第4皇子カイ殿下
誤字修正しました<(_ _)>
さて、ルゼくんとのお茶会は週末なので、
休日はみんなでのお茶会・・・となるのですが・・・
今日は特別ゲストが来てくれました。
「どうも・・・こ、こんにちは」
「ウチの末弟のカイだよ」
ルゼくんに連れられてもじもじしながらやってきてくれた、
御年14歳と言う、白い髪に銀色の目を持ち、
黒い竜角を持つかわいらしい顔立ちの男の子。
とってもかわいらしい・・・!
こんなかわいらしい弟さんを隠していただなんて・・・
私・・・聞いてませんよ!!
そう、ディルにアイコンタクトを贈ったのですが・・・
「ふふ、ルゥ。見てごらん。メイリィは俺のことが大好きなんだ」
何か曲解してます―――。
無駄に読心術を用いてくるくせに、
こういう時はポンコツですかぁっ!!
あれ、今、ディル・・・カイ殿下のこと・・・
「・・・いい・・・なぁ・・・あの・・・
メイリィ・・・お姉さま・・・って、呼んで、いいですか?」
ぐはっ
何この、天使の美少年。
「もちろんです。カイ殿下」
「ふえぇ・・・兄上たちは呼び捨てとくん付けなのに・・・
ぼくのことは・・・まだ弟として見てくださらないのですか?」
ぐへぶしっ
「えっと、カイ、くん?」
「はいっ♡♡♡」
めっちゃ天使の微笑みをくれたとです。
わぁ・・・かわいすぎる・・・!
その様子に、シアもメロメロになったようで、
一緒にカイくんをかわいがっていたのですが・・・
あれ・・・アナ・・・?
アナだけは・・・なんだか淑女の仮面スマイルを纏っておりました。
・・・やっぱり、竜帝国本土の公爵令嬢ですから・・・
洗練されています。
今はカイくんを猫かわいがりしてしまいましたが・・・
公の場では、アナのようにしっかりとした
レディを演じませんと。
さすがはアナ。お勉強になりますね。
早速、キャロルとエクレールがお茶の準備を手伝ってくれて、
もっふぃのもふちゃんとふぃーくんが
かわいらしくお庭を駆け回っているのを微笑ましく眺めながら、
みんなで楽しくお茶会です。
本日のお菓子は、先日のエストランディスで教えてもらったレシピで、
さくふわ生地にクリームやドライフルーツを挟んだ
エルフの王国で人気のお菓子を作ってみました。
シアは大満足で、初めて食べるカイくんも嬉しそうでした。
シアの提案で、後程、おすそ分けに行くことになりました。
この前のエストランディスの滞在後、
ユリアナさまの帰還のご挨拶に伺い、
王国の跡を継ぐのがイザナさまとモニカさま夫妻と聞き、
(おふたりは、即位に合わせて籍を入れられたそうです)
安心して任せられると喜ぶ半面、
妹君であるマリアさまについて、
悲しまれはするものの、竜帝陛下の決定には口を挟まず、
彼女の第2の人生を応援しておられました。
こうしてみると、祖国のことだろうに、
とてもお強い方だなぁ、感じました。
一方で、私はみんなが談笑する傍ら、
カイくんにかわいく甘えられたので、
ついて来ようとするディルに、“補正計画!”と釘を刺し、
少し離れたところでもっふぃたちと遊んでいます。
「ふふ、カイくんは本当にかわいいです!」
「ありがとう・・・ございます・・・姉上」
頬を赤らめちゃって、かわいいなぁ・・・
「・・・で」
ん・・・?何か一瞬雰囲気が変わりませんでしたか・・・?
「あんた・・・どうやって兄上を誑かしたの・・・?」
な・・・何か・・・天使の美少年から、どす黒いオーラが出て・・・
銀色の目の奥に深淵を覗かせているように感じるのですが・・・
こういうの・・・前にもありませんでしたかね?
「えと・・・誑かした・・・わけではないですよ?」
ここは、にこやかな姉を取り繕います。
「あのさぁ・・・猫、被らなくていいから・・・
お前さ・・・あのアルシャの妹だろ・・・?」
「アルシャ姉さま・・・ですか?」
「お前、本当に女か・・・?」
「・・・女ですよ?」
「じゃぁ、脱いで、見せて」
何故・・・この子はいきなり女性に脱げ・・・
しかも私、一応未来の義姉になる予定なのに・・・
何故、脱げと・・・つか、ここ、外なんですけど!!
