表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7年目の約束-連載版-  作者: ひろきち
第2章 7年目秋~冬
124/189

紅葉の家庭教師③

12月に入りいよいよ紅葉の受験が近くなってきた。

第一志望は俺達が通う川野辺高校だ。


俺が紅葉の家庭教師を始めてから半年近く経ったけど、全国模試や学校のテストの結果等を見ている限りは合格できそうな成績だ。


「ケン兄。この問題なんだけど、ちょっとわからなくて・・・」

「ん?どれどれ。おっこれか。これはこの公式を使って・・・」

「おぉ!!なるほど。ケン兄の教え方って学校の先生より上手いよ」

「いやいや。そんなこと言っちゃ先生に失礼だろ」


そうそう煽てても何も出ないぞ。


「そんなことないですよ。わかりやすいし本当お上手です」

「高坂君まで。そんな事・・・あるのか?」


最近は高坂君も一緒に勉強を見てあげてるけど、彼も学校での成績はそれなりに良い方みたいで紅葉といい勝負。にしても高坂君って素直でいい子だな。


煽てられてると思いつつも褒められるのは悪くないなと思ってしまう俺。

単純なんだろうか・・・

でも、この調子で行けば来年の4月は2人とも俺達の後輩かな。


「そういえば、2人とも模試の結果だと川野辺は合格圏内なんだよな?」

「うん。ただ、余裕があるかって言われるとちょっと心配かな」

「僕もですね。数学とかは得意なんですけど英語が苦手で・・・」

「私は逆で英語は結構得意なんだけど数学とか苦手なんだよね」


なるほどな。じゃ残り期間は過去問と苦手科目の勉強中心だな。


「よしわかった!じゃ今日からは苦手科目を重点的に勉強だな。

 とりあえず、今日は少し休憩挟んで川野辺高校の過去問と小テストをやるぞ」


と俺はテーブルに試験問題を積み上げた。

俺が編入時に受けた問題の類似問題やネットで調べた高校受験用の問題などをプリントアウトしてきたものだ。結構真面目に取り組んでるんだよ俺。


「わぁ凄い。これケン兄が調べてくれたの?」

「そ。真面目に先生やってるだろ?」

「うん。ありがとう!」

「まぁありがとうは、2人が合格してからだな」

「「はい!」」


ということで早速過去問を開始。

問題はひっかけ的なところは無いものの基礎を理解していないと解けないような問題が多くてある意味難問ともいえる。

とりあえずこの日は数学と英語の設問を5問ずつ解説付きで解いた。

まぁ地味だけど受験ってこういうのの積み重ねだよな。


「じゃ ちょっと休憩したら小テストやるぞ」

「やったぁ休憩だ!」


一応勉強を教えるときは1時間前後で休憩を入れている。

あんまり続けても集中力が続かないからな。

などと思いながら次の問題のチェックをしていると


「紅葉、高坂君頑張ってるかな~」

「あ、お姉ちゃん!」

「おかえり楓。ってここ楓の家かw」

「ケンちゃんの家にしちゃってもいいんだよ♡」


楓は最近俺と同じ喫茶店でバイトを始めたんだけど木曜にシフトを入れているから、帰宅は毎回22時近く。ちょうど家庭教師の終わりの時間近くだ。

ちなみにあの喫茶店。遅い時間まで居るとマスターの趣味半分だけど賄いで夕飯も出してくれるんだよな。それも中々メニュー豊富で美味しかったりする。


「まだかかる?お土産美味しそうなマドレーヌ買ってきたよ」

「え!マドレーヌ 私好きなんだよね」

「そうだな後30分くらいかな。最後に小テストやって終わりだ」

「うん。じゃ着替えてお茶の準備でもしておくね」

「よろしく!お姉ちゃん」

「じゃご褒美に焼き菓子もらえるみたいだしもうひと頑張りだ!」


ということで締めは数学の小テストだ。計算問題中心に15分。

時間配分とかも試験では結構重要だし計算問題は数をこなすに限るということで最近は毎回最後の締めとして行っている。


数学が苦手という紅葉はところどころ悩みながら問題を解いているが、高坂君はどんどん問題を解いていく。そしてタイムアップ。


「高坂君は全問正解だね。時間も少し余ってたし以前より計算も早くなったよな」

「はい お陰様で。後、家でも問題は多く解くようにしてるんです」

「そうか。引き続き頑張れよ」

「紅葉は・・・・2問手つかずだな。時間配分考えないと最後の問題まで出来ないこともあるからもう少し配分考えてな」

「は~い」

「じゃ今日はここまで、楓がお茶入れてくれてるだろうから少し休憩して解散かな」


部屋を出てリビングに向かうと五月おばさんと楓が紅茶を煎れてくれていた。


「みんなお疲れ様」

「おぅありがとな楓」

「いえいえ」


と言って俺の隣に座る楓。


「わぁいっぱい買ってきてくれたんだね」

「紅葉って焼き菓子好きだったでしょ」

「うんありがとう!」

「どういたしまして。高坂君も遠慮なく食べてってね」

「はい いただきます」


うん。高坂君は相変わらず礼儀正しいね。


その後は、2人の中学での話しや川野辺高校の事などで盛り上がった。

そういえば紅葉と高坂君は両想いらしいけど、正式に付き合うのは高校受験が終わってからということにしているらしい。

傍から見てると普通にカップルな感じなんだけど色々考えてはいるんだな。


ちなみに・・・高坂君が居ると紅葉は非常におとなしい。

普段は俺や楓をからかってきたり時々生意気な口調で絡んでくるのにだ。

まぁ好きな男の子の前では可愛い女の子でいたいのかな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
続編もよろしく! 恋人たちの四重奏
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