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day113 深夜の確認作業

昼と夜でメンバーを変え、狩りをすること2日。

今日は1日半続けてログインしていられるので、夜が深くなっても狩りをした。

明日……いや、もうとっくに今日になってしまっている。

朝になったら図書館に行く予定だ。


皆が寝静まる中、ステータスを確認する。


俺のレベルは55、ジオンは45、リーノは38、シアとレヴは31、フェルダは22、イリシアとネイヤが12。

イリシアはイベントに参加していた分、ネイヤよりスキルレベルが上がっている。


ジオンはイベント前に、俺は準備期間中に、リーノとシアとレヴ、フェルダは本戦終盤で魔法柱が使えるようになった。

イリシアとネイヤはさすがにまだ使えない。


どうやら魔法弾がレベル10、魔法纏がレベル5になると魔法柱を使えるようになるらしい。

魔法弾も魔法纏もレベル5までは割ととんとん拍子に上がるけど、そこからは若干時間が掛かる。

魔法柱は魔法弾や魔法纏と比べると上がりにくいようだ。


融合や封印をする為に、生産をしている時以外でも家にいる時は積極的に魔法を使っていたのもスキルレベルが上がった理由だろう。

リーノとシアとレヴは攻撃手段が魔法メインなので狩りの時も使っていたけど、ジオンとフェルダは魔法纏以外はほとんど使わない。

ジオンの場合、氷晶纏のレベルが5になっていても、氷晶弾のレベルが10に届いておらず、魔法柱を使えるようになるまで少し時間が掛かった。

それでも、一番最初に魔法柱を使えるようになったのはジオンだったけれど。


ジオンは魔法だけでなく、氷晶魔刀術のスキルも強化以外はあまり使わないので、疾風斬の魔刀術バージョンはまだ使えない。

全く使わないというわけではないけど、使わなくても強いので問題ないのだろう。


『TO:ライ FROM:カヴォロ

 起こしていたら悪い

 バーベキューはどうなったんだ?』


『TO:カヴォロ FROM:ライ

 皆で行ける場所か、皆で行く方法を考え中だよ』


『TO:ライ FROM:カヴォロ

 皆で行けないのか?』


返事を打とうとして、手を止める。

その内分かるかと思って見ていなかったけど、ヘルプを確認してみよう。


テイマーがログアウトしている間、セーフティゾーンでテント等を使って野宿が出来ると書いてあったのは覚えている。

つまり俺がいなくても、フィールドに滞在することは出来るってことだ。

それなら、パーティーを組んでいなくても、フィールドに行くことが出来るのではないかと思うけれど。


ヘルプページからテイマーの項目を開く。

さらりと読み飛ばしながら、パーティーについて書かれた箇所を探し、見つけた文字にがくりと肩を落とす。


『テイマーのパーティーに属していないテイムモンスターは敵対モンスターと戦えません。

 レベル上げに行く時は、パーティーメンバーに加えましょう!』


それは知っている。

スキル説明でも感じていたけれど、どうやら運営は詳しく説明する気がないらしい。

この世界で冒険しながら知っていってねって事なのだろう。

それに関しては俺もこれまでそうしてきたので思うところはないけれど、どうしたものか。

さすがに契約解除なんてことにはならないだろうけど、魔領域とやらに強制送還なんてことがありそうで試せていない。


試すしかないだろうか。

魔領域についての説明を探してみるが、初日に見た以上の情報は得られなかった。


戦えないってだけで、フィールド自体には出れる可能性はある。

パーティーを組んでいる人で戦いながらの移動は出来るのではないだろうか。

その場合、当然経験値は分配されないだろう。移動だけなのでそれは構わない。

まぁ、経験値が入れば皆一緒にレベル上げが出来るけど……さすがにないだろう。


『TO:カヴォロ FROM:ライ

 パーティーを組んでいない状態でフィールドに出た事がないから、よくわからないんだよね。

 ちょっと試してみる』


魔領域に行ったからって何が起きるわけでもない。

申し訳なさは感じるけど、戻ってこられる。


その場合、恐らく……リスポーン地点に行けば会えるのではないかと思う。

これまで経験した事はないけど、俺以外の誰かが倒れ、俺が倒れていない状況では、俺が噴水広場等のリスポーン地点まで行かなければリスポーンしないのだそうだ。

俺がリスポーン地点に迎えに行くまでの間は、魔領域とやらにいるのだろう。


「ライさん、何かありましたか?」

「あ、ジオン。ごめんね、起こしちゃった?」

「いえ、たまたま目が覚めただけですよ」


仮に物音で起こしてしまっていたとしても、ジオンは絶対に起こされたとは言わないだろう。

ウィンドウを見ていただけだから、起こしてしまう程の物音はしてなかったと思うけれど。


「ジオン。パーティーを組んでいない状態で、フィールドに出るとどうなるの?」

「戦えなくなると言う事は分かるんですが、それ以上の事はわからないんですよね。

 ライさんと契約した時にそうであると知ったと言いますか、ライさんを見て知ったと言いますか……」


俺の仲間になるまではそれを知らなかったということだろう。

それならば、元々の認識は違うと言う事だろうか。


「この世界のテイマーだと違う?」

「ええ、そうですね。以前お話されてましたが、私共の認識ではパーティーの人数に制限はありません。

 ですので、いくら従魔が増えようと、戦えなくなる事はありませんよ。

 ですが……従魔を増やす方はあまりいらっしゃらないとか」

「それは、テイムの成功率が理由?

