大丈夫です!

…宝生さん。」


來夢「なんですか?」


陽太「1度カゲに連絡してもらえますか?」


來夢「えっ?…わかりました。」


陽太M「そして俺は…後藤さんに繋いでもらいカゲと話をさせてもらった。

カゲには情報が行っていないため、今までわかったことを全てカゲに伝えた。」


陰弄「なるほど…

その粉の成分が出ればわかるかもしれないと…」


陽太「あぁ…」


陰弄「ふっ…ちゃんと見つけたらしいな…

鑑識が見落とした落とし物を…」


陽太「見つけた…」


陰弄「じゃあ僕になんの用事があるんだ?

あと少しで真相は見えるはずだろ?」


陽太「そうなんだけど…

俺に犯人なんて見つけられるのかわからないんだよ。

それに…全員が真実を言っているように見えてきちゃって…」


陰弄「相変わらず甘いなお前は…」


陽太「何も言い返せないわ…」


陰弄「お前に一つヒントをやる…」


陽太「ヒント?」


陰弄「真実の中の真実を見極めろ。」


陽太「はっ?どうゆうことだよ。」


陰弄「これ以上通話は無理だ!

じゃあな!」


陽太「あっ…ちょっと!…

あいつ…問答無用で切りやがった…」


來夢「なんだったんですか?」


陽太「最後に意味わからないこと言って切られました。」


來夢「意味わからないこと?」


陽太「真実の中の真実を見極めろ…」


來夢「どうゆうことなんでしょうか。

まぁ…陰弄さんらしいですけどね。」


陽太「とにかく…俺達は犯人を見つける

それだけです。」


來夢「ですね。」















誠二「良かったのか?」


陰弄「あぁ…あれでわからないようなら…

探偵どころか…

助手としても失格だ。」


誠二「相変わらず厳しいなお前は…」


陰弄「僕は厳しく接してるつもりはない!」


誠二「まぁお前はそうだろうな。」


陰弄「僕を理解できないやつに僕の助手は務まらない!

それだけだ!」


誠二「だろうな。」
















來夢「あっ…鑑識担当から電話です。

失礼します。」


陽太「わかりました。

…結果が出たらいいけど…」


來夢「もしもし!…はい。

はい…わかりました。急ぎでありがとうございます!

失礼します。」


陽太「どうでした?」


來夢「あの粉は…ファンデーションなどに使われるものらしいです。」


陽太「だとしたら…女性が犯人?」


來夢「可能性は高いかもしれないですね…

しかもこのファンデーション…

一般では売られていないものらしいです。

こんな成分は見たことがないと鑑識も言っていました。」


陽太「そんなファンデーションが…」


來夢「一般では使われないファンデーション…」


陽太「あの…宝生さん…」


來夢「なんですか?」


陽太「俺…ドラマで見たことあるんですけど…

ファンデーションでアザを隠すことって可能なんでしょうか?」


來夢「確かに…そうゆうファンデーションがあることにはありますが…

って…まさかそんな方法で?」


陽太「ファンデーションの成分が出てきたのなら可能性としては高いんじゃないでしょうか…

しかも一般に流通もしていない成分が使われたファンデーション…」


來夢「確かにそうかもしれませんが…」


陽太「容疑者の方々の荷物って確認したんですか?」


來夢「いえ、特にそれに見合ったものは出てない状況でしたから…

まだですが…」


陽太「じゃあしましょう!

こんなものが出てきたんですから…」


來夢「わ…わかりました!」


陽太「でも…ファンデーションのことは内密にしてください。」


來夢「わかりました。」


陽太M「そして宝生さんは…三人に念の為と言い…荷物検査を行った。

市原紗千は最後まで拒否していたが、見せてくれないと犯人候補になってしまうと宝生さんに言われ…渋々承諾したようだ。

宝生さんも、意外と怖いところがある人だ…と俺は思った。」


來夢「確認はこれで最後ですね…」


陽太「そうですね。」


來夢「全部出したけど…あれ?これって…」


陽太「なんでこの人の荷物の中にこれが…」


來夢「こんなもの使うでしょうか?」


陽太「ちょっと三人に話を聞いてみてもいいですか?」


來夢「わかりました。」


陽太M「そして俺は…三人をそれそれ別々に個室に呼び…

一つの質問を投げかけた。

あなたは普段…メイクをされますか?

