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day103 クリスタル争奪戦⑤

クリスタルを破壊してすぐは1位になれることもあったけど、人数差もあって基本は3位だ。

最初は追われる立場だったけど、今はぴったりと張り付くように追いかける立場になってしまっている。

戦力に差があることは分かっていたので、そうなるだろうとは最初から分かっていた。


中盤以降は兄ちゃん達も秋夜さん達も、侵攻組を二つに分けることなく、侵攻組全員で侵攻しているようだ。

多分20人くらいで侵攻しているのだろう。俺達の約3倍だ。


とは言え、悲観することはない……と、思う。

あまりにもポイントの差が離れていると、順位はひっくり返らないけど、差がほとんどなければひっくり返ることだってある。

4位の人達とはポイント差がそれなりに離れているので、俺達の拠点のクリスタルを破壊されない限りは3位までに入れるだろう。


「はぁ~……あ、皆おかえり!」

「あれ? みけねこさん?」

「実はやられちゃってねー……今、リスポーンしたところ」


ジャスパーさんが次の拠点を選ぶのを待っていると、ぽんっとみけねこさんが現れた。


「えー? みけねこやられたのー?」

「仕方ないじゃん。広場のど真ん中で守ってるんだから。

 まだ扉も破られてないし、上出来でしょ」

「閂で閉じてあるから、なかなか突破できないよね」

「扉の前に辿り着かれることはあったけどね。

 丸太持って来いって大騒ぎしてたよ」

「あはは~丸太持ってきたら教えてよー! 帰ってくるからー!」


みけねこさんが窓の外に視線を向けたのにつられて、俺も外に視線を向ける。

20人程のプレイヤーを相手に、広場で皆が戦っている姿が見える。


「やば、押されてる。すぐに戻らなきゃ」

「俺も行くー!」

「侵攻があるでしょ」

「少しくらい大丈夫ー! ライもいこー!」

「うん、了解」


頷いて、料理が並ぶテーブルの横に置いてある箱に向かう。

その中から水晶玉サイズの魔道具を1個手に取り、窓に向かおうとして、止める。


がちゃりと扉を開けて顔を出し、部屋の前にいるシアとレヴに話しかける。


「シア、レヴ、大丈夫?」

「誰もきてないよー」

「あのね、ライくん描いたよ!」


この場所に誰も辿り着かないまま8時間が過ぎ、退屈だったのだろう。

2人でお絵描きをしていたらしい。


「わ、格好良く描いてくれてありがとう」


部屋の扉の前にいるシアとレヴは、最後の門番だ。呪痺で足止めをして貰う。

クリスタル部屋の中で戦闘をするのは厳しそうだし、気付いた時にはクリスタルを破壊されていたなんてことになりそうだから、中に人はいない。

ここまで辿り着かれたら、遅かれ早かれ破壊されてしまうだろう。


今はまだお城の中にまで攻め入られた事はないけれど、当然、お城の中にも罠はたくさんある。

最初は1つずつしか作れていなかった罠も、2日目に2つ以上……どころか、たくさん作る事が出来た。

特に多いのが槍の罠だ。ジオンは予定していたほとんどの鍛冶を1日目で終わらせていたので、2日目にたくさんの槍を作ってくれた。

お城の中にも外にも、たくさん設置してある。

うっかりジャスパーさんが踏んでしまった事があったのだけれど……さすがジオンの作った槍だ。

半分以上のHPを持って行かれてしまったらしい。


階段の上からまん丸な大きな岩がごろごろと落ちてくる罠もあったりする。

現在は待機中だけど、シアとレヴに渡しておいたスイッチで起動が出来る。

一度起動してしまえば、岩が1階まで落ちて行ってしまうから使えなくなってしまうけど、良い足止めにはなるのではないだろうか。


「シア、レヴ、ここは任せたからね」

「「うん!」」