 それとも、金銭的な理由なのかな?」

「両方でしょうね。その上、私共の世界の住人では、レベルを上げるのも苦労しますから」

「なるほど……」

「成功率が極めて低い事から、取得出来る方も少ないようです。

 産まれながらに持っていたとしても、生涯テイムをしないという方も多いそうですよ」


プレイヤーと同じく人気のないスキルなのだろう。

俺が楽しく過ごせているのは、皆のお陰なんだとしみじみ思う。


「試してみますか?」

「うーん……うん。試してみよう」

「では、行きましょうか」

「今から!?」

「はい。ですが、もう遅い時間ですからね。寝ますか?」

「俺は眠いわけではないけど……ジオンは大丈夫なの?」

「ええ、問題ありませんよ」


少し悩んで、頷く。

そんなに時間は掛からないだろうし、俺がログアウトした後にも寝る時間はたくさんある。

申し訳なさはあるけれど、ぱぱっと試して帰ってこよう。


皆を起こしてしまわないように、こそこそと家から出て森へ向かう。

エルフの集落から森に続く門の前に立ち、パーティーウィンドウを開き、ジオンをパーティーから解除する。


「じゃあ、行くよ?」

「はい」


エルフの集落のリスポーン地点は大きな鐘の前だ。

魔領域に行ってしまってもすぐに迎えに行くことが出来る。


門の外へ一歩踏み出す。


『警告。パーティーに属していないテイムモンスターが同行しています。』


門を潜ると同時に目の前に警告の文字が浮かんだ。

そのまま進んだ時の警告文は並んでいない。


もう一歩、足を踏み出し、ジオンに視線を向ける。

消えていないことにほっとするが、眉間に皺を寄せるジオンの姿に首を傾げる。


「どうかした?」

「全ての力が失われたような感覚がします。

 スキルも使用できなくなっていますね。

 ……ステータスが変化しているかと」

「ステータス……」


ウィンドウを開いて、ジオンのステータスを確認してみれば、ずらりと並ぶ文字が全てグレーアウトしていた。

ステータスだけでなくスキル、装備も全てだ。

パーティーメンバーに追加してみようとするも、ジオンを選択する事が出来なくなっている。


くるりと踵を返し、今しがた通り抜けたばかりの門を潜る。

再度ジオンのステータスウィンドウを確認すると、グレーアウトは解除されていた。


「皆で安全地帯まで向かうのは厳しそうだね」

「そうですね。万が一ということもありますし、別の方法を考えた方が良いかもしれません」


ジオンに守って貰いながら他の皆は素材集めをする場面はこれまでもあったわけだし、守る事自体は出来るだろう。

しかし、HPも0かそれに近い状態になっていると予想できるので、ちょっと何かに引っ掛けただけでも駄目そうだ。


ぱっと思いつくのは転移できる魔道具だけれど……。

《帰還石》は最後に訪れたリスポーン地点に戻る事が出来る魔道具なので使えない。

フィールドにリスポーン地点があるのなら出来たかもしれないけど、フィールドにリスポーン地点はない。


エルムさんに聞いてみようかな。

転移陣を作るまでの副産物の中で、何か貸して貰えないか聞いてみよう。

今の俺では以前教えて貰った副産物を作る事はできない。


家に帰り、ハンモックのある部屋に行こうとして、止める。

椅子に座って、スキル一覧を開く。


「おや? お休みになられないのですか?」

「スキルだけ確認しようかなって。

 確認が終わったら寝るよ」


たまに確認しておかないと、いつスキルが追加されるかわからない。


「では、私は先に寝ますね」

「うん。付き合ってくれてありがとう。

 おやすみなさい」


階段を登って行く足音を聞きながら、スキル一覧を眺める。

新たに追加されているスキルを見つけて、指を止める。


【魔力制御・百鬼夜行】が追加されている。魔力制御を覚えた時にはなかったスキルだ。

