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突然の来訪者・・・までのもっふぃ回



―――


帝国城の地下、鉄格子が並ぶ寂し気な回廊に、

ふたりのエルフ族の女性が立っている。


「あぁ・・・ユリアナ姉さま・・・本当に・・・

本当にあの子を助け出すすべはないのですか・・・

あの子は、聖女である前に、私の実の娘なのです・・・」

金色の髪のエルフ族の女性が、すすり泣きながら声を振り絞る。


「では、マリア。あなたは、皇太子殿下の婚約者は、

自分の娘ではないと言うの?」

その隣に立つのは、紫がかった銀色の髪のエルフ族の女性だった。


「そんなことは・・・っ!

シアもディアも、私の大切な娘です・・・!」


「では、あなたの娘が、もうひとりの娘にしたことについて、

しっかりと自覚し、そして、竜帝国を騙すという

属国としてあってはならない大罪を

犯したことをしっかりと胸に刻むのです。

あの子に聖女としての価値はほとんどないにもかかわらず、

そのわずかながらの光魔法の魔力のおかげで、

あの子は生きながらえているのです。

王女として何不自由ない暮らしを送り、

甘やかされたあの子には、辛い環境かもしれませんが、

それを我が子だからと甘やかしては、今までの二の舞です。

私からしても、今回の件でシアがどれだけ傷ついたか・・・

先日の夜会に於いて、シアが体調を崩したという話も聞きました。

私が出席できていれば、その場で、私は竜帝国の皇妃として、

即刻トルーとトリスを叱っていたでしょう。

けれど、竜姫さまのおかげで、事なきを得たと言います。

マリア。あなたはエルフの王国の女王なのですよ」


「姉さま・・・ムリです・・・

私にはやっぱり・・・この大任は重すぎました・・・

ただエルフの王族らしいと言うこの見た目だけで、

王位を継承することになった私など・・・

姉さまが、王位を継いでいれば、今頃は・・・」


「その先は、聞きません。

私は、既に竜帝国に嫁ぎ、竜帝陛下にこの身を捧げました。

今更エルフの王国の王族として返り咲く気はありません。

後悔するのならば今度こそ、同じ失敗を繰り返さぬよう精進なさい」


「・・・ユリアナ姉さま・・・」


―――


「じゃ~ん、もふちゃんがおめかししましたよ~」


「もふぃっ!」

もっふぃのもふちゃんも、女の子なのです。

そこで私は、もふちゃんのお耳につける

桃色のリボンシュシュを作ってみました。

5本のふわもふしっぽをゆらゆらとゆらし、

とってもかわいらしいです。


「ふもっ♡」

おや、シアの腕に抱かれていたふぃーくんが、

おもむろにジャンピングし、もっふぃにすりすりと頬ずりしています。


「もふぃ♡」


「ふぃーくんも似合ってるって、褒めてるのね。かわいい」

と、シア。そんなシアも天使みたいでかわいいです。


「ふぃーにはこの水色のリボンシュシュがいいと思うんだ」

と、今度はルゼくんが、

水色のリボンシュシュをふぃーくんにつけてあげます。


「ふもっ♡」

おや、ふぃーくんもご満悦なようです。


「そう言えば、ディルもお揃いが好きなのですよね」

もふちゃんの背中をなでなでしながら、

ふとそんなことを思い出しました。


「ディランさまは女用のアクセサリーなんてしないと思うけど」

と、すっかり私の部屋が馴染んだ竜姫・アナが呟きます。


「あぁ・・・えと、色のお揃いってことです」

最近思いますが、アナは割と天然だと思います。


「そ、そういう話!?」

びっくりして顔を赤らめるところもかわいいです。


「兄上が・・・女物・・・女装・・・

美しい兄上なら、きっと似合う・・・ふふふ、ふははは」

ルゼくん・・・?

まぁ、確かにディルは美人ですから、

似合う・・・かもしれませんけども・・・

何故そんな発想に・・・


「随分と楽しそうだね」

その時、後ろから声がかかりました。

男性の声でした。


私たちが振り返ると、思っても見なかった顔に、

特にルゼくんが硬直していました。


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