満面の笑みで元気に答えたシアとレヴに笑顔を返し、扉を閉めて、今度こそクリスタル部屋の窓に向かう。

窓を開いて、窓枠に足を掛ける。


「どこに行ったらいい?」

「とーぜん、ど真ん中!」

「了解!」


窓枠に掛けた足にぐっと力を入れて、飛び降りる。

ぶわっと内臓が持ちあがるような感覚が襲う。


「じゃーんぷ!」

「いえーい!」


2つある窓から、ジャスパーさんとみけねこさんが飛び降りた声が聞こえてくる。


地面が近くなってから、手に持った水晶玉を地面に目掛けて投げると、俺の体をふわりと風が包んだ。

とんっと軽い足音を立て、辿り着いた広場の中心で刀を抜く。


「ひぃやぁああーーー!!! ライさんがきたぁああーーー!!」


近くにいたプレイヤーが上げた言葉に苦笑する。

実際のレベルやステータスよりも強いと思われているのは……なんだか騙しているようで申し訳ない。

とは言え、今回のようなイベントでは、強いと思われている方が良い事もある。悪い事もあるけれど。


「えーい!」


俺の後に降りてきたジャスパーさんの言葉と共に、周囲が真っ白に染まる。


「馬鹿! 私達も何も見えないじゃない! 馬鹿!!!」

「えー? でも、なんとなくわかるでしょ?」


ジャスパーさんが作った《煌星》……所謂、スタングレネードのような魔道具だ。

スタングレネードのような魔道具とは言え、爆発音はしないので、耳へのダメージはないらしい。


ジャスパーさんは無事、トーラス街の魔道具職人さんの弟子になり、魔道具製造スキルを覚える事が出来たそうだ。

ただ……魔除けの魔道具の事しか教えてくれないとかで、狩りをしている時間のほうが多いこともあって、魔除けと《煌星》以外の魔道具は貰った本で見たくらいで、あまり作っていなかったみたいだ。

トーラス街の魔道具職人さんが教えてくれる魔除けだ。きっと俺の作る《魔除けの短剣》より、強い効果を持つ魔除けの魔道具を作る事ができるのだろう。


魔力感知で見えた近くのもやに刀を振るう。

味方のもやの形や色はある程度覚えているので、間違って斬ってしまうことはないだろう。

ダメージが入ることはないけど、衝撃はあるのでなるべくなら攻撃したくない。


《煌星》の効果が終わるまで、魔力感知で見えるもやを切り裂くように刀を振るっていく。

声は聞こえてくるけど、どうだろうか。


真っ白だった世界が元通りに戻った時、周りにいたプレイヤーの何人かがいなくなっていた。

ちゃんと当たっていたみたいだとほっと息を吐く。


「ライー! そろそろ行こー!」


後はみけねこさんに任せて大丈夫だと判断したのであろうジャスパーさんの言葉に頷く。

刀を振るいつつ入口の扉まで走る。

途中で会ったリーノに頑張れと声を掛けて、階段を登り、扉をノックする。


「俺! ライだよ!」


中からゴトンと重厚な音が響くと同時に、少しだけ扉が開いた。

隙間に体を滑らせるように中に入り、開けてくれたカヴォロに顔を向ける。


「開けてくれてありがとう」

「いつの間に外に……ああ、飛び降りたのか」

「うん。これからまた侵攻してくるよ」

「そうか。頑張ってくれ」

「うん! カヴォロも、頑張ってね」


どうやら他のクランの人達に戦い方や拠点の様子が知られているようで、最初の毒の罠を回避してしまう人も増えた。

毒の罠を回避されても、他にも罠はあるのでそこまで大きな問題はない。

HPが毒で減らない分、倒し切るまでに時間が掛かるくらいだ。

それに……他にも魔道具は用意している。これまでに使っていないからどうなるかは分からないけど。


俺は他の拠点の事について分かっていないけど、シルトさんやベルデさんが情報を集めてくれているらしい。

生産頑張る隊のクランチャットでやり取りされているので俺には見れないが、ジャスパーさんに伝わっているのなら問題はない。


「次は今きてるやつらの拠点ねー!