魔力制御のスキルレベルが10になった時に増えたのだろうか。

百鬼夜行はテイム関連の種族特性のはずなので、魔力感知はともかく他の魔力関連のスキルに反映されるのなら地獄の業火だと思っていたのだけれど。


SPは25……他の種族特性が反映されたスキルはSP30だったけど、5少ない。

そう言えば、魔力制御のSPは5だった。

SP5の魔力制御を既に取得しているから、SP25で取得できるのだろうか。

だとしたら、これを取得すると魔力制御に上書きされるのかもしれない。


兄ちゃんの件があるので、取得するか少し悩む。

魔力制御で困った事にはならないと思うけど……どうだろうか。


ええいままよとSP25を使って取得してしまう。

同時にピロンと音が鳴った。


『【従魔召喚】スキルの取得条件を満たしました』


通知音と共に現れた文字に、にんまりと口角を上げる。

俺が想像しているような効果かどうかは、スキルを取得してみないと分からないけど、今俺が求めているスキルかもしれない。


解放条件は魔力制御・百鬼夜行を覚えたから……それだけなのだろうか。

取得しただけで解放されるスキルだと、通知は来ない気がする。

ひょっとしたらあの警告文を見る事も解放の条件だったりするかもしれない。


何にせよテイマー関連のスキルなら取得しておいて損はないだろうと、SP15を使って取得する。

残りのSPが20まで減ってしまった。暫くは新しいスキルを取得する必要もないだろうし、大丈夫だろう。


ステータス画面を確認する。

予想通り魔力制御が魔力制御・百鬼夜行に上書きされている。

スキルレベルは引き継がれていない。また1から上げ直しだ。


新たに追加された【従魔召喚】の文字に触れ、早速説明を見てみる。


『テイムモンスターを1体または1人、テイマーの元へ召喚する。

 安全な場所以外での使用不可。

 召喚されたテイムモンスターのパーティー及び戦闘への参加不可。』


今回は分かり易いスキル説明だ。

使用MPは200。結構多い。


敵に合わせてパーティーメンバーを交換するなんて事は出来ないようだ。

召喚された仲間は先程のジオンと同じ状態になるのだろうか。

街や村、集落では違うかもしれないけど。


安全な場所と言うのは、魔物が沸かない場所と言うことだろう。

牧場の村や鉱山の村のような転移陣のない村に皆で行きたい時にも使えそうだ。

転移陣代の節約も出来る……まぁ、大した額じゃないし、転移陣で移動出来る時は転移陣で良いだろう。

そもそも、MPを200回復できるマナポーションの方が高いと思う。


『TO:カヴォロ FROM:ライ

 従魔召喚ってスキルを覚えたよ。

 これで皆で行けるかも』


『TO:ライ FROM:カヴォロ

 サモンとどう違うんだ?』


確かにサモンと似ているかもしれない。


『TO:カヴォロ FROM:ライ

 従魔召喚だと戦闘にもパーティーにも参加できないみたい。

 詳しくはまだ試せてないからわからないけど……試したらまた連絡するね。

 駄目でも、エルムさんに相談してみようと思ってるから、近い内に出来ると思う』


『TO:ライ FROM:カヴォロ

 わかった 食材の用意をしておく』


『TO:カヴォロ FROM:ライ

 ありがとう!』


バーベキューと図書館。

とりあえず、これでイベント前に今度やろうと決めていた事は全て達成できそうだ。

忘れている事もありそうだけど……多分大丈夫だろう。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 従魔のレベルについて質問 ログアウト中は以下の認識でよろしいでしょうか? <生産スキル>  生産可能なためレベル上げ可 <戦闘スキル>  村や街の中で模擬戦闘or空打ちでレベル上げ可?…
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