そして三人はそれぞれこう答えた。」


紗千「もちろんするわよ?

今日は薄めだけど一応してるし…」


典明「僕はしませんね。

男ですから…」


一美「休日にすることは、ありますけど…

普段はあまりしませんね。」
















來夢「どうですか?

なにかわかりそうですか?」


陽太「いや、まだなにも…

だけど、何かが引っかかってるんですよね。

それがなんなのか…」


來夢「また調べますか? 


陽太「少し待ってください。」


陽太M「思い出せ…

思い出せ…

俺は何を気にしてる?何を見逃してる?」


來夢「陽太さん?」


陽太「あっ…」


來夢「なにかわかりました?」


陽太「そっか…そうだったんだ。

でも、まだ情報が足りない…」


來夢「一人でずっとどうしたんですか?あと残り1時間を切りましたよ?」


陽太「少し調べてほしいことがあります。」


來夢「調べてほしいことですか?

なにをでしょうか?」


陽太「それは…」












誠二「そろそろ時間だな…

二人とも大丈夫だと、いいんだが」


陰弄「僕達が焦っても意味なんてない…

疲れるだけだ。」


誠二「もし、事件が解決しなかったら?」


陰弄「ふっ…その時はその時さ…」













陽太「宝生さん…どうでした?」


來夢「陽太さんの予想は当たりました…」


陽太「やっぱりですか…」


來夢「まさか犯人は…」


陽太「行きましょう…宝生さん。」


來夢「えっ…?どこにですか?」


陽太「闇に咲くヒマワリを見つけに…」













紗千「なによ…わざわざ全員を集めて…」


典明「なにかあったんですか?」


一美「もしかして…」


陽太「はい。犯人がわかりました。」


一美「犯人は?犯人は誰なんですか?」


陽太「落ち着いてください。

まずはゆっくり…1個1個進めていきましょう。」


一美「そう…ですね。

ごめんなさい。

ふぅ…わかりました。」


陽太M「正直まだわかりきってない部分はある。

だけど時間もない。

けど…証拠も見つけた。

違和感も見つけた。

犯人はあの人だ。

それだけは間違いない。

あとはほころびさえあれば…」


來夢「大丈夫ですか?」


陽太「大丈夫です。

まずは…市原紗千さん…

あなたはいつもお昼を食べにここに来てた。

間違いないですね?」


紗千「間違いないわよもちろん!」


陽太「警察官の質問と重複するかもしれませんが…

そのとき…なにか変わったものは見ましたか?」


紗千「見てないわよ!

あるとすればこの二人がいたことぐらいよ!」


陽太「ありがとうございます。

次に不破一美さん。」


一美「はい。」


陽太「あなたは…休日しかメイクしないと言った…

だけど今日は平日。

仕事があったはずでは?」


一美「今日は憂歌に呼ばれたから有給を取っていて…

それが終わったら出かける予定でした。」


陽太「宝生さん…確認を。」


來夢「わかりました。」


陽太「その格好はスーツですよね?

有給を取ったのになぜ?」


一美「それは…あまり洋服を持っていなくて…

いつも、都内に来るときはスーツなんです。」


陽太「なるほど…」


一美「まだなにか?」


陽太「どうして、そんな嘘をくんですか?」


一美「嘘?私は嘘なんてついてません!」


典明「まさか…あなたが?」


一美「違う…私じゃない!」


陽太「不本意ながら…少々スマホを調べさせてもらいました。

そしたら…消されたデータの中にあったんです。

田尻憂歌の夫…田尻郁弥たじりふみやとの浮気をほのめかすやり取りが…」


一美「そんな…なんで…」


陽太「最初に疑問に思った理由があります。

正直最初はカンみたいなものでした。

あなたは取り調べで涙脆いと自分で言っていた。

なのに…声を震わす素振りはあったのに…

涙を流してはいなかった。

今回の殺人に関連してるかは別として…

僕の中で疑問が浮かびました。」


一美「そうなんですね。

よく見てますね。

学生のとき…確かに仲は良かったと思います。

毎日のように一緒に過ごしてましたから。

だけど…ある時私は彼氏に振られて…

憂歌にも相談しました。

その3ヶ月後…憂歌と私の元カレは付き合っていました。

憂歌は天然なところもあったし…

悪意があったとは思わないけど…

それが私は許せなかった。

だから、今の夫を寝取って、

奪ってやれば同じ気持ちを味合わせられると思っただけ。

だから今日…前から郁弥ふみやと約束してたから…

憂歌と会ったあと…郁弥と会う予定があっただけ。」


典明「だからって…殺さなくても…」


一美「違う!私じゃない…私はやってない!」


紗千「犯人がわかったんだし解決よね?

