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銀の君主  作者: ひよこ豆大佐
第1章 勇王国編
17/23

17話 銀王剣

土日は2話投稿です

侵略者(アグレッサー)って……出現するときは"ゲート"が開くんじゃねぇのかよ?」

「元々森にいたんじゃねぇか?いつ出現したかなんてどうでもいいんだよ。お前達はドラゴンロードの相手をする。終わったらギルマスを呼びに行け。以上!作戦開始!」


 俺はそう言い捨てて走り出した。


「『雷魔剣 ワグナーツ』」


 2体のドラゴンロードの間を抜けるときに雷を落とし、地に落とす。後は上手くやれ。


「【闘神化】」


 スキル名に「神」が入っているものは異能に匹敵する力を持つ。だが、その分魔力の消費が大きい。短期決戦しかない。《聖王》と《憤怒》が使えればいいのだが、《聖王》は封印中。《憤怒》は発動はできるのだが、魔神獣に対する怒りが強すぎておっさん達を巻き込んでしまう。この怒りは魔神が出てきたらぶつけるべきだろう。少しでも魔力消費を抑えるために種族を『魔法神』にした。武器は仕方ないから召喚魔剣で。


「【魔力闘法】」


 身体強化の極致である【闘神化】と【闘神化】使用時にのみ使える【魔力闘法】。《聖王》を使えない状態の俺では全身に激痛が走る。この痛みには【痛覚無効】は効かない。魔神獣の目の前に来た俺は勢いそのまま地面を蹴り、猪型の魔神獣の鼻に渾身の一撃を与える。


「竜王剣 ディアマンテ!!!」


 【闘神化】により赤みを帯びた魔力。熱気を帯びた魔力は見る者に幻覚を見せる。振り上げられた剣は巨大な竜へと姿を変え、鉤爪を振りかぶった竜は勢いよく魔神獣へ振り下ろす。竜王の如き剣。土煙でどうなったか分からないが、腕が痺れている。


「きっつ……」


 《聖王》で肉体を強化していない今の俺では『王剣』を使うのは危険すぎた。1歩間違えれば腕が動かなくなる。魔神獣は……まだ生きてるな。


『ブモォォォォォ!!!』


「怒ってんな〜……。だが、かなりのダメージにはなっただろ!!」


 『王剣』はもう使えない。これ以上使えば動けなくなる。俺は【闘神化】を解除し、浮遊魔法で空を飛ぶ。


「俺の魔力が尽きるか、お前が凍死するか!『氷獄竜王 二ヴルヘイム』!!」


 この魔法を使うと「竜王は我一人ぞ!」と言ってくる奴がいるのだが、俺が作った魔法ではない。巨大な魔法陣から氷の竜が姿を現し、魔神獣に向けて落下する。魔神獣に当たった瞬間、森諸共魔神獣を凍らせる。可視化はされないが、どれだけ強い者にもHPが存在する。核を凍らせれば凍結ダメージが入り、いずれ死ぬ。だが、凍らせるだけでは味気ない。


「『炎神 プロメテウス』」


 さらに追加で魔力を使い、擬似太陽を作り出す。


「寒いだろ?温めてやるよ!!」


 擬似太陽は既に死ぬ寸前の魔神獣に落下し、轟音と共に魔神獣を消し飛ばした。意外と余裕があったように見えるが、魔力は2割を切っている。


「はぁ、はぁ……」


 急激に魔力を消費したことにより精神的疲労が酷い。おっさん達は……まだ戦っているが、なんとかなりそうだ。マーリンやエルナさんが加勢に来ないのはおっさん達の戦いが終わってないから、というわけではない。魔神獣クラスの邪気ならあの2人なら感知できるはずだ。俺達が負けたとき、あの2人は勇王国を守らなければならない。エルナさんは関係ないのでは?と思うかもしれないが、俺が負けても苦しみはするが、死ぬことはないのを知っているからだろう。俺が倒れればこの肉体は消滅し、魂が聖王国にある本体に戻る。エルナさんからすれば勝っても負けてもメリットがある。むしろ負けて欲しいと思ってるかもしれない。


「……休む暇がないな…………だが、お前が相手なら……」


 魔神獣がいた場所よりさらに後方の空間が歪み、"ゲート"が開く。親玉の登場だ。


「低位か。勝ったな」


『ホォォォォォォ……』


 低位魔神。魔物のように魔神の中にもランクがある。低位、中位、上位、王となる。聖王国を襲ったのは上位魔神が率いる魔神軍だった。低位であれば、《憤怒》を発動させた俺であれば余裕で倒せるレベルだ。《憤怒》が無ければ勝てないのだが、気にしてはいけない。それは仮定の話。


「てめぇらが侵攻してきたせいで俺は未来に飛ばされ、守護者は国の民はピンチになった……この怒りはてめぇにぶつけさせてもらう。《憤怒》」


 この魔神が侵攻してきたわけではない。エルナさんの話では侵攻してきた魔神種は神王達が全て滅ぼしたらしい。だが……これは例えばの話、ゴブリンに襲われた女やその家族は襲ったゴブリンに対してだけでなく、ゴブリンという種族そのものを恨むだろう。それと同じだ。「魔神種」に襲われたのだから、その怒りは「魔神種」にぶつける。理論の話ではない。復讐者に理性などないのだ。溢れ出る力の奔流。《憤怒》により増幅した魔力を、先程は消費魔力が多すぎるという理由で使えなかった『銀王気』に変換する。黒かった俺の髪は銀色に変化し、その身に纏っていた赤黒い怒気は銀色に輝く。


「銀王剣 ハルファール」


 銀王気を剣に纏い、一瞬で距離を詰める。魔神の巨体を斬りつけると……僅かな抵抗をする時間も与えず、両断する。俺にのみ使うことのでき、秘匿された8つ目の王の異能《銀王》。この異能はギルドカードには表示されず、8つ目の存在を知っているのは守護者筆頭のステラのみ。これからも隠しておくつもりだ。戦闘狂共に絡まれたくないからだ。7つの王の異能に共通する能力「貸与」は各王の持つ「貸与」以外の能力を貸し出すことができるのだが、《銀王》の能力は「貸与」の恩恵を受けない。《銀王》は最低でも魔法神状態の俺の魔力を7割分程消費するため、《憤怒》で増幅された状態か、初撃以外では使うことができない。


「おっさん達は……勝ったのか……終わったな」


 俺達の勝ちだ。もう寝たい。

 

次回をお楽しみに!

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