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7年目の約束-連載版-  作者: ひろきち
第1章 7年目春~夏
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スポーツ大会のご褒美

梅雨突入の中、久々の青空が気持ちいい6月のとある土曜日。

俺達2年A組は引率の先生方と共にスポーツ大会の副賞である、高校所有の温泉施設へ向かっていた。

学校前に集合して湯河原近くにある温泉施設まで約2時間。

途中道の駅などで休憩を取りながらバス旅を楽しんだ。


「う~ん 何となくだけど空気が美味しい気がする」


宿舎は眼下に海を見下ろす山中にあった。

国道を離れて脇道に入り山林に少し入っただけなのに緑が深く都会の喧騒を離れた気分になれる。そんな場所だ。


「じゃあ各自部屋に荷物を置いたら予定とか話するから1Fの宴会場に集合。

 他のお客さんもいるから恥ずかしい行動はとらないこと。いいね!」


と温泉行を楽しみにしていた小島先生。

引率の先生は担任の田中先生と副担任の小島先生。それに小島先生の同期だという養護の三宅先生だ。


「裕也行こうぜ!」


部屋はすべて和室で、4人部屋が生徒たちに割り当てられている。

俺の同室は裕也それに長谷部、結城の4人だ。

部屋に着いて荷物を置き、窓を開けると眼下に海が見える。眺望も抜群だ。


「温泉からも海が見えるらしいぜ」

「へぇ凄いな。これなら人気があるのも納得だよ」


景色を楽しみ一息ついた後、俺たちは指示された宴会場へ向かった。


「今後の予定だけど、今日はこの後18:00から夕飯よ。遅れずにこの宴会場まで来るように。夕飯までは自由行動とします。

 お風呂は23:00までは何時に入っても大丈夫だから、早速温泉に入っても良いし近場の観光も良いと思う。

 明日も風呂は6:00から入れます。朝風呂も気持ちいいらしいぞ。

 また、朝食は8:00から。その後自由時間を挟んで12:00にここを出発します。昼食は途中の道の駅で取って学校に戻ります。

 まぁ基本食事以外は自由だ!わかった?」

「「は~い」」


と小島先生。まぁ学校の施設とはいえ移動教室とかじゃないしね。

ただ、見ず知らずの土地で"自由"と言われても悩ましいよな。。


「じゃ何か質問はある?」

「この辺り観光スポットとかありますか?」


おっ!良い質問。


「よくぞ聞いた!後で地図渡すけど、山を少し登ったところに前に話した縁結びの神を祭った神社がある。意中の人が居るなら是非行って欲しい!!」

「「わかりましたーー!!」」

「後は少し歩くが国道まで出ると県営の無料温泉や有料の日帰り温泉がいくつかある。宿舎にももちろん温泉はあるが違いを楽しむのも良いぞ」


と小島先生。何だか今日の先生は語りが中々に熱い。というか楽しそうだ。


温泉旅行の説明が終わり一旦解散。

俺は楓と合流した。


「どうする早速温泉に入るか?それとも神社でも行ってみる?」

「神社に行ってみたいな。縁結びって、今ある縁をより強固にする意味合いもあるんだって。だから、私はケンちゃんとの縁をもっと強くしたいかな♡」

「・・・何だか照れるね。じゃ早速行こうか!」


と宿舎を出て、地図にあった脇の林道を歩いた。

5分ほど木々が生い茂る道を歩くと小さな鳥居と神社が見えてきた。

市街地から離れた山林の中だけど、雑誌などでも紹介されたパワースポット且つ縁結び、恋愛運上昇の神社ということで、社務所ではお守りも売られているし、意外と参拝客も多くいた。


「うちのクラスの子も来てるけど、普通の参拝客も結構いるんだね」

「そうだな。とりあえず俺達もお参りしてこようか」


賽銭を入れ、二人の未来をお祈りする。

横を見ると楓が微笑みかけてくる。

何だか幸せだけど、1人で来ている女性が多いためかカップルを見る視線が痛いので早々に退散した。ちなみに視界の端に真剣な顔をした小島先生と三宅先生が見えた・・・・・気にしないでおこう。


その後、社務所横のベンチに座りおしゃべり。

ランニングに部活、学校と一緒に居る時間は長いけど、2人きりでのデートとか最近少なかった気がする。

心地よい風が吹く中で楽しい時間を過ごした。

またどこか2人で出かけたいな・・・


「そろそろ戻るか?夕飯の時間も近くなってきたし」

「そうだね」

気が付けば少し日も陰って来ていた。

部屋に戻ると、結城が1人で壁に寄りかかってスマホを弄っていた。


「おぅ小早川とのデートどうだった?」

「あぁ色々と話が出来て楽しかったよ。裕也と長谷部は?」

「相変わらずお熱いねぇ~

 清水達は、温泉巡りするって言ってたからギリギリで戻ってくるんじゃないか?」


温泉巡りも楽しそうだったかなぁ~

結城の居る反対側の壁に寄りかかるように座り俺もスマホを弄りはじめた。


「渋川の件。何だか迷惑かけて悪いな・・」


と結城が声をかけてきた。


「同じテニス部でも結城がそこまで気にすることないだろ?それに"友達"としてなら嫌ってるわけでもないしな」


そう。渋川さんはその後も昼休みや放課後など教室に顔を出すようになった。

ただ、俺は基本的に楓を優先して対応するので、楓も前みたいに敵意むき出しで喧嘩にはなってないし、渋川さんも引くところは引いてくれてる様に見える。


「お前らと同じなんだよ」

「ん?」

「渋川と大崎って俺の幼馴染なんだ。あいつって、親父が会社の社長やってて、ちょっとしたお嬢様なんだよ。

 そのせいか結構な我儘で、俺や大崎を振り回してくれてるわけ」

「なるほど・・・色々大変だな結城も大崎さんも」

「あぁ。何というか、もう慣れたけどな。しかし、悪気が無くて無邪気なところはたちが悪いんだよな」


という結城は何だか楽しそうにも見えた。

結城は渋川さんのこと・・・・

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