Prologue 1 とある世界の成り立ちと予言
世界観のちょっとした説明です。
十三年前、世界は異世界になってしまった。
ゲームに出てくるような架空の生物、後に魔物と呼ばれる怪物達が発生するようになり、人々の髪や瞳の色が奇抜になったかと思えば、誰もが一つは超常的な力、怪力や無から火を生み出す魔法などが使えるようになった。
この十三年かで様々な事が起きたが、特に魔物発生からの約三年間は、怒涛であった。
魔物による蹂躙や強い力を持った者の暴動、それに対抗する組織創設、魔物の発生源“魔神”の特定、魔神討伐実行、そして――討伐失敗。
人類は大きな痛手を負った上に、今度はダンジョンと呼ばれる異空間が発生するようになる。
以降、魔物はダンジョンの中で発生し、一定条件を満たすとスタンピードという現象、そのダンジョンから魔物が大量にあふれるようになり、いくつもあるダンジョンの内八つには、魔王が宿り、それを倒さない限り魔神は倒せなくなった。
それから九年間、人類は辛酸を舐めながらも、ダンジョンを攻略していたところに、ある偉大な予言者が、命を賭してある予言をした。
「この予言を為してちょうど一年後、魔神をも屠る力を宿す者が現る。
その英雄、秋の空の様な澄んだ天色の髪と、人々の流した血を背負うごとくの猩々緋色の瞳を持つ者なり。
彼の英雄、強大な力を持つものの、人であること変わりなし。
故に、我々人類の心が九年前のままであれば、前回の討伐の二の舞を演じるであろう。
さすれば、人類は千年後滅亡する。この千年は猶予ではない。人類は最期の一人まで食い殺されるまでの、期間である。
力を恐れとしてだけ捉えるべからず。人と人は互いに手を差し伸べねば、生きてはいけないのだから。」
この予言が発されてから一年、予言の英雄はその世界に落とされた様に現れた。
様々な陰謀渦巻く中、何の事情も知らぬ英雄。そして、とある男の介入によって、人々の思惑を無視して事態はねじ曲がっていく。