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もふちゃんのお婿さんが来ました



昨晩、ディルさまに抱きしめられて寝ることになった私は朝、目を開けて戦慄しましたとです。


サブタイのほっこりかんに全く相応ふさわしくない体勢であったとです。でぃ、ディルさまの・・・ディルさまのお顔が・・・神秘の男子禁制の谷間にっ!谷間に沈んでおるううぅぅぅっっ!!


うごあああぁぁぁっっ!!お、起きてくださいディルさまああああぁぁぁっっ!!一体なぜそこにお顔をうずめているんですか!!まぁ竜角のトゲトゲは私の顔の反対側を向いているので危害はないですが。で、でもこれはああああぁぁぁっっ!!!


さりげなくどけようともぞもぞしてみたら、ディルさまが堪能するようにお顔を擦り付けてきたとです。ぎゃああああぁぁぁぁっっ!!


んもふっちゃぁんっ!


「もっふぃ!」

なぁに?“私のことは気にせずに楽しんで!”的な瞳で見つめないでぇっ!!


そして先にとことことリビングスペースに向かうもふちゃん。


もふちゃあああああぁぁぁんっっ!!?


そ、そんな。私は堪能するしかないのか!?いや、むしろ堪能しているのはディルさまの方!!


よし、ここは・・・


角を握ってひっぱってみようか。それともぐりぐり回す?押してみようかな・・・?・・・と、ディルさまの角をさりさりしていると不意に角がのけぞって向こう側に行ってしまう。


「・・・何をしている?」

あ・・・ディルさまが谷間からお顔をお上げになりましたね。


「人族はそう言うのが好きなのか?」


「い、いえ!違います!・・・と言うかディルさまこそ何をしているのですかっ!」


「私はただ寝ていただけだが」


「竜族には神秘の男子禁制の谷間に顔をうずめながら寝る習慣がおありで?」


「メイリィは何のことを言っている?それは人族の王国にある谷間か?」

抽象的な表現ではご理解いただけなかったとです。


その後顔を離してくださいと抵抗したら、何故かイケメン顔を近づけられて“朝から甘えん坊だな”と意味の分からないことを言われ、情熱的に唇を塞がれたとです・・・


そして息もだえだえながら朝食をこしらえる。


「ディルさまはパン派ですか?米派ですか?」


「こちらでは小麦が主流だからな。そう聞かれればパンだが、人族の王国では米も食べると聞いた。私は米を食べてみたい」


「わかりました」

私は魔動冷却庫から昨日のうちに小分けにしておいたお米を取り出します。


「炊くのではないのか?」


「そんなことしていたら朝のお仕事に遅れるじゃないですか」

朝は早さが命なのです。王族用の宮廷料理は料理人さんたちが朝早く起きて炊いてくれていますが、独り暮らしや庶民的にはこういう技が一般的です。庶民の家庭料理のお勉強の際にしっかりとこういった手間いらずのコツの数々も学んでいるのです。お城ではなかなかできませんが。


何故かって?何故か宮廷料理長に涙されるとです。わ、わかりましたよ。炊きたてのご飯を頂きますとも・・・と、慌てて慰めたのを思い出しました。


さて、この米を魔動レンチンして完了です。


お米に納豆、お味噌汁と焼き金鮭、卵焼き、ホウレンぶきのおひたし。


祖国では銀鮭が有名ですがこちらでは皮が金色の鮭が一般的で、白身魚らしく中身は白いです。本当にあなた、白身魚でしたのね。今更ながら納得いたしました。


さて、もふちゃんにも魔物用フード&特製木の実&薬草ブレンドを用意して私とディルさまも朝ご飯です。


「メイリィ」


「はい、ディルさま」

私は納豆を混ぜ混ぜしてディルさまのご飯の上にも乗せてあげたのですが。


「なんだ、これは。ちょっと匂うんだが」


「匂わない納豆なんて私は受け入れられません!!むしろ匂いを気にしたことなどありません!!」

後から兄姉たちに言われ暫くして納豆の匂いに気が付いたのです。私、マジで気が付いていませんでした。納豆ねばねばおいしいしか思っていませんでした。宮廷料理長、こんな王女でごめんなさい。


「え・・・そ、そうなのか」

外国の方には割と敬遠されるのですが、何故か魔動冷却庫にはちゃんと用意してありました。因みに宮廷料理には出ません。庶民食なのです。私は庶民出身の騎士さんや城の使用人と共謀し、宮廷の魔動冷却庫にも納豆を適量確保し納庫させていただいておりました。


