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エルフの王国からの招待状


さて、突然の訪問者に一同唖然としているところですが・・・


「もふぃ~」

「ふも、ふもっ」

もっふぃたちは相変わらずマイペースですけどね。

ふたりでいちゃついているとです。

わぁ、かわいい・・・って、そう言っている場合ではありません!


「何故、陛下がこちらに!?」

陛下の後ろに控えているアナの侍女・キャロルが

申し訳なさそうに恐縮していました。

陛下が来られた以上、キャロルは断れなかったのでしょう。


「あぁ、彼女は叱らなくていい。私が驚かせようとして、

君たちに了解を得ずに入ってきただけだから」

何故そんなお茶目な悪戯を思いつくんでしょうか。

これでも、数々の属国を従える、一大帝国・・・

竜帝国のトップ。ラスボス(ディル)よりも上・・・

神ボスとでも称しておきましょうか。

そんなお方が、何故ここに、

サプライズゲストとして登場したのでしょう。


アナがキャロルを呼び、キャロルはアナにしがみつくように

ふるふるしていました。

あとでキャロルにももっふぃたちを

ふわもふしてもらいましょう。

きっと落ち着きます。


「うん、多分息子を介すると、

十中八九“NO”と返事が来るので、君たちに直接と思ってね」

息子って、ディルのことですよね。確実に。

特に私のことに関しては、めちゃくちゃ行動を制限したがります。


「えぇと・・・それはどう言う・・・」


「エルフの王国・エストランディスから招待状が来たんだよ。

私宛てに、お詫びを兼ねて。出来ればシンシア姫の顔も見たいとね」


「私・・・」

シアは不安げに竜帝陛下を見上げます。


「お詫びとは・・・一体・・・?」

私が首を傾げると、竜帝陛下が頷き、説明してくださいました。


「かつて侍女として来国したシンディアの件で、

お詫びとしてエルフの王国でのパーティーに招かれたんだ。

でも、君が夜会で体調を崩した件も聞いたしね。

どうしようかと思って、直接希望を聞きに来たんだよ」


「えぇと、確かエルフ族の方が・・・」

シアに声を掛けて、シアが体調を崩したのでしたね。


「全く・・・シアの前で言うのもどうかと思いますが、

あの方々、王族としての自覚がないのではなくて?」

と、アナ。はて・・・王族・・・?


「・・・あれは・・・兄と、妹です・・・」

シアが小さな声で呟きました。

ええぇぇっ!!?じゃぁ、王子と王女!?

しかも王女、ディルを誘惑していましたよ!?

と言うことは、最初からアナは、

あのおふたりが誰だか知っていたのですね。

さすがはアナ。私たちの頼もしい味方です。


「君が体調を崩した原因は、あのふたりが原因だね?」


「・・・」

シアは俯き、黙っています。

シアの顔が青くなったのを感じ取ったのか、

ふぃーくんが優しく寄り添っています。


うわぁんっ、私もシアを今すぐ抱きしめてあげたい!

私のザ・ベスト・オブ・エンジェル・シア!!


「別に、素直に言ってくれて構わないよ。

実は、妃のひとりが、それを聞いて激怒してね。

直接彼らを呼び出して苦言を呈した。

それで、私からその招待状の件を聞いて、

もしシアが行きたくないと言うのなら、

未来の義母として君のことは守るとね」


「・・・それは・・・もしかして・・・」


「あぁ、ユリアナだよ」

ユリアナさま・・・ですか・・・?

先日の夜会では、妃の方とはお会いしませんでしたが・・・


「ユリアナはエルフの王国の女王の姉なんだ」


「では・・・シアの伯母上と言うことですか?」


「そう言うこと」

竜帝陛下が微笑まれました。

しかし・・・エルフの王国では、

国を継ぐのは男女関係なく

長子であればいいと聞いたことがあります。

実際、先代は男性の王でした。


お姉さまであるユリアナさまではなく、

妹君であった女王陛下が国を継いだ・・・

何か事情があったのでしょうか?

