第68話 アスレチック神社を!
中はジャンプして移動するのか、小さな丸太が立ち並んでいたり、壁の様な坂を登ったり、木のジャングルジムの様なものがあったり、まるでアスレチックの様な遊具が立ち並んだ内装になっていた。
「おー……」
いや。いやいや、凄いのよ? 凄いけど何作ってくれてんのよ。外見より大分広いし……ぎゃーも関わってるなコレ。しかもアスレチック神社って……どういう需要があってこれを作ったんだ?
「わーい!! おとーちゃん!! テレビで見たやつだよ!? ありがとーっ!! 源おじーちゃん! きっき!!」
メマは嬉しそうに、中を飛んだら跳ねたりしている。
あー……テレビで見たやつを真似したって訳だ。確かに、前に母さんと一緒にTV見てたっけ。いや……それでもだよ?
「源さん?」
「へっ、礼には及ばねぇぜ」
源さんは照れ臭そうに鼻の下を人差し指で擦っている。
……何故礼を言うのだろうか?
「源さん! 俺が言いたいのはーー」
『神社の建設を確認』
『風や水、地の精霊が歓喜の声を上げています。神域が強化されます。この地の主に認められた者は、特別な能力を得る事が出来る様になります』
「本当にありがとうございました。マジでこういう神社が欲しかったんですよ」
「そうだろ! そうだろ!!」
俺は心の中で急ブレーキを掛けて、頭を下げる。
な、なんかいきなり言われたんですけど……全ての精霊とか良く分からないけど何か凄い良い気がするんですけど!?
「……もしかしてこれが精霊か?」
改めてそのメッセージに目を向けて周囲を見渡す。するとそこには、ホタルみたいな光の玉が幾つか漂っていた。
うん。多分コレが精霊っぽいな。精霊って、もっと羽が生えた美少女が飛んでるイメージなのかもって思ったけど……側から見たら怪奇現象だなこれ。まぁ……それも今更ではあるか。
でもこれ……ずっと漂ってるのもちょっとウザいかも……あ。
俺が思うのと同時にホタルのような光の玉はパッと姿を消してしまった。
「いッ……いやいやいやッ、嘘に決まってるじゃん!! 可愛い冗談!! 冗談だよ〜!!」
反射的に空中に叫ぶと、また光の玉達……もとい精霊達はジンワリと光り始める。
……どうやら、俺の気持ちやら言葉まで理解しているようである。これじゃあサボってB級映画も見れそうにない。
「おとーちゃーんっ!! いっしょにあそぼ〜っ!!」
これからの事を考えて少し落ち込んでいる中、アスレチック神社の中からメマの声が響いて来る。そして、思い付く。
待てよ。この精霊達が居て? こんな大きな建物がある……コレはアレが出来るかもしれない!
俺は自分でも分かるぐらい気持ち悪い笑みを浮かべながら、アスレチック神社の中へと入って行った。
その後、いつまでも気持ちの悪い表情を浮かべている俺にメマが怯え泣くという光景を、精霊を見て驚いて来た比奈に見られ怒られてしまうのだが……まぁ、ご愛嬌というやつである。
__________
翌日、ジーッ ジーッと蝉の声が森の中から聞こえ始めたKIROの中、俺はカウンターに座っていた。
そして……目の前にある牛乳の入ったコップを見つめながら言った。
「夏と言ったら何だ?」
「急にどうしたんですか……」
「遂に頭が可笑しくなったか……」
酷い。
「あつい!!」
比奈や凪さんから酷い非難の視線を貰いながらも、メマの無邪気な答えに癒される……でもメマよ、言いたい事はそれじゃないんだ。
答えが出ないまま、2人の視線からが痛くなって来た頃を見計らって俺は言った。
「夏と言ったら……肝試し! だろ?」
「肝試し、ですか?」
はぁ。これだから優等生は困る。夏は兎に角イベントが一杯だ。夏祭りに花火……と来たら肝試ししかあるまい。
「何処でやるんですか?」
「昨日源さんときっきに作ってもらったろ? アソコを使おうと思ってる」
一応、この土地からしたら神社という事になっているが、あの大きさに色んなカラクリがあるなら、肝試し……もといお化け屋敷が出来るだろう。
「あー……あんな大きい所を?」
「いや、そこまで大掛かりにはやらないつもりだ」
中は300メートルトラックが入るぐらいだが、外観は2、3台が入る車庫ぐらい。中の全てをお化け屋敷にしてしまったら、メインである喫茶店が目立たなくなってしまう。
というか、外観と中の広さが違ったら大騒ぎになって、店の存続が危うくなる……それは避けなければ!
「外観通りの広さでやろうと思ってる」
「まぁ……それならやっても良いかも?」
「よし! だったら早速ーー」
「ダメだ」
と、俺が言おうとした瞬間。
硬質な声音で言い、見ると凪さんは眉間に皺を寄せていた。
「何だよ急に……?」
「……肝試しなんて前時代的な催しやらなくてもいいだろ」
凪さんの顔をよく見れば少し青白い。
……ほーん、なるほどねぇ?
「怖いのか」
「は!? 違う!! それをやった所で何の意味があるって話だ!! 態々此処でお化け屋敷なんて……」
まぁ、凪さんの言い分は間違っていない。
「だけど、俺的には元々この地域に居る人達にとって楽しい夏を送って欲しいんだよ」
「この地域に居る?」
「源さんやトメさん、比奈の両親、その他にも何人も……俺は小さな頃から迷惑掛けて、お世話もされて、だからさ、少しでも恩を返したいんだ。昔やってた事を……今此処で恩を返したいんだ。ダメか?」
「あッ、それってつまり……」
「あぁ。昔あったろ? 公民館前でお祭り」
20年前ぐらいには、この田舎でも夏祭りがあった。皆んなで集まってバーベキューをして、ゲームをして、鬼ごっこをして、夜には皆んなで墓場にお供物をして帰って来る度胸試し……今ではそう言った物は皆無だ。
子供は大人になり都会に進出、そして此処には老人しか残っていない。残った者はただ暑く、いつも通りの日々を過ごすだけで……痛くなる膝に腰、遠出もしなくなってしまう。
そんな毎日を俺は変えてあげたいのだ(俺も楽しみたい+祭りを開催すればボーナス)!
「そんな事を考えてたんだ……」
「うっ……で、でも、だってーー」
比奈は涙ぐみ、凪さんは口をパクパクと困惑していた。
説得は成功である。
「面白い!」
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