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7年目の約束-連載版-  作者: ひろきち
第2章 7年目秋~冬
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体育祭②

体育祭もいよいよ終盤。

午後最初の競技は、昼食後の嫌がらせとしか思えない持久走・・・

うちのクラスからは長谷部と木村が出場する。

今現在の得点は、1位B組で2位は俺達A組だ。

この競技で勝てば逆転なんだけど・・・


「長谷部・・・ 無理すんなよ」

「あ あぁ大丈夫だ・・・」


あいつ持久走あるのに湯川ちゃんの手作り弁当を完食してたからな・・・

食べ過ぎで顔色が悪い長谷部。正直この競技は負けたとクラスの誰もが思ったけど、俺達は長谷部が真面目で義理堅い男だということを忘れていた。

ここで負けたら弁当を作った愛する彼女が責任を感じてしまうということで、頑張ったんだよなあいつ。

皆の期待をいい意味で裏切り1位優勝となった。

湯川ちゃんもB組なのにメチャクチャ喜んでた。

愛の力ってやつかな・・・・まぁ長谷部はゴールからトイレに直行したけど。


持久走優勝で逆転トップはA組。ただ、2位のB組との差はまだ僅差だ。

そして最終競技は俺が出場する障害物借り物競争。


「栗田。この競技で1位を取ればB組はA組を再度逆転できる。勝つぞ!」

「はい先輩!」


結局、この競技に何があるのはよくわからなかったけど、栗田も福島も気合が入ってるみたいだし、俺も頑張らないとな。

(でも何だろな楓も態度が変だったけど、福島も裕也も俺や栗田の方見てニヤニヤしてるし・・・やっぱり気になる)


まぁそれはそれとして、この競技は男女混成で1年から3年まで同時参加で行われる。そして、各クラス1名参加で上位3クラスにポイントが加算されるとのこと。

また、ただの借り物競争ではなく、障害物競争を終えた後、借り物のくじを引き紙に書いてあるものを持ってゴールするという中々にハードが競技だ。


「田辺。このレースB組は1年が栗田、2年が俺、3年は森野先輩だ。

 完璧な布陣。悪いが勝たせてもらうぞ!」

「それをいうなら、俺達は1年が富田さん、2年が俺、そして3年はあの恩田先輩だ。みんな100m走で1位取ってるメンバだぜ」

「くっ・・富田って子は知らないけど恩田先輩は厄介だな小宮先輩が居るし」

「ん?小宮先輩?何か競技に関係あるのか?」


何で小宮先輩なのかは謎だったけど、考えてる間もなく競技がスタートした。

競技は最初にトラックを1周走ってから障害物ゾーンを走り、借り物のくじ引きを行うという流れだ。

先頭はスタートダッシュが良かった栗田。そして俺と福島が2番手争いとなった。

栗田は元々足が速いこともあり、俺達との距離も広がっていく。

そして、障害物ゾーンで福島を振り切り単独2位になった俺がくじ引き場に近づくと1位を走っていた栗田が、借り物のくじを引き何故か固まっていた。


借り物は何だったんだ?そんな難しいものだったのか?

などと思いながらも逆転を許すわけにはいかないので、俺も2番手でくじを引いた。紙に書かれていた借り物は「大切に思う異性」

・・・だぁ!!栗田が固まったのはそういうことか!

っていうかさっきのニヤケ顔は福島も裕也も知ってたなこういう競技って事。

多分栗田のも同じような借り物なんだよなきっと。誰だよこれ考えたの全校生徒の前で恥ずかしいだろこれ・・・まぁ俺的には一択だけど。

ちなみにこれ、後で聞いたら毎年恒例のネタ競技なんだそうだ。


と栗田の方に目をやると、何か決意したような顔をして自分のクラスの方に走っていった。

あいつ・・・って応援したい気もするけど負けるわけにもいかないからな。

と俺も慌ててクラスまで戻り、楓に声を掛けた。


「楓!一緒に来てくれ」

「え?私?」

「あぁ"大切に思う異性"が借り物だ」

「「おお!!」」


クラス中からはやし立てる声が上がり楓は照れて赤い顔をしている。

まぁ・・・こうなるよな。っうかみんなこういうお題になるって知ってて俺を選んだんだろこれ。俺だけ編入生で去年の体育祭のこと知らないし。

と、一年の方でも歓声が聞こえた。

見てみると栗田が、鮎川さんの手を引いて走り出そうとしているところだった。

栗田の奴、ちゃんと鮎川さんを選んだんだな。

鮎川さんも照れた顔をしながらも何だか嬉しそうだ。


「ケ ケンちゃん早くいかないと栗田君たちが」

「あ、そうだな。走るぞ楓!」

「うん」


栗田達を眺めてるほど余裕はないよな。

俺達のクラスの応援席は1年よりはゴールに少し近い。

栗田達に出遅れはしたけどまだ間に合う。

俺は楓の手を引きながら栗田達を追った。

そして・・・・







~~~~~~~~~

「惜しかったね。ケンちゃん」

「そうだな。栗田も鮎川さんも早かったなぁ。

 でもまぁ総合得点ではA組がB組を上回ったし良しとしとこうか」

「そだね♪」


そう。勝負としては栗田と鮎川さんが逃げ切り1年B組が1位。

そして、わずかながらに送れて俺と楓の2年A組が2位となった。

これだけならB組の総合優勝が決まったんだど、3位に恩田先輩と小宮先輩の3年A組が入ったんだよね。

おかげでA組が1位を維持して総合優勝になった感じだ。

ちなみに福島は障害物で転んでしまったため、恩田先輩に抜かれたんだよな。

まぁ転びながらも4位に入れたのは流石だけど渋川さんに叱られてたな・・・お気の毒に。


こうして体育祭はA組の総合優勝という事で幕を閉じた。

代表で恩田先輩が優勝旗を貰っていたけど、何というかあの人はステージ映えするというか華やかで絵になるよな。


そして、体育祭の後は少し間をあけて、軽音部や吹奏楽部の演奏によるミニステージやダンス部のパフォーマンスによる後夜祭が行われた。

先生方や保護者、地域の方々による屋台なども出店され日が暮れるまで盛り上がった。


「楓。疲れたけど何だか楽しかったな」

「うん♪」

こうして文化祭から始まった俺達の秋の宴は終了した。

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