ディル補正計画(メイリィ編)
さて、続いてのディル補正計画のお茶会のお相手は、私の番です。
ディルがどうしても週明けは私!と譲らなかったので、
私が週明け最初と相成りました。
本日のお菓子は、チーズケーキにしてみました。
もちろん、監視組のシア、アナ、ルゼくんにも差し入れしましたよ。
「うん、メイリィの味がするな」
いや・・・ディルさま、私の唾液なんて入れてませんが?
「メイリィ」
「はい、ディル」
「結婚式はいつにしようか」
「・・・?」
何故、いきなりそんな会話を・・・?
「あの・・・それは、皇室側の都合なのでは?
第一、私が婚約者になったのは、一番後だったのですよ?
あ・・・みんな一緒の結婚式ですね!
ごめんなさい・・・私ったらうっかり・・・」
「メイリィと俺ふたりの結婚式だ」
「・・・はい?」
「結婚するのは、メイリィが一番先だ」
「みんなと一緒がいいです。もしくは婚約した順がいいです」
ガタッ
「あの・・・ディル・・・?」
「俺が目の前にいるのに・・・他のみなの話をするのか」
来たぁ―――っ!!!このパターン!!
「その、できればディルの目を見つめて、ディルの話だけ聞ければ
別にいいですけど――――っ!」
「そうか、それは嬉しい」
めっちゃ笑顔です。恐いほどのイケメンスマイルです。
「何故、私が最初なんです?」
「俺は、メイリィと最初に結婚すると決めていた。
だから、メイリィが俺の婚約者になるまで、待っていた」
は・・・?それで・・・結婚せずに、
他の婚約者を待たせていたと・・・?
まさかの原因私でしたよ―――。
「そんな・・・ご迷惑では・・・」
「そんなことはない!俺の正妻は・・・メイリィひとりだ」
「政略的なものは・・・いいのですか?」
「エストランディスもドラグニール公爵家も納得した」
あぁ・・・まぁ、エストランディスの王はいまや
ディルの異母弟・イザナさまです。
特段、シアよりも私が先に結婚するとしても、
文句などは言わないでしょうし・・・
ドラグニール公爵家も、この前の夜会の件で、
かなりダメージを受けましたからねぇ・・・
「・・・ミフェイさまのお国は、納得されたのですか?」
「お前たちの国の王太子の義妹だぞと脅したら頷いたぞ」
まぁ・・・そうですけど・・・
「あ・・・てことは・・・獣人族の国は・・・えぇと、
竜帝国には他にありますが・・・
アレン義兄さまのお国だったのですね。
あれ・・・てことは、アレン義兄さまの・・・?」
妹君・・・?いや、でも・・・
ミフェイさまもその従者の弟君とも、
私、面識ないのですが・・・
これでも、アレン義兄さまのところには、
ユーリィ姉さまが嫁いでいるので、
ユーリィ姉さまに会いに結構遊びに行っています。
割とそのご兄弟とも顔見知りなのですが・・・
そう言えば・・・男兄弟以外は会ったことがありません。
あちらも、竜帝国と同じく男兄弟なのです。
「聞いていないのか?」
「何をです?」
「あれは・・・引退した先王の落としだねだぞ。その弟は・・・父親が違うが」
「は・・・?」
つまりは・・・アレン義兄さまの・・・叔母上・・・?
「でも、ミフェイさまって・・・」
そんなに歳が変わらない気が・・・
「20歳だ」
「・・・」
つまり・・・アレン義兄さまのご祖父君が・・・
「性懲りもなく踊り子の若い娘に手を出して産ませた娘だ。
まぁ、王太后と息子である現王に散々怒られたみたいだたな。
俺の婚約者候補にするには、ちょうどいい人選で、
国内に置いておいても余計な混乱を招くし、
祖国の役にもたつとして送ってきたのだろう」
「・・・」
まさか・・・そんな事情があったとは・・・
さすがに、王太子であるアレン義兄さまは知っているでしょうが・・・
そんな自国内のスキャンダルを
義妹とは言え、隣国の王女である私には言えませんよねぇ・・・
「でも、私がそれを知っちゃっていいのでしょうか?」
「・・・別に、構わない。
メイリィも、そこで聞き耳を立てているみなも、
言いふらしたりはしないだろう」
「も、もちろんですよ」
それに、みんなのことも信頼してくれているのは、
どこかほっとしますね。
それにしても・・・ミフェイさまにそんな秘密があったとは・・・
仲良くなれればいいのですが・・・
まだまだ難しいですかね・・・?
あれ・・・ってことは、ディルは、他の獣人族の国からの
妃候補の話もあるでしょうに・・・
わざわざミフェイさまをお選びになった・・・
ディルのことです。ミフェイさまの素性だって、
きっと知っていたはずです。
獣人族の国内でも微妙な立場であるミフェイさまのことを、
わざわざ選ばれたのは・・・
もしかして、ディルの優しさ・・・気遣いを、
ミフェイさまにかけてくれたのでしょうか・・・?
思えば、シアも、アナもワケアリでしたよね・・・
「メイリィ」
「は、はい、ディル」
「そんなにじっと見つめてくれるなんて、嬉しいな。
それに、ずっと俺のことを考えてくれてる」
・・・相変わらずの読心術です。
「でも、俺ことだけだともっと嬉しい」
またふたりの世界に持って行こうとしてますよ―――。
ん全く、もう・・・。




