皇太子殿下の晩餐会
メイリィ「うぅぅ・・・みなさま・・・お待たせしましたぁ~~~!
久々の私・・・ヒロイン語り手ですよ~~~っ!!!」(大泣)
本日の晩餐会は、ディルと私たち婚約者4人、
それに加え、甘えっ子のキーシャくんとたま、
そして、キーシャくんが一緒にとうるうるしながら
訴えてくれた、ルゼくんも一緒にとることになりました。
ミフェイさまとはあれ以来、随分と仲良くなり、
ミフェイさまもまた、弟のルディくんとともに、
皇太子宮に引っ越して来られました。
それ以来、ミフェイさまとは一緒にお料理をしたり、
お菓子を作ったりと、楽しく過ごしております。
ミフェイさまは小食だと思っていたのですが、
以外にも、ツェイロン風朝食はしっかり食べていらっしゃいます。
聞いたところによると、竜帝国の脂っこい料理が、
胃に合わないらしいのです。
それで、晩餐会でお粥を出してもらった時や、
ツェイロン&ランディアのお菓子はよく食べられていましたが、
晩餐会では小食だったのですね。
そう言うわけで、晩餐会では、
脂っこくない料理もだしていただくことになりました。
前回出していただいた、お粥も、色とりどりの食材を使っていて、
それでお腹に優しい、食べやすいものを出していただいております。
私もミフェイさまも毎晩このお粥シリーズには大興奮です。
最近はシアやアナたちもブームなようです。
ヘルシーですしね。
更に、肉シュウマイやギョウザなどは、
エビやシーフードを使ったものを用意していただいたり、
揚げ物の他にも、お浸しなどあっさりお野菜のメニューも増えました。
ディルやルゼくんは味気ない・・・と感じるようです。
まぁ、男児ですから、エネルギーがあるものの方がいいみたいです。
竜帝国のお料理は、大皿から取り分けるものが多いので、
大皿を円卓に並べ、それぞれ好きな料理を取り分けて食べています。
また、エルフの王国・エストランディスで食べた、
薄いパン生地にお野菜や果物、木の実などを巻いて食べる料理も、
ミフェイさまに気に入っていただけました。
シアは相変わらずベーコンも挟んで、お肉をもりもり食べております。
そして・・・
私はディルの隣(これはもはや恒例行事)、そしてその隣に、
ルゼくんを囲んでキーシャくんとたまが座っているわけですが・・・
一応、たまが弟なのですけれど、はたから見ると、双子にしか見えませんね。
「ほら、たま。リハ通りにやるよ」
「わかった、お兄ちゃん」
リハーサルですか?一体、なんの・・・
ふたりはそれぞれ、お粥をレンゲに盛ります。
そして真ん中に座るルゼくんに近づけると・・・
『ルゼお兄ちゃん、あ~んっ♡』
ぐはっ
この場にいる誰もがぐはっと来ましたです。
「う・・・うん・・・はむ・・・っ・・・もぐもぐ・・・」
ルゼくんもおいしそうに食べています。
和みますね、こういうの!
「・・・ほら、メイリィも」
え・・・?何故かディルが私にあ~んしてきているのですが・・・
「・・・はむっ」
まぁ、断るのもあれなので、受けてあげました。
するとディルは背景にお花畑・・・いえ・・・
バラ園を展開させたとです・・・!
え・・・バラレベルですか!?
そ・・・そんな、恐縮です。
因みに、みなさま、お気づきだとは思いますが、
ルゼくんの背景は、めっちゃスイートハートパラダイスです。
「・・・ディランさま!そう言う抜け駆けは!!」
と、そこでアナが声をあげます。
「そうですよ、ディル。私たちみんな、婚約者なんですから」
「いや、だが・・・隣にいるのはメイリィだし」
いつも私を隣にすちゃっと座らせているのは、ディルなのです。
「ほら、メイリィ」
あれ、隣に座ったシアが、私にフルーツをあ~んしてくれました。
「はむ・・・っ、おいひぃれす」
「次はこれあ~んして」
え、アナもですか?
お言葉に甘えて・・・
「はむ・・・っ、おいひぃれす」
五目春巻き、おいしいですね。
「ほら、メイリィ」
え?次はミフェイさまですか?
「はむ・・・っ、おいひぃれす」
もぐもぐ、大根ケーキ、おいしいですね。
はて・・・?
何故か私がみんなからあ~んされてしまいました。
でも、ディルもルゼくんとキーシャくん、たまから
それぞれあ~んしてもらっていたので・・・
いいのですかね・・・?
何か違う気もするのですが・・・
『―――――』
『―――――っ』
『―――っ!!?』
「あの、ディル・・・何か、声が・・・叫んでいるような声がしませんか?」
「ん・・・?隣は確か・・・父上たちがユリアナ妃とソシエ妃と
晩餐会をしているはずだが・・・」
隣でされていたのですね。
今、初めて知りました。
「毎度あんな感じな印象は・・・ないのですが」
「いつもお隣は静かよ?
むしろ、だからこそ、私も最近までは知らなかったわ」
と、アナ。
「何かあったのでしょうか」
「いや・・・どうだろう?
いつも静かに慎ましやかに晩餐をとっているそうだが」
その晩餐、私が最初の頃に直面した、
あのギスギスして、静まり返っている晩餐を彷彿させるのですが。
お隣・・・大丈夫ですかね?
・・・しかも、何か声が響いてきますし・・・
「そう言えば、レオくんとカイくんはどうされているんですか?」
「ふたりもそれぞれひとりで食べていると思うぞ」
「なら、呼べばいいんですよ」
「え・・・?」
ディルが意外な顔をされます。
そして、アナの顔を見ました。
「私は別にいいわ。今はそんな、ギクシャクもしてないし、従順だし」
えぇ・・・まぁ、今は義姉上の従順な下僕を
語っているレオくんは、至極まじめで従順ですよね。
何か引っかかるような気もするのですが。
「竜帝陛下にキーシャくんたちを紹介する前に、
レオくんと、カイくんを紹介してはどうでしょうか」
と、シア。
「それもいいですね!ねぇ、ディル!」
「まぁ・・・メイリィが言うのなら・・・」
「それじゃぁ、賑やかになるわね」
と、アナ。
「えぇっ!」
そう、みんなで微笑み合っていた、その時でした。
女官さんたちが、大急ぎでディルの元へやってきたとです。
「皇太子殿下!どうかお助けくださいっ!!」
これには、給仕を手伝っていたキャロルやエクレール、
ルディくんたちもびっくりしていました。
「何があった」
ディルが答えると・・・
「りゅ・・・竜帝陛下が・・・っ!」
「どうかお助けください!」
え・・・竜帝陛下の身にに何があったのですか・・・!?




