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7年目の約束-連載版-  作者: ひろきち
第2章 7年目秋~冬
131/189

冬の大会⑥

第2クォーターが終わり4点差。

逆転してもすぐにまた差をつけられる嫌な展開だが、第1クォーターに比べればその点差も少なくはなってきている。


「みんないい調子だ。このペースで残りクォーターで逆転していくぞ!」

「「はい!」」

「長谷部、横山は高田と吉見と交代だ。他のメンバもアップしとけ!」

「え!ぼ 僕ですか」

「そうだ横山!自慢の足で森下を掻き回してこい!」

「は はい!」


1年の横山はチームでもダントツに足は速いけどボールコントロールがまだまだ伴っていない。でもスタミナはあるし場を掻き回すには最適だ。


第3クォーターは継続して俺と福島が藤原と笹原をマンマークする中、開始直後からコーチの指示通り横山がコート内を走り回り相手を撹乱した。そして裕也が長谷部と連携しゴールを狙う。


「わっ」


パスを取りに行った横山の動きに思わず森下の選手がファールを誘われた。

横山は動きが速い上に不規則だから森下側もディフェンスがやりにくそうだ。

今はまだ頼りないけど技術が追い付けばいい選手になりそうだな。


フリースローは裕也が確実に決め点差は更に縮まる。

が、その後も両チーム決め手に掛けながら点の取り合いを続け2点差で第3クォーターを終えた。


そして迎えた第4クォーターでは、膠着状態を打破するため、横山を栗田、長谷部を由良に交代し俺と福島と裕也で攻勢に出た。

当然、笹原と藤原もフリーになるので森下側も攻撃は強まる。


「簡単には抜かせないぜ!」

「誰も抜くとは言ってないだろ」


ドリブルで進む福島の前に立ちはだかる笹原。

しかし、進むと見せかけ後ろから走りこんだ裕也にパス。


「ちっ 清水がフリーじゃないか!マーク!」

「遅いよ!」


裕也に振り切られていた森下の1年が慌てて追うも裕也はシュートを放ち同点。


「いいぞ!!裕也!」

「清水先輩カッコイイ!!」


女子バスメンバからの声援も励みになる。

なお、裕也は浜野さんという彼女はいるけど1年女子の人気が高い。


ちなみに裕也が振り切った1年は交代したばかりだった。森下は選手層も厚いので疲れの見えた選手を随時交代していたが、逆にそれがあだとなった形だ。


その後も福島を起点に俺や裕也で得点を重ねたが、フリーになった笹原も藤原や横田を使い得点を追加していった。

やはり簡単には勝たせてくれない。


「和君!後1分頑張って!」


森田さんの応援。

目に見えて藤原のスピードが上がり栗田と由良をフェイントで抜き去りシュートを決める。

彼女の応援でペース上げるとか・・・あいつらしいけどさ。


ってこっちも負けてられない。

由良からのリスタートを受けボールを受けた俺はドリブルで藤原を引き付けつつフェイント気味に前方で待つ福島と裕也ではなく背後に居た由良にパスをだす。

そして由良はフリーでゴールへのロングシュート。


「入らない!リバウンドだ!」


笹原が叫ぶ中、俺は一瞬ボールに目がいって隙が出来た藤原を振り切りゴール下に向かいリングに当たったボールをそのままゴールに押し込んだ。

一応は作戦通り。アリウープとまではいかなかったけど、裕也と福島がスクリーンとなって俺がボールを押し込むのをフォローしてくれた形だ。

得点はこれで1点差。

後1ゴール決めれば俺達の勝ちだ。

だが、残り1分を切った状況でその1ゴールが遠い。


そして、残り3秒。

福島からのパスを受けた俺は藤原のマークを受けながらもシュートを放った。

練習試合で藤原が決めたブザービート。

俺だって! 頼む・・・・


が、長い滞空時間を経てゴールに放たれたボールは無情にもリングに当たりそのまま試合終了となった・・・


----------------------

試合後、控室でコーチや顧問の田中先生を交え軽くミーティングを行い今日は解散となった。

本当あと一歩だったんだけどな。


「はぁ・・・・・あの時俺のゴールが決まってればな」

「いや、あれは藤原にシュートコースを塞がれていた。仕方ないさ」

「確かにそうかもしれないけど、もう少し俺が早くシュートを打ててたら・・・」

「それを言うなら俺がもう1テンポ早くパスを出せてたら」


「もう!ケンちゃんも福島君も反省は必要だけど気持ち切り替えよ!

 私達も負けたけどもう来年の事考えて練習してるんだよ。ケンちゃん達もまだ来年があるんだし、次こそ森下を倒して今年の夏みたいに男女揃って全国に行こうよ!」

「そうそう。こういうのって追われる側の方がプレッシャーもあってきついと思うよ。今度は私達が追う側なんだからさ」

「うん。2人の言う通りだよ。次負けなければいいんだよ。だから今は森下のみんなを応援してあげよ。私達の県の代表なんだし試合が無ければ"友達"でしょ?」


こういうときって女の子の方が強いのかな。

確かに楓達の言う通りだ。

まだ俺達が引退するまでには大会もあるんだし森下とは親睦試合もある。

リベンジする機会は沢山あるんだ。そこで今日の悔しい思いは晴らせばいい。


それに"友達"か・・・

確かにそうだよな。藤原も夏川さんもバイト仲間だ。

それに藤原なんて俺に恋愛相談までしてきたんだもんな(何となく役立ったみたいだし)

試合に負けたのは当然悔しいけど、今回も勝てない試合じゃなかった。

あと一歩。次こそは皆で勝てばいいんだ。


季節外れですが、この小説の中ではまだ12月前半なので、この後はクリスマスからの年末年始にバレンタインと少しイチャイチャ系の話に入ります。

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