 うちの拠点にいるやつらが帰ってくる前に倒すよー」


残る拠点はもうほとんどない。

俺達のように防衛と侵攻で二組に分けてポイントを稼いでいるクランはもちろん、防衛に徹しているクランもあれば、侵攻に徹しているクランもある。

けれど、やはり強化が出来ていない拠点が多いからか、防衛に徹しているクランは敗退することが多いみたいだ。


最後には俺達と兄ちゃん達、そして秋夜さん達しか残らないのではないだろうか。

そうなった時……どうしたら良いだろう。

出来れば両方倒したいけど、人数も多いしレベルも高い相手だ。

侵攻して勝てるだろうか。防衛に徹して……いや、撤退ポイントだけでは2位にはなれても優勝は出来ないだろう。

撤退ポイントよりもボーナスポイントのほうが多いので、優勝を狙うなら侵攻してクリスタルを破壊しなければいけない。


疲労の溜息が漏れるが、はっとして口を閉じ、大きく深呼吸する。

兄ちゃん達や秋夜さん達と戦う前にクリスタルを破壊されたら優勝できなくなると、防衛組の皆が頑張ってくれている。

俺も最後まで気を抜かずに精一杯頑張らなければ。



【目指せ】雑談スレ part136【入賞】


765 名無しの旅人

敗退したけど30位以内はいけそう


766 名無しの旅人

うちはぎりぎり・・・

今残ってる30位以下のクランがこのまま敗退してくれたらわんちゃん


767 名無しの旅人

10位から4位はこっからあんま動かなさそうね


768 名無しの旅人

3位の生産百鬼も動かなさそう

人数差とレベル差がやっぱ出てる


769 名無しの旅人

どっちか片方倒せたらひっくり返るだろうけど


770 名無しの旅人

終了まで防衛し続けてそこでイベント終了したらどうなるん?

破壊されてなかったら撤退ポイント入るん?


771 名無しの旅人

入る 公式に載ってたろ


772 名無しの旅人

ポイント関係はギルドではほとんど教えてくれなかったよね


773 名無しの旅人

生産百鬼がここから勝つにはどうしたら良いの?

友達と賭けてるから頑張って欲しいんだけど


774 名無しの旅人

終了まで防衛して撤退ポイント貰って優勝は現実的じゃない

穴鏡VS茶色の戦闘が起きてなければ優勝できるだろうけど


775 名無しの旅人

どっちかのクリスタルは破壊しないと生産百鬼の優勝は厳しい


776 名無しの旅人

>>773

何賭けてんの?アイテム?


777 名無しの旅人

>>776

例の人の付与武器

負けた方が全力で落札して勝った方に渡す


778 名無しの旅人

いくらになるやらw

露店のほうが安くすむだろうけどw


779 名無しの旅人

最近ずっと出品されてなかったけど

イベント終わったらまた出品され始めるかね


780 名無しの旅人

武器は出てなかったけどピアスと魔道具はシルトさんの露店で売ってたね


781 名無しの旅人

魔除けの短剣すごいよ

全然攻撃されないし セーフティゾーンいらずだし

目の前で地面に刺してもぐいぐい範囲内外に押し出す

アクア街周辺くらいまでは大丈夫みたい


782 名無しの旅人

欲しかったけど辿り着いた時には売り切れてた・・・


783 名無しの旅人

シルトさんのとこで売ってたピアス、装備条件低いやつだったよね


784 名無しの旅人

一番高いので35だっけ?

5とかもあったし 在庫処分かね


785 名無しの旅人

はー無理無理

鉄壁すぎんかあの拠点


786 名無しの旅人

>>785

生産百鬼?


787 名無しの旅人

>>786

そう

侵攻してる間にライさんジャスパーさんに拠点狙われてたみたいで敗退した


788 名無しの旅人

城の中に入れたクランいないしねぇ


789 名無しの旅人

茶色も穴鏡もそれなりに固いんだけど入れないことはないしな

入れても破壊はできてないんですけどぉ


790 名無しの旅人

レベル差もあるけどさー

最前線プレイヤーって本当別格だわ

プレイヤースキルが高過ぎ


791 名無しの旅人

フルダイブでもプレイヤースキルで良いん?

身体能力じゃね?


792 名無しの旅人

どっちもでしょ

リアルで運動音痴でも頑張ればなんとかなったって話も聞くし


793 名無しの旅人

剣で戦うとかリアルでしたことない人のほうが多いと思うし結局センスもあると思う

そのセンスはプレイヤースキルってことになるんじゃないかね


794 名無しの旅人

あとは想像力?

どうしたいかとかどうなりたいかとかが詳細に分かってないとだめっぽい


795 名無しの旅人

漠然と強くなりたいだけじゃだめってことね


796 名無しの旅人

最前線プレイヤーって普段何考えて狩りしてんのかなぁ


797 名無しの旅人

どうなの星ガエルの人

何考えて狩りしてるの


798 名無しの旅人

敗退してんだから暇でしょ

教えてください


799 名無しの旅人

一言余計だわ!w

何考えてって言われてもわからんけど

ずっとモンスター見てる あと周りの人とか


800 名無しの旅人

見るって何を?


801 名無しの旅人

モンスターの動きとか弱点とか?

強いプレイヤー見てるだけでも勉強になるよ

レンさんとか 多分馬より視野広いと思う


802 名無しの旅人

人間卒業してんじゃん


803 名無しの旅人

さすがに冗談だけどw

まぁここで話聞くよりモニターで戦い方見てた方が勉強になると思う

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