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銀の君主  作者: ひよこ豆大佐
第1章 勇王国編
13/23

13話 1人目

学校から帰宅してから投稿するので17時ではないのですが、なるべく早く投稿する気です。

申し訳ございません。

「え……いつ……」

「そうですね、容姿は変わっていたのでひと目で気づいたとは言いません。登録試験のときの『人神流』を見たときにもしや、と思いましたが確信はありませんでした。ですが、その後のランク上げ申請による異能の開示。そこで確信を得ました。人神流だけならサクヤに教わった人間かその弟子かが使っている可能性もありましたが、『空間』はともかく『憤怒』は全ての世界に於いて各罪1つずつしか存在しない大罪種の異能です。それを持ってる存在を知っていれば、聖王様しかいないと守護者ならすぐに気づけます」

「守護……者……」

「聖王様は酷いです。我らは魔神戦が終わって聖王国を復興させた後、すぐにあなたを探しに出たのですよ?約200年もの間……なのに、やっと見つけたと思った聖王様は冒険者になって人間界で楽しんでおられる……あぁ……とても悲しい……」

「それには訳があって……」

「訳は後で聞くとして、私が守護者の誰かを当ててみてください。当てることができたら、冒険者になって遊んでいることをステラ達に黙っておいてあげますよ?」


 遊んでるわけじゃないが楽しんでたのは事実……。こんな喋り方する女性は……ヒュリンゲルかナツメかシスティーか……ヒュリンゲルは違うよな、名前当てゲームなんてしないだろうし……。


「まぁ……聖王様は建国してからは基本的に国に引きこもってらしたので、人間界を楽しんでることには文句はないのですがね。外に出ても他の王に会いに行くだけで、他の王の国は楽しんでいなかった……というより当時は有名すぎて遊べなかったでしょうし」

「…………システィーか?」

「ハズレ……です!」

「じゃあナツメ?」

「ナツメもシスティーも誰かの下に就いて人探しなんてしませんよ」

「あ……」

「大ヒントはメイドです」


 メイドの守護者は3人だけど、俺の考えを分かってそうなのは……。


「エルナさんか?」

「やっと分かりましたか……はい、聖王の守護者 兼 メイド筆頭エルナでございます。王がご無事で何より」

「なんで受付嬢に?」

「メナス様がやりそうなことは冒険者になって大暴れ……と思ったので。私が1番あなたを理解しています、ステラに勝ちました。ところで200年もの間、我らに感知されずにどこにいたのですか?それから、なぜ聖王国に向かっていないのですか?」

「俺の記憶は、転移魔法陣で飛ばされて気づいたらこの王都近くの森にいた……ってことしか……。すぐに向かおうとしなかったのは……その……」

「?」

「…………が無かったから……」

「聞こえませんよ?もう少し大きな声で」

「金が無かったんだよ!!元々お小遣い制だったし、それも全部部屋に置いてあったし……」

「あぁ……。冒険者になった理由は?」

「身分証も部屋に……」

「……はぁ…………」

「それにしても、200年もの間記憶がなかったということは……『繋がり』で感知できない場所で眠っていたか、過去から未来へ飛ばされたか……後者ですかね」

「俺もそう思うよ……それができそうなのってノアだよな?」

「あの方以外は思いつきませんね……どんな理由だったかは分かりませんが、冥王様ではない可能性もあるので聖王国に戻った後に魔界に行ってみましょう」

「他の守護者は何してるの?」

「聖王国で待機しているのが、ミツキとレインとローグヴィルスとナツメです。各国で冒険者となったり、王たちの元でメナス様との『繋がり』を感知できるのを待っているのが、精霊王国にステラ、冥王国にムラクモとルカイン、魔王国にベリアル、神王国にヒュリンゲルとイニステア、竜王国にゼラヌス。で、勇王国に私です」

「ナツメとローグヴィルスが大人しくしてるのは解釈不一致だな……特にローグヴィルス」

「それを本人に伝えても?」

「ダメダメダメダメ」

「ふふ、言いませんけどね。あの2人が国に待機してるのは結界を維持するためです」

「結界?そんなのあった?」

「魔神侵攻後にナツメとローグヴィルスに目覚めた異能ですから」


 「王の異能」「大罪種」「美徳種」「最強種」これらの異能はユニークスキルのようなものだが、それ以外の異能は誰かと被ることもある。《空間》は元は普通の異能だったのだが、《聖王》の改変能力で弄っていたら最強種と呼ばれるようになっていた。だが、最強種なのは俺が持つ《空間》だけで他の《空間》は最強種ではない。勘違いされてる。


「その結界って魔神侵攻に耐えられるの?」

「魔神を屠った神王様と実験をしましたが、王の異能以下の力の魔神の攻撃なら耐えられそうでした」


 ところで、なぜ俺は改変能力で「魔神が侵攻していない世界」に改変しなかったのか、と思うかもしれないが。世界そのものの歴史を変えようとすると、強烈な頭痛に襲われ、しばらく異能が使えなくなるからだ。大きな歴史を変えるのは禁忌ということなのだろう。冥王 ノア・インスフィールが持つ《時間》に於いても同じだ。過去に行くことはできない。だが、未来に行くか"未来に誰かを送る"、ということはできる。俺の改変能力でできるのは他者の行動を無かったことにする、というものだ。他の王に勝てはしないが、負けもしない能力だ。これを誰に向けて言ってるのかって?誰だろうな。


「《結界》か……魔神侵攻前に欲しかったな……」

「誰もが思ったことですが、仕方のないことです……誰も魔神が直接乗り込んでくるとは思いませんから」

「メナス様はこれからどうするおつもりで?守護者の権限で神王国の転移門を使うことはできますが、そうするつもりはないんですよね?」

「うん……聖王国が復興されて、魔神対策もできて、守護者が全員まだ生きてるなら安心したからもう少し人間界を楽しみたいかな」

「そうですか。スタンピードも近いですし、現勇王に恩を売 ってから国へ戻りますか。ゆっくりでいいので、必ず国へお戻りください。200年前とはだいぶ変わっていますので、国に戻る前に見ておかなければ聖王として戻れば忙しくなりそうですからね」

「そうだな……てか、あの魔物大量発生はスタンピードの予兆だったのか……」


 そのとき、ノックの音がした。ここがギルドの部屋であることは完全に忘れていた。


「セミラス?いつまで話をしてるの?」


 ギルドマスターが来た。


次回をお楽しみに!

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