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第61話 いや、教えて貰いたかった……。

「う〜……」

「はなせって」

「だって………」

「あとであそびにいくから。それまでまっててくれ」

「……ほんと?」

「あぁ」

「……やくそくだよ?」

「じゃあ、ゆびきりげんまんだな」

「ん? なにそれ?」

「ゆびきりってのはーー……」



 それを少し遠くから見る俺はーー。



「あの、哲平さん……なんか漫画でしか見た事ない感じになってます……」

「……まぁ、我慢出来てるだけ御の字ではあるな」

「くっ……!!」



 血の涙を流しながらメマとしょうた君の別れを見守っていた。


 しょうた君め……!! メマがあんな離れたがらないとは……!? いつの間にあんな……まさか俺が接客してる間にまた何かあったんじゃ!?



「ーー…の〜ます。ゆびきったっと。これでこのやくそくはまもらないといけなくなった」

「? そうなの?」

「あぁ、ぜったいだ」

「そうなんだ……へへっ」

「じゃあ、またなメマ!」

「バイバーイっ!」



 メマはしょうた君に手を振りながら、別れを告げる。それにまた俺達も手を振って別れると、皆んなと車へと乗り家へと帰った。


 取り敢えず比奈とメマをそれぞれの家、実家に置いて、俺は凪さん、エースさんと共にKIROへと向かった。



『お帰りなさいませ』



 お〜……やっぱり待ち構えていたか。

 KIROの店の前、指導者さんが綺麗なお辞儀で俺達を迎え入れる。



「やっぱり、やんないとダメ?」

『? 何がですか?』



 俺が問い掛けると、指導者さんは首を傾げる。



 くっ……こいつ、俺に言わせようって事か。



「だから、アレだよ……店とか増築しないといけないんじゃないか?」



 あぁ……これも店の為だ。



 俺はこれからの労働に涙しながら指導者さんへ言った。指導者さんは少し考える素振りをすると、ポンと手を叩いた。



『あぁ。今日儲かったからって事ですか? やらなくても問題ないですよ?』

「……は?」

『もう既に終わらせたので』



 指導者さんは俺の手を引き、KIROの扉を開く。するとーー



「おぉ〜……マジ?」

「これは……凄いですね」

『私とぎゅー様の共同製作です』



 そこには1回りほど広くなった店内が広がっていた。カウンター席は全部で10席、テーブル席は6つになり、手狭だったカウンターの中も大人が3人並んでも良い程の広さになっていた。因みに母さん手製の内装そのまま、綺麗に保たれている。



 モォオ

「うへ! お、おう、ぎゅーさんか……」



 び、ビックリしたー……そんな所から顔を出すもんじゃないよ、ぎゅーさん。


 俺は、突然何も無い所から出て来たぎゅーさんの口にビビりながらも問い掛ける。



「何で、広いん? 此処?」



 俺は一度店から出て、周囲を見渡す。



 うん。やっぱりいつも通りのKIROだ。あの手狭でぎゅっとした、こじんまり感があるKIROだ。



『これはぎゅー様のお力による物です。空間神のお力で、店の空間を良い感じに広げて貰いました。家具は私が【コピー】しておきましたので店の外見は変わる事なく、中だけが広がったという形になっています』



 ほー……なるほど。って、指導者さんってそんな事も出来んの!?



 そう思った俺はまた店内に入ると、いつもには置いていない所にある机をトントンっと叩いてみる。



 ……材質も固さも、見た目も完璧だ。



『無機物ぐらいなら【コピー】する事は可能です。爆弾とかあったら幾らでも【コピー】出来ます。淑女の嗜みなんで』



 それが淑女の嗜みなら、皆んな淑女ならないよそれ……てか、爆弾って……何を言ってるんですか? 淑女が物騒な事言わないで下さい。



『って……そんな事思ってますけど此処の空気が澄んだだけで魔物が来づらくはなってますけど、いつ来てもおかしくは無いんですよ?』



 ……………ま、お客さんの出迎える準備整ってるなら良いや。もう早く寝よう。



「はぁー……ぎゅー様♡流石です♡」

 ンモォ?



 ……帰ろ。



 俺は店内でぎゅーさんに顔全体を舐められ、悶えている女性を置いて家へと帰るのだった。

「面白い!」

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