これでやっと開放されるわ!」


來夢「おまたせしました!」


陽太「どうでした?」


來夢「はい。不破一美さんの仰るとおりでした。」


陽太「ありがとうございます。」


一美「信じてください!私じゃないんです!」


陽太「落ち着いてください。

もちろん…犯人はあなたじゃありません。」


一美「えっ…」


紗千「嘘吐いてたのに犯人じゃないの?」


陽太「はい。

嘘はあくまで浮気を隠すため。

今回の事件とは無関係と考えています。

それに…」


紗千「それに…なによ…」


陽太「不破一美さん。」


一美「はい。」


陽太「あなたの浮気相手である…

田尻郁弥さんは…先日亡くなりました。」


一美「郁弥が…死んだ?」


陽太「はい。

詳しくは諸事情で話すことはできませんが…」


一美「そんな…まさか死んでたなんて…

私…憂歌のことを恨んでた…

だから…正直ざまあみろと思ってた。

だけど…私は郁弥を本気で愛してた。」


陽太「人を恨まず生きている人間なんてほとんどいないと思います。

だから、あなたが人を恨むことは自由です。

でも…死んだ人にざまあみろって思いながら生きるのはやめましょうよ。

誰も救われない。

これからはそんなこと忘れて生きて行ってください。

難しいかもしれないけど…きっと憂歌さんもそれを望んでます。」


一美「う…うぅ…はい。」


紗千「ところでさ…その人が犯人じゃないなら犯人は誰なのよ…」


陽太「失礼しました。

ここから本題です。」


典明「犯人は…一体誰なんですか?」


陽太「田尻憂歌さんを殺害した犯人は…

高谷典明さん…あなたです!」


典明「僕が…犯人?

何を言ってるんですか?

血は繋がってないけど…

大事な大事な姉です!

殺す理由なんてありませんよ!」


陽太「殺す理由までは俺にもわかりません。

だけど…色々なことを考えると…

あなたが犯人だと言いざるを得ないんです。」


典明「何を根拠に…」


陽太「最初は全員を疑っていました。

けど調べていくうちに…

色々と不可解な点が見えてきた。

最初に言ったとおり…

涙を流すことすらしないのは疑問点の一つだった。」


典明「それは…ショックのあまり涙すら出なくて…」


陽太「それも確かに考えました。

最初の印象は感情があまり表に出ないタイプなんだろうなと…」


典明「それだけで犯人だなんて…」


陽太「もちろんそれだけじゃありません。」


典明「証拠は?証拠はあるんですか?」


陽太「証拠はあります。

これです。」


典明「それは…」


陽太「ファンデーションを入れておくメイクセットです。」


典明「それのどこが証拠なんですか?」


陽太「確かにこれだけで証拠なんて言うのは難しいかもしれない…

だけど、あなたは最大のミスを犯した。」


典明「最大のミス?」


陽太「はい。

…あなたは男性。

これを持ってるのは不思議なんですよ。」


典明「それは…仕事道具です。

僕はメイクのアシスタントの仕事もしているので…

それで持っているんです。」


陽太「あなたは、他にも色々アシスタントをしてるはず…

なのになんでメイク道具だけ持っていたんですか?

俺はそれが明らかに不自然なのではと思うのですが…」


典明「それは、先輩に練習用にもらったもので…」


陽太「じゃあその先輩を探して聞いてもいいですか?」


典明「それは…

えっと…

いや、そもそもそのメイク道具のセットのどこが証拠なんですか?

姉は首を絞められて殺されたのに…

そんなの証拠になるわけ無いだろ!」


來夢「えっ…」


典明「なんですか?」


來夢「いや…」


陽太「一つ質問いいですか?」


典明「な…なんですか?」


陽太「あなたと不破一美さんが最初に遺体を見つけたとき…

首にナイフが刺さった状態で発見されました。」


典明「そうですけど…」


陽太「じゃあなぜ、あなたは今紐で殺されたと…

絞殺されたと断言出来たんですか?」


典明「あっ…いや、それは…

たまたま発見したときに見えたから…」


陽太「それもあり得ない…」


典明「な…なんでそんなことが言えるんですか?」


陽太「見えるわけないんですよ!