そんな私の考えを読んだのか・・・

いえ、こういうところ、ディルにそっくりですね。

やっぱり父子おやこですね。


「彼女はひとごみがあまり得意じゃないんだよ。

だから、あぁいう夜会のような場所には顔を出さない」


「そうだったのですか・・・」

病気か、スキル的な事情かは分かりかねますが、

そう言うご事情だったのですね。


「何かあれば、ユリアナが動くから、

素直に言ってくれていい。

君が行くと言うのなら、皇太子のディルと一緒に、

婚約者として行くことになるね」


「・・・い、行きます・・・」

シア・・・?


「きっと・・・行かなくては帝国に迷惑が、かかりますから」


「いやいや、ウチ、宗主国だから別に関係ないよ。

粗相をしたのはあちらだし」

あっけらかんとしてますね、竜帝陛下。


まぁ、その通りっちゃ、その通りなのですが。


「・・・」

その言葉を聞いて、シアは再び迷っているようでした。


「あの・・・シアが行くなら、私も行っていいですか?」

恐る恐る聞いてみたとです。


「まぁ・・・ディルは君を放さなさそうだしね。

別に構わないよ」

構わないのですか・・・?

まぁ、そうならば・・・って、放さない・・・とは、

日々のあの行き過ぎた心配性のことでしょうかね?

竜帝陛下公認なのですか?・・・あれ。


「なら、私も同行します。

もちろん、侍女としてでも構いません」

と、アナ。


「じゃ・・・じゃぁ、私も侍女として行きます!」

と、手を挙げてみます。


「ま、そこら辺はディルと相談して決めてね」


「は、はい!」


「父上、ぼくも同行していいですか?近衛騎士として」

おや、ルゼくんも乗り気ですか?


「うん?エルフの王国は聖女が多いから、

魔力に酔うんじゃないかな?」


「シア姉上がいれば平気です」


「ん~、なら、別にいいけど」

割とあっさり許可が出るものなのですね。

けど、みんな一緒なら頼もしいです。


「あ・・・もふちゃんたちはどうしたら・・・」


「では、私がエクレールと一緒に、

もふちゃんとふぃーくんのお世話をしますね」

と、キャロルが申し出てくれます。


「ありがとう!・・・あれ、

キャロルはアナについてこなくて大丈夫?」

さすがに、ダークエルフと呼ばれることがある

エクレールをエルフの王国に連れて行くわけにはいきません。

だから、エクレールは必然的にお留守番となってしまいます。


「私も行っていいのですか!?」

キャロルは驚いたように顔を上げます。


「もちろん。ついて来てくれると嬉しいわ」

そうそう、私たちのメンツの唯一の侍女さんですからね。

あれ・・・今更ですが、私とシア、専属侍女がいませんね?

もちろん必要な時は皇太子宮の侍女さんたちが

ヘルプに来てくれますけど・・・


まさかこれも、ディルの行き過ぎた心配性のせいでしょうか。

つか、私もシアも、王女なのに生活能力が高すぎるのですよね。

なので、ドレスアップなどの時以外は、

食事もお掃除もちゃちゃっと済ませちゃうのです。

さすがに洗濯物は侍女さんたちが回収してくれますが。


でも、最近はアナも皇太子宮に部屋をもらっており、

キャロルやエクレールと家事をこなしていたら、

アナに呆れられてしまいましたが、

割とアナも生活能力が高かったことに驚きました。

私たち、生活能力が高すぎる王女と公女でした。

私は・・・ともかく・・・

アナとシアは・・・何故・・・?

まぁ、それは今はいいですかね?


「じゃぁ、お留守番はエクレールだけになっちゃうから、

寂しがりますかね・・・?」


「もふぃっ♡」

おや、もふちゃん。


「もふちゃんとふぃーくんが一緒なので、寂しくなかったですね」


「もふぃもふぃっ!」


「・・・ひとりだけもふたちをひとりじめなんて・・・ずるぃ」

いや、気持ちはわかりますが・・・

ルゼくんの方がお兄さんなんですから。


「じゃ、あとよろしくね」

にかっと笑い、竜帝陛下は部屋を後にされました。


竜帝陛下を見送らせていただき、

あとはディルに相談するだけと言う運びになりました。



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