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day41 住宅購入チケット

ウィンドウから賞品一覧を開き、2,500ポイントの《住宅購入チケット》を選択して、交換アイコンに触れると、確認画面が現れる。

『はい』と書かれたアイコンに触れると、交換完了のメッセージが表示された。


アイテムボックスに《住宅購入チケット:2,500》が追加されたことを確認して、早速取り出してみる。

金券や旅行券のようなチケットだ。裏面を見てみれば、説明が書かれていた。

チケットの有効期限も、賞品交換の期間と同じ1週間で、ギルドで使うことができるそうだ。


そう言えば、カヴォロはどこの街の店舗を購入する予定だろうか。

再度ウィンドウを開いて、メッセージを送る。


『TO:カヴォロ FROM:ライ

 どこに店舗購入するか決めてる?』


『TO:ライ FROM:カヴォロ

 トーラス街にした……が、辿り着くまで確認できない。

 開店はまだまだ先になりそうだな』


カヴォロは既に購入チケットを使用した後だったようだ。

行ったことがない街の物件も購入できるのか。でも、すぐに行くことはできない、と。

俺もトーラス街にしようかな。カヴォロのお店があるのもそうだけど、海の街だなんて別荘にぴったりだ。


「トーラス街の家が良いなぁ」

「行ったことがない街でも大丈夫なんですか?」

「うん。購入は出来るみたい。でも、辿り着くまではお預けになるみたいだよ」


トーラス街に辿り着いてから購入したいところだけど、1週間以内に辿り着けるかわからない。

距離だけを考えれば辿り着けるけど、当然道中にはモンスターも出るし、レベルを上げなければ進めない。


先日、魔石を落とす竜種がこの辺りにいるのかエルムさんに尋ねた時に、カプリコーン街からトーラス街に行くには2つの道があると聞いた。

遠回りだけど、これまで通りレベルを上げながら進んで行くことができる道と、近道だけど適正レベルが高くて険しい道。竜種がいるのは後者だ。

それから、壱ノ国では弐ノ国への関所の前にヌシがいたけど、この国では2種類のヌシがトーラス街への道中にいるらしい。

詳細はわからないけど、恐らく近道のほうにいるヌシはかなり強いのだろう。


「ギルドは後から行くとして、他はどうしようか?