首は血で覆われていたんですから!」


典明「それは…あの…」


陽太「それに…絞殺されたあとは…

このファンデーションで消されていたみたいですからね。」


典明「違う…

僕じゃない…僕じゃない…」


來夢「もうこれ以上やめましょう。

証拠は揃ってるんです。」


陽太「もしもあなたが…箱をもっていなかったら…

僕はここへたどり着くことすらできなかったかもしれない…」


典明「くっ…」


來夢「あのメールも…あなたが送ったんですか?」


典明「メール?それは僕もわかりません。」


來夢「あとで調べればわかることですよ?」


典明「ここまで来て嘘は言いません。」


陽太「カメラの位置はどこで聞いたんですか?」


典明「カメラ?」


陽太「会社からここまでの道のりに憂歌さんが写ってなかったんです。」


典明「そんなの知りませんよ」


陽太「はぁ…わかりました。

ところで…憂歌さんの殺害した理由を…聞いてもいいですか?」


典明「…それは…

僕がメイクの仕事に関わると伝えたとき…

姉さんが僕にくれたものなんです。

大切な姉さんからもらったものだから捨てられなかった。」


陽太「そんな大切に思ってる人を…

なぜ手にかけたのですか?」


典明「姉さんがいけないんだ。

僕は姉さんが大切だ。

大好きだった。

いや、大好きなんて生温いものじゃない。

愛してた!

だから…姉さんの旦那が死んだって聞いたとき…

正直嬉しかった。

僕はいても立ってもいられず…

姉さんに会いに行った。

そして僕と結婚してと伝えた。

なのに姉さんは言うんだ。

それはできない…例え血が繋がってなかったとしても…

あなたを愛することはできないと…

あなたを愛することはないと…

傷つけてしまうからと…

僕は傷つくことはないと言った。

だけど…それ以降は無言のままだった。

結婚してからもずっと愛していた。

もし姉さんが他の誰かを愛して…

遠くに行ってしまうと思ったら…

耐えられなかった。」


來夢「そんな理由であなたは殺したんですか?」


典明「誰にも理解してもらえないことはわかってる!

けど…我慢できなかった。」


陽太「……あなたは勘違いしてるんじゃないですか?」


典明「勘違い?」


陽太「今は聞けなくなってしまったので…

本当の答えはわかりません…

だから、ここからは俺の推測すいそくになりますけど…

きっと憂歌さんは…あなたを愛していたからこそ…

愛すことがないと言ったんじゃないでしょうか?」


典明「はっ?なにを意味のわからないことを…」


陽太「もしもあなたの愛を受け入れることはないなら…

あり得ない。

例え血が繋がってなくてもあり得ない。

それぐらい言っても良かったはず。

なのに愛することはない。

あなたを傷つける…

そんな言い方をするってことは…

きっと憂歌さんの優しさだったんじゃないかと思います。

俺が同じ立場なら…あなたに対して同じことを言ったと思います。

あなたは…この罪を背負って憂歌さんの分まで生きるべきです。」


典明「うっ…うぅ…姉さん…姉さぁん!!!!うわぁぁぁぁ!」


來夢M「その後…殺人容疑で高谷典明は連行されて行った。

容疑者とされていた不破一美さん、市原紗千さんは…

後日改めて状況を聞くことになり…家へと返すことになった。」



陽太「やっと終わりましたね。」


來夢「ですね。」


陽太「高谷典明さんがパニックを起こしてくれたおかげで…

なんとかなりました。」


來夢「すごい賭けをしましたね。」


陽太「俺にカゲほどの推理力はありませんから。」


來夢「それにしても…カメラはなんだったんですかね」


陽太「さぁ?それは俺にはわかりません。」


來夢「ちょっと調べて見ます。」


陽太「お願いします。」


來夢「まぁとにかく、陰弄さんを連れ帰ってください。」


陽太「はい。わかりました。」


SEライター音


紗千「ふぅ…あんなハッタリで追い込むなんて…

やるじゃないあの坊や…

まぁ…運が良かっただけかもしれないけど…

あ…もしも〜し!

紗千で〜す!

今回は失敗ですね。

高谷典明の奴…パニック起こしちゃって余計なことをペラペラペラペラと…

えぇ…わかってますよ。

処理はすでにしてありますのでご安心を!

