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変なのはミツキ


……無事死亡した。


黒板に書かれた暗号文を前に、片手にチョークを持ったままフリーズすること数分。


あの時、運よくチャイムが鳴らなきゃもっとシバかれてたな。


(にしても、「反省」という名目で課題なんか出しやがって……。俺が数学がこの世で一番嫌いな科目だって須藤先生だって知っているくせに……、クソォ……)


「ぁぁぁぁああ……」


悲痛な叫びが口から洩れても許してくれ。


休憩時間、机にうつ伏せになったまま、動けずにいると、


「自業自得ね。授業中によそ見しているからよ」


何も言わずに黙っていた西条が、そんな俺を見て、冷めたように叱りつけた。


悔しいが、何も言い返せねぇ……。


だが、一つだけ反論、という程ではないが、俺にだって反撃の糸口ぐらいある。


「今日はやけに話してくるよな。何か良い事でもあったのか?」


まあ、ずっと気まずいままの関係になるのもいい加減、嫌になっていたところだったし、向こうから話してくれるのは嬉しいんだけど、ちょっとからかいの意味を込めて聞いてみた。


だが、俺がそう言った瞬間、西条は一気に顔を赤くして


「ちょ、ちょっとは自分の胸に聞いてみたらどうなのっ? 後、勘違いしている様だから言うけどね、良い事じゃなくて()()()だからねっ!」


「おぅ……」


……ダメな方にクリティカルヒットしてしまったようだ。


西条は頭から角でも生えてきて、俺に突き刺すんじゃないか、と思えるぐらいにカンカンになっている。


怖ぇ……。


俺が殺気立つ西条に、戦々恐々していると、


「ミツキの方こそ今日、様子が変よ。何かあったでしょ? 話して」


西条は、スッと能面を引込めて、少し心配そうに身を乗り出して聞いてきた。


「……へ? 俺が変?」


昨日紅葉とちょっとした喧嘩をした事を言ってるのか……?


いや、でもそれってまあまあ日常茶飯事な気もするし、言う程か?


「そうよ。いつものずる賢いミツキなら、もっと上手くやってたわ。当てられそうになったら、私の肩に隠れて気配を消すなり、私のノートを後ろからカンニングしてやり過ごしたり……ね?」


「俺の印象って……」


「最悪よ。昔からじゃない。何? 今更、猫被ろうとしているの? 手遅れよ。何年一緒に居るって思っているのかしら?」


「グヘッ」


言葉の暴力は止めてくれ。

俺、結構自分でもメンタルには自信があるけど、これでも好きな子にボコスカ殴られると、さすがに死んじゃうわ。


落ち込む俺だが、西条はさらにグイッと身を乗り出して、今度は真剣な顔で


「……あまり隠し事しないでね。ミツキ」



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