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無理
「……今日? ってか、なんでそんな急に?」
西条は予定を急に言ってくるタイプじゃない。
何か用事がある時は、事前に何日も前に言ってきた。
だからこそ、不意打ちを食らった俺はやや訝し気な表情になって聞き返した。
だが、西条はそんな俺におかまいなしに、
「別にミツキの事だもの、何も予定なんてないでしょ? 駅前に新しいカフェがオープンしたの。試しに一回行ってみたいから付いてきて」
「…いや、あのな」
早口で、勝手に話を進めてる西条。
慌てて、ひとまず止めようとしたが、
「何? ちゃんと付いてきてくれたら私が驕るから。」
さも、そう言えば俺がついてくると思っている西条。
しかし、やっぱり昨日と同じように妙に気持ちが動かない。
今までなら、西条に誘われたら間をおかずに、「りょーかい」と言ってたのに。
代わりに口から出て来たのは、
「‥悪い。俺、今日午後用事があるから無理。行けない」