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7年目の約束-連載版-  作者: ひろきち
第1章 7年目春~夏
74/189

全国大会①


全国大会初戦

俺たちの相手は、福島の知り合いもいるという宮城県代表の青葉高校だった。

抽選のくじ運が良いのか悪いのか・・・優勝候補の1つらしい。


「よ~し。軽く柔軟したらパスとシュート、セットプレーの練習するぞ。レギュラーメンバー中心にサブはパス出しや補助を頼む。

 割り振られた時間も余りないから無駄な動きは極力しないようにな」


試合を行う体育館に入った俺達はコーチの指示に従い練習を開始した。

いつもの練習ではあるけど、全国大会だと思うと少し緊張するな。


ちなみに今年の全国大会の開催地は千葉だ。

昨日は朝早くから貸し切りバスに乗って千葉にやってきた。一応遠征という事でホテルも確保されているけど、アクアラインを通れば自宅から行けなくもない微妙な距離なんだよね。

去年は広島開催だったから楓たちは新幹線で広島まで行ったらしいんだけど・・何だか羨ましい。


まぁそれはそれとして、隣コートで練習している宮城県チーム。優勝候補と言われるだけあり、パスも正確だし動きも切れがある。当然のことながら強敵なんだろな。まぁ各県の代表なわけだし弱いってことは無いか。


「ん?福島?」


福島が、相手チームのコーチに挨拶してる。仙台出身だし知り合いなのかな?

などと思いながら練習を続けていると、コーチから先発メンバへの指示が出された。


「今日の先発は、小宮、森野、北島、清水、田辺でいく。北島は後に福島と交代するから、第2クォーターまでで体力使い切るつもりで走り回れ。

 それから相手のポイントガードの矢代はマンマークで付けあいつは要注意だ」

「はい!」

「北島先輩。矢代は中学時代の元チームメイトですが技術だけなら俺以上です。気を付けてください」

「わかった」


福島が注意をするほどの選手か。やっぱり手ごわそうだな。


「そういえば福島、相手のコーチって知り合いなのか?さっき挨拶してたよな」

「ん?あぁ中学の時に俺を青葉高校にスカウトしてくれた人なんだよ。まぁ直前に親父の転勤が決まったし川野辺高校にも興味あったからこっちに来ちゃったけどな」

「へぇ じゃぁ引っ越してなければ俺達の対戦相手だったかもしれないのか」

「そういうことだな。変な縁だ」


-------------

試合開始

森野先輩がジャンプボールに競り勝ち、北島先輩がボールを拾う。

が、俺へのパスを矢代が素早くボールをカットし前線にパスを出した。


「福島を出さないとは随分余裕ですね。まぁあいつが出てきても僕らが勝ちますけどね」

「くっ!」


こいつ完全に俺達の事を舐めてるな。

ちょっと燃えてきた!!

と思ったものの・・・・余裕は本物でマンマークで入っている北島先輩もフォローに入っている裕也も矢代の動きに翻弄され川野辺高校のボールの支配率は低く点差も徐々に開いていった。

特に北島先輩は、試合開始から走りっぱなしで前半戦もまだ半分というのに疲労の色が見えていた。

そして第1クォーター終了間際、矢代へ向けた青葉のパスがわずかにそれた。


「清水!」


北島先輩がそれたボールに飛びつき、コート外に倒れこみながらもゴール下の裕也に向けボールを弾いた。

そして、裕也は先輩が繋いだボールを確実に決め点差は5点差に縮まった。


「先輩!大丈夫ですか?」

「あぁまぁ何とかな。とりあえず今は点差を縮めて逆転だ。残り時間頼んだぞ!」

「「はい!」」


勢いよく倒れこんだ北島先輩は、肩を負傷。

予定では第2クォーターまで出る予定だったけど、そのまま福島に交代した。


「ふっ やっと福島の登場か。君との勝負もようやくつけられそうだな」

「面倒な奴だな。お前との勝負より俺はチームの勝利の方が興味あるんだよ!」


と挨拶とばかりにスピードのあるフェイントから矢代を抜き去りシュートを決める福島。あっさり抜かれたことでちょっと矢代の顔色が変わった。


その後、温存されていた福島は予定通り豊富な運動量で第2、第3クォーターと相手の攻撃を牽制したが、本気になった矢代に福島も抑えられてしまい点差は徐々に縮まってはいるものの逆転が出来ない硬直した状態が続いた。


そして、第4クォーターも残りあとわずか。

皆の疲労もピークに達している状態で残り30秒となった。

1点差で負けている中、時間はどんどん過ぎてゆく。

と一瞬浮いてしまった相手のパスボールを福島がカットした


「田辺走れ!」


福島の指示で俺は相手ゴールに向かって走った。

前半戦から俺は交代なし。正直体は悲鳴をあげている。

ただ、疲れたとか言ってられない。後1本決めなくちゃ!

相手選手のディフェンスを抜ける様に俺は福島が相手ゴールに向けて投げたボールに向けてジャンプし、不格好になってしまったがそのままゴールに押し込んだ。そして、ほぼゴールと同時に試合終了。


「「おお!!!」」


歓声が聞こえる。

間に合ったのか?

そんな中、放心状態の俺に矢代が声を掛けてきた。


「おめでとう。悔しいが君たちの勝ちだよ。次は冬の大会で勝負だな!」

「・・・あぁ でもまた俺たちが勝たせてもらうさ!」


-------------

初戦を何とか勝利しホテルに戻った俺達。

北島先輩に付き添って病院に行っていた田中先生から、怪我は大したことはなかったので次の試合も大丈夫との連絡もあった。本当に良かった。


あ、女子ももちろん勝ちました。

恩田先輩と吉川先輩をはじめ、村田さんに浜野さん、そしてもちろん楓も活躍したようだ。ただ、流石に全校大会というべきか県予選に比べるとギリギリの勝利だったらしい。


ちなみに俺達の勝利と北島先輩が怪我をしたという話を女子バスメンバに共有したところ普段冷静な吉川副部長が慌てて北島先輩の様子を見に行ったのはちょっと驚いた。普段吉川先輩は北島先輩の扱いが雑な事が多いけどちゃんと好きなんですな。でもまぁ・・・あれは後で恩田先輩にからかわれるなきっと。



明日も試合だ。今日はゆっくり休もう・・・

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