最初は半信半疑だった両親や兄姉たちももはや納豆のとりこ。今や、貴族の間でも流行り出しております。ひょっとしたら宮廷料理長が宮廷料理っぽくアレンジしてくれるのも時間の問題だとも言われておりました。あぁ、祖国の宮廷料理長の納豆料理も堪能してみたかったですね。


なので、ディルさまにもその魅力をお伝えしようと張り切って混ぜ混ぜしてみたのですが。


「食べてみると割とおいしいですよ?」


「そ・・・そう、なのか?おなかは壊さないのか?」


「当たり前じゃないですか。腐ってなければ大丈夫ですって」


「腐っては、いないのか・・・?」

お箸でつまんで微妙なお顔をされているディルさま。因みに竜帝国では小麦が主食ですが、パンの他にもシューマイ、ギョーザが食べられているのでディルさまもお箸の扱いはお上手です。祖国のお箸よりも若干長いので私は少し持ちづらいのですが。まぁ扱いこなせないほどではありません。


「もちろんです!発酵しているのですよ?毒が平気なディルさまが発酵食品でおなかを壊したら、笑いものですよ」


「・・・笑いもの」


「ほら、おいしいですよ」

と、私は納豆ご飯をお口にINします。はう~。こっちに来ても納豆が食べられるなんて。


「平気でしょう?ディルさまもどうぞ」

私がディルさまの納豆ご飯を掬って口元に持っていくと、ディルさまは渋々食べてくださいました。


「いかがですか?」


「うむ。なかなかおいしくは・・・あるのだが」


「どうかされました?」


「口の中がねばねばするのだが」


「お味噌汁を飲めばそのうち流れますよ」

そう言ってお味噌汁を少しすする私。


「あ・・・お味噌汁は啜る程度にしてください。最後に残りを一気に飲んでくださいね。おかずが入らなくなりますから」

これは外国の方々がたまにしてしまう失敗だったりするので外国の大使の方々をおもてなしするときは、コース料理として順番に出すかあらかじめ説明するのが常なのです。


「あ・・・あぁ。わかった」

やれやれ、初めてのディルさまの納豆体験ですが何となくほっこりしますね。


その後、ご公務に行かれるディルさまを見送って、もふちゃんと遊ぼうかと思った時でした。


「もふぃ!」


「ふも?」

あれれ・・・?


「もふぃ~」

もふちゃんはかわいらしくふわもふボディを揺らしています。5本のふわもふ狐耳しっぽがゆらゆら揺れていて、そこがまた・・・かわいいっ!


「ふも~♡」

そしてそんなもふちゃんにすりすりしている銀色の毛並みのもっふぃがいたとです。こちらも狐耳に5本しっぽのもっふぃです。


な・・・なんじゃこりゃあああああぁぁぁっっ!!!

かわいすぎるんですけど!!


「ど・・・どこから迷い込んだのか。後でディルさまにお会いしたら確認してみた方がいいでしょうか・・・?お茶の時間にはお顔を出すと仰っていらっしゃいましたが」


「もふぃ~」


「どうしたの?もふちゃん。もしかして彼氏?いやいやそんなぁ」


「もふぃっ!!」

んなっ!!この反応は、やっぱり・・・


「・・・彼氏。つまりはもふちゃんのお婿さん!!?」

もふちゃんはメスなのです。つまりお婿さんができちゃったのです――――っっ!!!


そ、それは歓び。もっふぃを愛でる会代表・私。今最高の気分。私の家族の一員である・・・もはや私の“娘”と言ってもいいもふちゃんにお婿さんが来ましたぁっ!!


「お、おめでと!もふちゃん!」


「もふぃ!」

「ふも~」

やだっ!シュガーブラウンの毛並みのもふちゃんと銀色の毛並みのお婿さんが互いに体をすり寄せてふわもふしているとです。最高にかわいいのです!!


しかし次の瞬間でした。いきなり部屋の扉をバシバシ叩かれたとです。


「ちょっと!出てきなさい、人族の小娘!いるのはわかっているのよ!」

人族の小娘=つまり私に他なりません。えぇと、せっかくもふちゃんにお婿さんが来て和んでおりましたのに。どこのどなたでしょうか?



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