 作業場用に道具とか? 載っている道具のランクは……」

「エルムの婆さんから貰った道具はこれより上だぜ!」

「ふむ……カプリコーン街の作業場の物より上のランクみたいですね」

「えーと……なるほど、スキルレベル15の道具か」


カプリコーン街の作業場にある道具はスキルレベル10の道具なので、恐らくではあるが、次のトーラス街の作業場と同じランクなのではないだろうか。

そうだとしたら、トーラス街で売っているものとほとんど変わりないのではないかと予想できる。

ちなみに、生産に使う道具や魔道具は、自分が覚えているスキルの物なら、性能や品質は鑑定しなければ分からないけど、見ればなんとなくランクはわかる。

まぁ、カタログには性能やランク、品質も一緒に書かれているけど。


魔道具は俺が作りたいので、除外だ。

とは言え、今の俺の魔道具製造スキルのレベルでは、使用条件がスキルレベル15の魔道具は、残念ながら作ることが出来ない。

トーラス街に辿り着くまでにスキルレベルを上げておかなければ。


「あ、封印魔石にしようかな。黒炎属性しか封印できないし」


魔操でジオンとリーノの属性を封印できないか色々試してみたけれど、魔弾の封印は成功していない。


魔石のページを眺めてみれば、火や水、風と言った進化していない属性が封印されている魔石が並んでいる。

炎と氷がないのが残念だ。なくなっているから欲しかったんだけど。


「どの属性も50ポイントみたいだね。うーん……」


風もなくなってしまっているから多めに交換……でも、《風の宝箱》は空さんが作りたいみたいだったから、この先自分用以外で作るつもりはない。

作りたい魔道具によって使う封印魔石が変わるから悩ましい。


エルムさんに貰った封印魔石で残っているのは水属性と聖属性だ。

とりあえず、持っていない封印魔石で、使えそうなもの……火、風、水、雷、光、闇の封印魔石は交換しておこう。

数は5個ずつ……全部で1,500ポイントだ。


「残りのポイントは3,200ポイントだよ。2人は欲しい物ないの?」

「なんもねぇな!」

「私も特にありませんね」

「2人共遠慮してない? 強いて言うなら~とか、ない?」

「いえ、遠慮ではなく、本当にないんですよ。

 ……強いて挙げるのなら本、ですかね。ですが、エルムさんに貰った本を読み終わっていませんし」

「俺も、強いて言うならつるはしだったけど、ここに載ってるやつ、俺の持ってるのより性能低いんだよなぁ」

「そうなの? リーノのつるはし、性能良いんだねぇ」

「ノッカーだからな!」


ノッカーだと良いつるはしを持っているというのはよくわからないけれど、リーノがそう言うのならそういうものなのだろうと納得する。


「んー……まぁ、交換期間内に欲しい物が出てくるかもしれないし、今日はここまでにしようか」

「はい。私も考えておきます」

「おう! 俺もなんか考えとくぜ!」


賞品一覧の『カタログ化解除』アイコンに触れて、カタログを消す。

それから、アイテムボックスの中に追加されている封印魔石と、魔道具製造用のアイテムを入れている鞄を取り出して、封印魔石を鞄の中に入れておく。

魔石は小さいとは言え、一緒に入っている羽ペンと羊皮紙、それからチョークが埋もれてしまった。

エルムさんに貰った魔石と封印魔石、それから今回の30個の封印魔石で40個も入っているのだから当然だ。


先日の残りの《宝箱:中》を取り出し、早速《風の魔石》を使って《風の宝箱:中》を作る。

メモを見なくても覚えていたけれど、一応メモを見ながら魔法陣を描いて、完成。

魔石はこっちに移動してしまおう。


「よし……それじゃあギルドに行って、一軒家を買おう!」

「おー! どんな家か楽しみだな!」


宿屋から出て、ギルドへ向かう。


カプリコーン街でこれまでにプレイヤーを見かけたことは、ほぼない。

兄ちゃんの話によると、現在カプリコーン街に来ているプレイヤーは、ほとんどの時間をフィールドで狩りをしているプレイヤーばかりだそうだ。

街に留まる時間が少ないからだろうと予想できる。それと、広い街だから単純に会わないだけだろう。


ギルドの扉を潜り、受付へ向かい、《住宅購入チケット:2,500》を受付の女性へ見せる。


「住宅購入チケットを使いたいんだけど、ここで使えるかな?」

「使えますよーなるほどなるほど。一軒家ですね!

 入賞おめでとうございます! 場所は決まってますか?」

「トーラス街が良いなって思ってるよ」

「なるほどなるほど。トーラス街に行ったことはありますか?」

「ううん、行ったことないよ」

「その場合、内見を行うことができませんが、良いですか?

 それと、購入後も自力で辿り着いてもらうことになりますけど」

「うん。大丈夫だよ」

「そうですか~わかりました! えーと、ちょっと待ってくださいね」


受付の女性……ちなみに、本が持てるかと聞いてきたお姉さんだ。お姉さんはごそごそとカウンターの中で何かを探した後、カウンターの上に数枚の羊皮紙と写真、それから木箱を並べた。


「2,500ポイントの住宅購入チケットを使用してトーラス街で購入できる物件はこちらですね!

