表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7年目の約束-連載版-  作者: ひろきち
第2章 7年目秋~冬
100/189

森下学園

10月中旬の土曜日。

今日は2学期に入って4戦目となる練習試合。中間試験前最後の試合だ。

相手は1戦目でも試合をしたライバル森下学園。

前回の試合は部長でポイントガードの笹原と副部長でシューティングガードの藤原。それに1年からレギュラーで活躍していたスモールフォワードの横田の活躍で僅差だったが負けてしまった。

夏の大会では何とか勝てたけどやっぱり森下は強い。

あれから1か月。

俺達は打倒森下を掲げて練習に励んだ。今度こそ勝たないとな。


「何だか緊張します」

「大丈夫だよ栗田。居残り練習の成果は出せるって」

「そうそう。お前珍しく頑張ってたじゃないか。

 得点は俺や健吾が取るからお前は笹原や藤原を抑えることを第一に考えろ」

「は はい」


前回はディフェンスの連携の隙を突かれて得点される場面も多かった。

3年生の守りは強かったけど、その反面レギュラーが固定化されてしまっていたので2年や1年の出番が少なく試合経験を積めなかった点がマイナスとなった。

でもまぁ今回は栗田や由良、吉見と試合形式の練習含めやるだけの事はやった。

だからこそ今日は・・・


--------------------

試合前。

浜野さんが森下の女子バスの子と楽しそうに話をしていた。

日岡さんっていう子で川北中時代のチームメイトとの事。

仲が良かったらしくて浜野さんの復活を誰よりも喜んでくれたみたいだ。

森下学園は川北地区にあるので、川北中出身者も多いんだな。


「今日はよろしくな」

「こちらこそ!今日は俺達が勝たせてもらうからな」


森下のバスケ部部長 笹原。

気のいい奴で部長同士で色々と話をしているうちに福島とはすっかり仲良くなったらしい。

この間はお互いの彼女連れてカラオケに行ったとか。

バスケ抜きにして普通に友達ってやつだよな。


そう、知り合いといえば・・・え~と


「藤原!」

「お、田辺。今日はよろしくな」

「あぁこちらこそ・・・って何処か具合悪いのか?少し顔色悪いぞ」

「ん。あぁ少し寝不足でな。大丈夫だ」

「そうか?無理すんなよ」


森下の副部長の藤原。

長谷部の実家でもある喫茶店"ラウム"のバイト仲間だ。

俺の方がバイトを始めたのが少し早かったからバイトでは一応先輩なのかな。

ラウムは高校生や大学生のバイトが多く、その大半が部活など横のつながりで勧誘している。藤原は川北中出身の湯川ちゃん経由でバイトを始めたらしい。

学生ということで入れ替わりも激しいけど、同世代が多いので中々働きやすい職場ではあるな。俺も受験で忙しくなるまでは続けるつもりだ。


そんな感じで親睦を深めている中、笹原と福島から今日の練習試合について説明があった。今日の試合はレギュラーメンバで1試合、それから1年メンバのみで1試合行うとの事だ。2試合目の1年メンバのみは若手の強化目的だ。

普段控えの1年も長い時間試合に出れるということで張りきってくれそうだ。

ちなみに女子も2試合行うので合計4試合と結構な長丁場だ。


ということで、各校に別れてアップを行った後、試合が開始された。


「栗田!笹原マーク!」

「はい!」


前回同様に笹原と藤原それに横田の速攻が川野辺に迫る。

今日の試合はディフェンスの練習も兼ねた調整として栗田、由良、吉見の出番を多く取っている。

ドリブルで迫る笹原に必死のディフェンスをする栗田。

藤原と横田は由良と吉見が牽制しパスコースを塞ぐ形でゾーンを形成していた。

と一瞬の隙をついて栗田が笹原のボールをカットし前線の俺にパスを出した。


「先輩!」

「おぅ!」


パスを受けた俺は相手選手の間を素早くドリブルで抜けシュートを放った。


[シュパ]

「ナイシュー!ケンちゃん!!」

「芳くん ナイスカット!!」


隣りのコートで練習していた女子バスメンバから声援があった。

応援は嬉しいけど、ちゃんと練習しろよ楓。

って鮎川さんは『芳くん』ってもしかして栗田の事か?

そういえば小さい頃は名前で呼び合ってたって言ってたもんな。

お・・・楓と大室さんにからかわれてる。

栗田の活躍につい言っちゃったてところか。早く告ればいいのに・・・


でも今の栗田の動きは良かったな。由良達ともうまく連携出来てたし。

俺も負けてられないな。


試合は、その後も均衡した状態で続き1点差で川野辺が勝った。

まぁ俺や裕也も何度も止められたし、栗田達も結構笹原や横田にやられたからあんまり勝った気はしなかったけどな・・・

ただ、藤原はやっぱり本調子じゃなかったな。

シュートやドリブルは相変わらず上手かったけどパスミスや判断ミスも目立った。どうしたんだろ。

もっとも藤原が本調子だったら俺たちが負けてたかも。


その後の女子の試合も村田さんや楓、浜野さんの活躍もあり川野辺の勝利。

ただ、1年生の試合は男女ともに完敗だった。

森下は男女ともに1年の数が多く選手層も厚い。

2年生が少ない分1年をレギュラーに多用しているし、その分経験もつめているようだ。人数は今更どうにもならないし、うちも1年の強化は頑張らないとな。


その後、森下と合同でクールダウンも兼ねた軽めの練習とミーティングを行った後、今日の練習試合は終了となった。


来週からは中間試験。

裕也と浜野さんは大丈夫だろうか・・・また勉強会かな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
続編もよろしく! 恋人たちの四重奏
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