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7年目の約束-連載版-  作者: ひろきち
第2章 7年目秋~冬
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誕生日③

ジェットコースター侮りがたし・・・

ここのジェットコースターはコースの一部が海上ということで有名みたいだけど、これが思った以上に怖い。

海面に向けて急角度で下るコースター。

楓は楽しそうに声を出していたけど俺は正直余裕なかった。


「ふぅ楽しかった。このコースター良いね!」

「あ あぁ結構凄かったな」

「ケンちゃん大丈夫?少し顔が青いよ」

「あぁ悪いちょっとだけ休ませて欲しいかな」


情けないけどちょっと酔った。。。

ベンチに座り楓に貰った水を飲みながらの小休止。

そういえば、少し日も陰って来たな。


「楓、この後は何処行くんだ?」

「うん。一応私が考えてたコースはこの遊園地で終わりかな」

「そうなんだ。じゃあこの後は帰る感じか?」

「そうなんだけど、お父さん達が来ることになってるから、もう少しここでデートする感じだよ」

「え?おじさんたちが来るのか?」

「うん。本当は2人でって思ってたんだけど、お母さんたちも私やケンちゃんのお祝いしたいって。やっぱり嫌だったかな?」

「いや、そんなことないけど、いつも食事とかお世話になってるのに何だか悪いなと思って」

「そんなことないんだ・・・私は2人きりの方がよかったんだけどなぁ~」

「え、、、え~と」

「ふふ ごめん困らせちゃったね。

 でも半分は本当だよ。来年は2人きりでお祝いしようね♡」


何というか最近の楓って積極的だよな。

まぁ俺としては結構嬉しいところもあるけどな。


「おじさん達とは何時に待ち合わせなんだ?」

「19:00に六景島のゲート前だから後1時間くらいかな」

「じゃ、まだ時間大丈夫だよな。定番だけど最後に観覧車乗ろうぜ。

 ここの観覧車結構有名だったよな」

「うん!」


俺は楓の手を取り観覧車の方に向かった。

自然と楓は俺の腕に抱き付いてくる。

いかにもデートしてるって感じだよな俺達。

しかし、おじさんたちが来るのは予想外だったな。だとすると、プレゼントを渡すなら観覧車しかなさそうだ。おじさん達の前で渡すと・・・絶対いじられる。


観覧車はデートの定番ということもあり結構な列ができてたけど15分程度の待ち時間でなんとか乗ることができた。


「なんだか前のデート思い出すね」

「そうだな」


ゴンドラに乗り込んだ俺と楓は以前の遊園地デートを思い出してた。

あの時はまだ付き合いたてで緊張しながら乗ったんだっけな。

確か5月だからもう半年も経ったのか。何だか早い。


ゴンドラが高い位置に移動するとより遠くの景色も見えるようになってきた。

少し暗くなってきていたこともあり、遠方に見える湾岸地区の灯りが綺麗だ。


「人気があるだけあって綺麗な景色だね」

「・・・・」

「ん?どうしたのケンちゃん」


無口になった俺を楓が心配そうにのぞき込む。

俺は鞄からかわいらしくラッピングされた小さな箱を取り出し楓に渡した。


「楓。あのさ。これ俺からのプレゼントだ」

「え、あの・・・ありがとう。開けていいかな?」

「ああ」


俺の返事を受けてラッピングを剥し箱を開く楓。


「わぁかわいい木箱。オルゴール?」

「ああ。オルゴールもついてるけどジュエリーボックスだよ。

 中はまだ入ってないけど・・その。近いうちプレゼントするつもりだ」

「え? あの・・・それって」

「あ、ち 違う。ちゃんとしたのは2人が大学を出た後の予定だけど、恋人同士でペアリングとかしてもいいだろ?学校じゃ着けられないだろうけど・・・」

「ふふ。大学卒業したらちゃんと指輪くれるんだね。

 聞いちゃったからね♪嘘でしたは無しだよ」


少し照れながら話す俺と同じく、楓も照れているのか俺から視線を逸らしながら話しかけてきた。俺はそんな楓をそっと抱き寄せ宣言した。


「楓に振られない限りはちゃんとプレゼントするよ。

 好きだよ楓。誕生日おめでとう」

「・・・ありがとう。私も大好きだよケンちゃん。

 ケンちゃんも誕生日おめでとう」


素敵な夜景をバックに2人きりのゴンドラでのキス。

多分この先もこの日の事は忘れないんじゃないかな。


-----------------------

観覧車を降り時間までゲート付近の土産物店で時間を潰していると、時間通りにおじさん達がやってきた。


「健吾君、それに楓。誕生日おめでとう」

「2人ともおめでとう。デートの邪魔しちゃって悪かったけど、今日は私達にも誕生日をお祝いさせてね」

「ありがとうございます」

「お父さん、お母さんありがとう」

「じゃ駐車場に車を止めてあるから行こうか」

「「はい」」


おじさん達と一緒に駐車場に移動すると、車の窓から見知った2人が俺達に手を振っていた。


「ケン兄ちゃ~ん」

「こんばんわ せんぱ~い」


紅葉と高坂君だ。

高坂君も来てくれてたんだ。というかもう既に小早川家の一員なのか?


「じゃお店を予約してあるから行こうか」

「よろしくお願いします」


おじさんの車は3列シートのミニバン。

紅葉達は3列目に座っていたので、俺と楓は2列目の席に座った。

俺も楓も背が高いし3列目だと窮屈なんだよね。2列目で助かった。


「ねぇねぇお姉ちゃん デートどうだった♪」

「そ それはその。。。また後でね」

「お母さんも知りたいなぁ~ 楓と健吾君のラブラブデート♪」

「ラ ラブラブなんですね・・・」

「こらこら、楓も健吾君も困ってるだろ。それにこの後の会食で聞けばいいじゃないか」

「ははは・・・」


結局聞くんですね・・・


その後、横浜ICで高速を降り、五月おばさんの知り合いが働いているというイタリアンレストランで俺と楓の誕生日をお祝いしてもらった。


うちは両親ともに忙しい人だったから、誕生日も1人でいることが多かった。

何だかこうやってお祝いしてもらえるのも嬉しいな。


ちなみにおじさんたちが、今回俺達をお祝いしたかったのは、俺が帰国して初の誕生日だったからだそうだ。

でも、来年の今頃はうちも両親が居るわけだし、両家合同でとか言いそうな気がする。そして翌年は大学入学後初とか何かと理由をつけて毎年誕生日会が開かれそうな気がするんだけど・・・・考え過ぎだろうか?

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