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銀の君主  作者: ひよこ豆大佐
第1章 勇王国編
10/23

10話 野宿と冒険者

記念すべき(?)10話です!

 さぁて、食材探しに行くか〜。


「メナス殿!?どうされたのですか?何か問題が起きましたか?」

「深刻な問題が起きましたね。今日宿に泊まる金すら無いのでこれから森に入って食材集めて野宿です!」

「は?金?ゴブリンの集落を潰したんですよね?」

「はい」

「元は別の依頼をしに森へ入ったんですよね?」

「はい」

「なぜ金が無いという事態に?」

「ゴブリンの素材は今精算中です。先にゴブリンの素材を出したので大量の素材のせいで、本来の依頼の方はまだ報告してないんですよね。ハッハッハ!」

「笑い事では……」

「そんなわけで金が無いので森に行ってきます」

「えっと……我々には止める権利が無いですが、お気をつけて」


 ウルフかオークか、トカゲ系でもいいな。……魔物はどこかな〜!!武器を持たずに森の中を歩く男は傍から見たらどう映るのだろうか。気にしたら負けだな。


「あ、魔物いた。人もいるな」


 近くまで行くとオーガと冒険者パーティが戦っていた。冒険者達の動きは悪くないが、有効打に欠けている。負けるかな。魔法使いの威力次第だな。俺は木に登り、上から戦いの行方を見守る。助けに行けって?冒険者の暗黙のルールでは、助けを求められない限りは獲物の横取りはタブーらしい。だが、確かにこのままでは冒険者達は死ぬかもしれないな。


「助けはいるか?」


 上から声をかけてみた。魔法使いと大盾使いがこちらに気づいた。


「頼む!」


 木から飛び降りるときに剣を作り、オーガの脳天に。

魔物を倒すなら魔石や魔核を破壊するか、人型であれば頭を潰すのが1番楽だし、早く終わる。


「こいつは貰っていいのか?」

「おい!そのオーガは俺たちの獲物だぞ!」

「やめろ、ジンク!俺たちでは勝てなかった魔物だ。この人がいなければ俺たちの誰かは死んでいたかもしれない」

「そんなことはない!必ず勝っていた!そうだろ?リンゼ!」

「いいえ。私の魔法が当たっていたとしても、それでも火力が足らずに前衛は死んでいたかもしれません」

「それにだ、助けを頼んだのは俺とリンゼだ。文句は俺たちに言え」

「そんな……」

「話は終わったかな?これは貰うよ?」

「あぁ、構わない。助かった」


 ジンクと呼ばれていた小僧は納得してないようだ。大盾使いとリンゼと呼ばれていた魔法使いはまとも?なのかもしれない。


「ところで、お前たちの強さとオーガでは見合ってないだろ。どうして挑んだんだ?遭遇しても逃げればよかっただろ」

「それは……」


 2人は小僧を見る。


「先走ったか」

「うるさい!勝てるはずだったんだ!お前さえ邪魔をしなければ!」

「おっと、それは悪かったな。じゃあ、新しいオーガを連れてきてやるから、それを倒せ」

「え……」

「なんだ?勝てるはずだったんだろ?お前の弱々しい攻撃でオーガの硬皮を斬れるはずだったんだろ?」

「それは……」

「彼我の差も分からぬなら、俺が助けなくてもすぐに死ぬだろうな」

「……」


 わざわざ【自動回収】を使わずに放置していたオーガを回収した。


「じゃあな、未来ある(笑)若者ども」

「待ってくれ!名前を、名前を教えて欲しい」

「……メナスだ」


 その後は振り返らずに別の魔物に向けて走り出したが、大盾使いの名前だけ聞けなかったな。ちょっと気になる。見えてきたな、レッドボアの群れだ。


「『ウィンドアロー』」


 風の矢がレッドボアの群れに降り注ぐ。魔物の状態を綺麗に残して倒すなら、風属性がいいだろう。20頭近くいたからしばらく肉には困らないだろう。


「寝る場所はどうしようかな」

「『召喚・ミミックハウス』」


 これで良し。種族特性で寝る必要はないが、心は休めたいからな。ミミックハウスが冒険者に見つかっても、攻撃してきたら死なない程度にやり返そう。他人の召喚獣に手を出すならやり返されても文句は言えない……はずだ。


「おやすみ世界」





次回から1日1話投稿になりまふ

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