いつの間にか、もふちゃんとふぃーくんが
気を利かせて、別のところに行っちゃいました。
そこはぁ―――、気を利かせなくてもいいのですよ―――っ!!!
もふちゃあああぁぁぁぁんっっ!!!
どうやら、カイくんにはもっふぃラブアタック攻撃は聞かないようです。
もっふぃには目もくれていません。
つい、ちらちらともっふぃを見てしまうルゼくんとは雲泥の差です。
「お前もどうせ・・・女装して竜帝国城にまんまと侵入して
美人局みたいなことやって、
兄上に取り入ったんだろ・・・今なら素直に吐けば、
何も言わずに秘密裏に王国に送り返してやるぞ」
「・・・」
ん・・・?
またまた、私の直感が働きました。
多分・・・カイくんは・・・
「あの・・・もしかして、アルシャ姉さまのこと、
女性だと思っていたのに、リンファ義姉さまと婚約して、
本当は男性だとわかって、失恋したんですか?」
「・・・」
カイくんは目を見開いております。
一応、世間的には“第2王子”ですし、
本人も“第2王子”を名乗っているのですが・・・
「・・・」
カイくんは俯いています。
アルシャ姉さまとは年齢差がありますが・・・
大人のお姉さんに憧れるお年頃なのでしょうね・・・
「・・・う・・・」
う・・・?どうしました・・・?
ついつい、優しくカイくんの頭をなでなでしてしまったのですが・・・
なでなでは・・・年下とは言え、皇族の方に失礼でしたかね?
「うわあああああぁぁぁぁぁぁっっ!!!お姉さまぁ―――っ!!!」
私に抱き着いて、大泣きされたとです。
そうでしたか・・・
やはり、アルシャ姉さまに失恋した以上に、
アルシャ姉さまが男であった事実を知って、
愕然とされたアルシャ姉さまファンの一員でしたかぁ・・・
まぁ、それでもアルシャ姉さまのファンを貫く、
硬派な方々もおりますけどね―――。
こうして姉・・・いえ、本当は兄(※決して本人に言ってはならない)の
尻拭いも妹としての役目ですかね?
ウチのシャンリィ姉さまも、
失恋された方々を吐血しながら慰めておいででした。
あぁ・・・シャンリィ姉さま、お元気でしょうか。
この前、手紙の返信に、シャンリィ姉さまのカルテの写しの一部が
送られてきたのですが・・・
まぁ、経過良好との記載があったので
お元気にベッドで横になられていることでしょう。
「メイリィ!?」
「どうされたの!?」
いきなりカイくんが泣きだしたので、
ディルやシア、他のみんながこちらへ来てくれました。
「こら・・・ルゥ・・・」
ディルが、カイくんに歩み寄ります。
やはり、弟にはいいお兄さまなのですね。
てか、やっぱり“ルゥ”って、何ですか?
カイくんの愛称か何かで・・・?
カイくんのお名前のどこから“ルゥ”と言う愛称が出てきたのですか!?
「ルゥ、メイリィに抱き着くのは、兄上の権利だぞ?」
そこじゃない――――っ!!!
しかもコワモテだしぃ―――っ!!!
「だってぇ・・・だってぇ――――っっ!!!」
涙ぐむカイくんをディルはなでなでしていますが、
どさくさに紛れて私から離そうとしています。
その様子をみて、アナがため息をついています。
私と目が合うと、申し訳なさそうに苦笑していたので・・・
あぁ・・・アナ、知っていたのですね・・・
まぁ、仮にも第2皇子の元婚約者。
今は第1皇子・ディルの婚約者ですが、
当然、カイくんのことも知っていたのですね・・・
はぁ・・・思わぬところに・・・
まさか宗主国の皇子殿下にも被害者がいたとは・・・
アルシャ姉さま・・・モテるのもいいことばかりではないのですね。
お疲れさまです、アルシャ姉さま。
そしてシャンリィ姉さま。
今度はカルテじゃない返信がほしいです。