 おすすめは海の近くのこの物件ですね! バルコニーからの眺めが最高ですよ~」

「へぇ~いいね。のんびりできそう」

「ただ、海の近くの物件は値段が高いので、購入チケットで買える物件だと狭いんですよねぇ」


並んでいる羊皮紙を見比べてみても、他の物件と比べて土地の面積が小さいことがわかる。

2階建てで、1階に1部屋と……小さな部屋が1部屋。そして、2階に2部屋だ。


キッチンがないなと思ったけど、魔道具なら配管やガスを通すなんて必要がないし、どこでもキッチンに出来るということかと納得する。

ということは、この小さな部屋はお風呂かトイレを置く部屋かな。


でも、俺達プレイヤーにトイレは必要ないし……この世界の人達はどうなんだろう。

考えてみると、ジオンとリーノがトイレに行っているところは見たことがない。

そう言えば、初日に読んだヘルプページで、魔力に変換がどうこう書いてあったような覚えがある。


「んー……俺達、料理作れないしキッチンはいらないから、1階の部屋を作業場にして良さそうだね」

「そうですね。鍛冶と細工、それから魔道具製造をするには充分な広さだと思いますよ」

「2階も、1部屋にベッド3つは無理だろうけど、2部屋あるし大丈夫じゃねぇか?」

「そうだね。ぎゅうぎゅうになっちゃうかもしれないけど……大丈夫かな。

 お姉さんがせっかくおすすめしてくれたんだから、ここにするよ」

「あら~それでは、こちらを購入ということで……住宅購入チケットをいただけますか?」


頷いて、《住宅購入チケット:2,500》をお姉さんに手渡す。

お姉さんは受け取った《住宅購入チケット:2,500》を、俺達が選んだ住宅の羊皮紙に重ねて、先程取り出していた木箱の中へと入れて蓋を閉めた。

中からかちゃりと音がしたのを確認したお姉さんが、木箱の蓋を開けると、中には鍵と羊皮紙が2枚入っていた。


魔道具だったのかと、まじまじと眺めてみるけれど、魔法陣が描かれている箇所は残念ながら見えなかった。


「鍵は一度使うとなくなりますので、その後は玄関にある魔道具から登録をしてくださいね~」

「登録?」

「はい! 住居者の登録をしておけば、自由に出入りができますよ。

 それ以外の人は住居者が招待しないと入れないので、安心安全です!

 詳しくはこちらでご確認くださいね~」


そう言って、鍵と羊皮紙を2枚、それから封筒を手渡される。

ちらりと見てみれば、購入した住宅の契約書のようなものと、住宅の場所や先程言っていた登録について書かれた羊皮紙だった。


受け取った封筒に鍵と羊皮紙を入れて、アイテムボックスへ仕舞っておく。


「他にご用はありますか?」

「うーん……あ、この辺で鉱石が取れる場所を知りたいんだけど」

「一番近いのはすぐ傍にある岩山脈ですね~!

 でも、ワイバーンがでるので気を付けてくださいね!」

「それは……トーラス街への道の1つ?」

「そうですそうです。麓のほうなら、鉱石は少ないらしいですが、ワイバーンはいないので安全ですよ~!」

「なるほど」


エルムさんが言っていた竜種とは、お姉さんが言っているワイバーンのことだったようだ。

今の俺のレベルでは厳しいだろうし、採掘する時は麓かな。


「それと、岩山脈を通る時は気を付けてくださいねぇ。

 道を外れたら帰ってこれなくなるかもしれませんよ」

「ん? 迷子になる?」

「それもありますけど、道を外れてずっと歩いた場所に大昔に建てられた教会があるらしいんですよ。

 ……辿り着いてしまうと、二度と帰ってこれなくなるとか」

「えぇ……教会……? 神隠しにでもあうの?」

「どうでしょう……何せ帰って来た人がいないのでわかりません。

 ですが、岩山脈へ行った後、帰ってこなくなったって話は、実際に昔からあるんですよねぇ。

 まぁ、谷底に落ちてしまったんだろうって言われてますけど」

「ふぅん……落ちないように気を付けるよ」

「はい! 気を付けてくださいねぇ」


お姉さんにお礼を告げて、ギルドから出る。

麓で採掘も良いけど、まずは狩りだ。と、その前にお昼ご飯かな。


「狩りしつつ、岩山脈方面に向かってみる?」

「おーいいな! そうしようぜ!」

「次のランクの武器はまだ必要ないけど、オークションに出品する分の鉱石は必要だしね」

「そうですね。品質が上の鉱石を使えば、同じランクの武器でももっと強い武器が打てますよ」

「そっかぁ。楽しみだね」


話をしながら、オーナーさんのレストランへ向かう。


「それにしても教会かぁ」

「興味があるんですか?」

「んー神隠し? に、興味があるわけではないけど、大昔に建てられた教会っていうのには興味があるよ」

「なるほど。それは確かに見てみたいですね」

「確かにな! 色々参考になりそうだし!

 でもよー本当に帰れなくなったらどうする?」

「うーん……」


教会が危険な場所に建っているとか、古い建物で崩れやすいからとかで、近付かないようにとそういう話が出来たのではないかと思うけれど。

神隠しだったとしたら、それは何らかのクエストが発生したということになるのではないだろうか。

そのどちらでもなく、教会で何らかの原因で帰らぬ人……つまり死んでしまうとしても、俺達はリスポーンすることが出来るし、大丈夫だ。


「まぁ、場所わかんないから辿り着けないよね。道を外れてずっと歩いた場所とは言ってたけど」

「そうですね。教会についてもあるらしい、と、不確かな情報でしたし」

「運が良ければ……悪ければか? 見つけられるかもな!」

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