ではでは!また何かあったら連絡くださいヒビキさん!

失礼しま〜す!

はぁ…なんか憂鬱…」














來夢「お疲れ様です後藤さん!」


誠二「おお!お疲れ!

陽太もお疲れ様!」


陽太「本当に疲れましたよ。」


陰弄「よくやった光野。これで首の皮1枚繋がったな…」


陽太「今回の事件解決できなかったら俺クビだったの?」


陰弄「当たり前だ!」


陽太「マジかよ…勘弁してくれよ…」


陰弄「帰るぞ光野!」


陽太「あいよ。」


誠二「俺達も後始末しちまうか?

疲れてるかもしれないけどよ…」


來夢「はい!大丈夫です!」


陽太M「俺達は誠二さんと宝条さんに別れを告げ…

帰り道を歩いていた。

そのすぐあと…高谷典明さんの乗ったパトカーのブレーキが壊れており、事故にあって亡くなったと誠二さんから聞いた。」














陽太M「あれから数日後がたった…

カメラは誰かにその映像だけ書き換えられていたことを知った

一体なんのために…

でも、俺はそれよりもまだあることを引きずっていた。」


陰弄「この前はお疲れだったな光野!」


陽太「今更かよ…

まぁ…別にいいけどよ…」


陰弄「まだ気にしてるのか?」


陽太「まぁな…」


陰弄「気にする必要なんてないだろ…

お前が捕まえた容疑者がたまたま不運な事故にあった。

それだけだ…」


陽太「そうなんけどよ…」


陰弄「お前が暗いとなんか気持ちが悪い!

その不幸に満ち溢れたような顔はやめろ!」


陽太「わかったよ!

じゃあちょっと違う話していいか?」


陰弄「唐突になんだ?」


陽太「昨日テレビでやってたバラエティがあってさ…

それ見てお前にも聞こうと思ったんだよ。

カゲはさ…過去に戻りたいと思ったことあるか?」


陰弄「過去…か。」


陽太「あぁ!

ちなみに俺はあるぜ!

好きな女の子にもらったバレンタインチョコを川に落としちゃってさ!

めちゃくちゃその子に嫌われたからなぁ…

それをやり直したいと思ってる。」


陰弄「内容がしょぼいな…」


陽太「俺にとっては大事なことなんだよ!

それで?カゲはないのかよ。」


陰弄「………」


陽太「カゲ?」


陰弄「僕には…人にペラペラと喋る過去はない…」


陽太M「俺はそのカゲの姿を見て…

ただただびっくりした。

なぜなら…いつも怒っているような表情をしているカゲが…

優しい表情を浮かべていたからだ。」



陰弄「ん?なんだ!

ずっと僕の顔を見て!」


陽太「いや、なんでもないなんでもない!」


陰弄「とりあえずさっさとコーヒーを作れ!

僕は喉が渇いているんだ!」


陽太「お…おう!

すぐ作るわ!」


陰弄「全く…

少し考えればわかるはずだろ…」(独り言のように)


陽太M「俺は…その表情を見て…

感じてしまった。

全部とは言わない。

カゲの過去を少しでも知りたい。

いや、知らなきゃいけない気がした。

自分のただの興味本位かもしれない。

勝手かもしれない。

けど、カゲに話すつもりは別にない。

ただ、知らなきゃいけない気がした。」


















陽太M「そして俺は…その日の仕事終わり…

ある人のところを訪ねた。」


タロウ「やぁ。久しぶりだね。

光野陽太くん。

オイラに何か用事かな?

しかも一人で…」


陽太「頼みたいことがある。」


タロウ「君がオイラを頼るなんて…

正直驚いたけど…

いいの?オイラは高いよ?」


陽太「ローンでもなんでも組んでもいい。

すぐには無理だけど必ず払う!」


タロウ「まぁ…いつもお世話になってる人の助手だものね。

この前も一人で事件解決しちゃって…」


陽太「さすが日本一って言われるだけあるな。」


タロウ「フフ…まぁね。

それで?何が知りたい?」


陽太「陰弄の過去。」


タロウ「へぇ…カゲちゃんの過去を…」


陽太「理由は正直説明できない。

少しでもいい。

あいつの過去を知りたいんだ。

どんな些細なことでもいい。」


タロウ「わかった。

じゃあ…語ろうじゃないか。

オイラが知る…愛陰弄の過去を…」


To Be Continued

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