day63 改築後の作業場
夜ご飯を食べてログイン。
ぱちりと目を開き、広くなった作業場をぐるりと見渡した。
ログアウトする前と比べて、いくつか生産道具が増えている気がする。恐らく石工道具なのだろう。
大工さんとの相談時に、普段の家での生活について話したところ、浴室はなくなった。
まだ水属性の水を貯めることが出来ていないので、作業場にシンクを1つ残してもらっている。
バルコニーは残してもらったが、前より狭くなっている。
その代わり、2階には広い収納部屋ができたので、石工の素材だけでなく、みんなの素材もそこに置いておけそうだ。
改築費用は360万CZ。
新しい家の購入と改築費用で、先日稼いだお金の半分以上がなくなってしまったが、満足だ。
「皆、おはよう」
「おはようございます、ライさん」
「おはよう! 朝飯行こうぜー!」
「「ライくん、おはよー」」
「おはよ」
今日の予定は、お買い物だ。まずはベッド。
昨日はフェルダには俺のベッドを使って貰ったけれど、ログアウトせずに眠ることもあるのでベッドは必要だ。
それから、作業場に置く机や収納家具の木工品を探す予定だ。
石工や鋳造でも作れるみたいだけど、何かこだわりあるならともかく、重くなる為あまり向かないそうだ。
動かす必要がないものならまだしも、素材入れは持ち運ぶこともあるので、いざ運ぼうとした時に大変だと言っていた。
俺は石工品だろうが、鋳造品だろうが、木工品だろうが持てない気がするけれど。
《風の宝箱》のように魔道具にしてしまえば簡単に持ち運ぶことはできるが、全てを魔道具にしてしまうのは、コスパが悪すぎるからやめたほうが良いと言われた。
今作業場にあるエルムさんがくれた家具が木工品なので、木工品で揃えたい気持ちもある。
俺が木工を取るという手も……魔道具の元になる生産品も作れるし、悪くはないけれど。
皆であれこれ言いながら買い物をしてみたい。これが一番の理由だ。
トーラス街のお店は、昨日の時点で7割が再開していたようだった。
今日は昨日より増えているだろう。家具屋さんを探さなければ。
露店広場で探してみても良いけど、家具はまだほとんど見かけないと兄ちゃんが言っていた。
何はともあれ、まずは朝ご飯だと考えていると、ノックの音が聞こえてきた。
「ライー? いないかー?」
「げ」
外から届いた声に、フェルダが顔を顰めた。
この声はエルムさんだ。がちゃりと扉を開く。
「入口が変わっていたから、間違えているかと思ったが……改築したんだな。
それはともかく、匿ってくれ」
「何したのエルムさん」
驚きつつ、エルムさんを中に招き入れる。
「何もしていないさ。クラーケンがいなくなったことで、海に魔物達が戻ってきていてな。
まぁ、クラーケンなんて化け物がいるほうが異常で、それが普通なんだがね」
「そうなの? 泳げないの?」
「近場の魔物なら刺激しなければ大丈夫さ。気味の悪い魚とでも思っておけば良い。
近場以外の魔物は魔除けする必要があるのだがね……それを教えて欲しいと言ってきたのさ」
「魔道具工房の人達が?」
「あぁ、そうさ。ここらの魔道具職人連中は、対化け物用の魔除けばかり作っていたせいで、本来海に撒くような魔除けのことを知らないときた。
化け物用の魔除けのほうが余程面倒だと言うのにだ。自分達でなんとかしろと追い返したがね。しつこくてな」
「なるほど」
彼等ならエルムさんに教えてもらわなくても出来そうだけれど。
せっかくならエルムさんに教えて貰いたいとか、そういう理由なのだろうか。
「で? そこの坊主、ここで何をしてるんだい?
長い間行方を眩ませておいて、のこのこライの元に現れたのか君は」
「勘弁して……ガヴィンにこってり絞られたから……」
「はは! そいつは良い! 私も見たかった!
あの坊主、今でこそ大人しくなってるが、昔はとんだ悪童だったからな。
君達兄弟は見た目と性格が逆ではないか? はは!」
確かに、フェルダのほうが、見た目は怖いかもしれない。ちょっと。
昔のガヴィンさんは、ピアスやタトゥーをしていなかったようだし。
「良かったな、ライ。この坊主の腕は確かさ。
行方を眩ませている間に、怠けていなかっただろうね?」
「……まぁ、腕は落ちてないと思うけど」
「そうかい。……ん?」
エルムさんはフェルダの左腕を見て、眉を寄せた。
「……見ないうちに呪いをもらったか。可哀想に」
そう言ったエルムさんは、フェルダの左腕に撒きつくタトゥー……呪紋から目を離した。
「どういうものか分かるの?」
「碌でもない物だということはわかるがね」
「そっかぁ。解呪する方法とかあれば良いんだけど」
「さて……強力な呪いのようだし容易ではないだろうな」
昨日の狩りでは、フェルダの限界を越えた痛みになることはなかったようだから、早急に対処する必要はないのかもしれないけれど、解呪できるのなら解呪したい。
「俺の呪いのことはともかく、婆さんに聞きたいことあるんじゃないの?」
「あ、そうだ。完成した魔法陣の消し方と、水属性の水を貯める用の魔道具のことと……水中で呼吸できる魔道具のことも聞きたいな」
「ふむ。魔法陣の消し方は教えていなかったか。魔力を籠めて消せば良いだけさ。
魔法陣を描く時、それから魔道具を完成させる時にも魔力を使っている。無意識だろうとね。
魔道具製造だけじゃないぞ。鍛冶でも細工でも、生産するときは使用しているのさ」
ジオンに顔を向けると、ジオンは頷いて口を開いた。
「スキル使用時はMPを使用したか否かは関係なく、必ず魔力を使用します。
乱れた魔力だと、良いものは作れませんね」
「そういうことだ。これからは魔力を意識して魔道具を製造すると良い。
魔力の調整が上手くなれば、今より良い物が作れるようになるだろう」
「なるほど……黒炎属性を封印する時に、壊れてしまったのも?」
「黒炎が強すぎるということもあるがね。魔力を注ぎ過ぎたのさ。
あれだけ練習したのだから、それなりの調整は出来るようになっているだろう。
あぁ、そうだ。魔法陣を消す時は、綺麗さっぱり消し去らなければ、描き直した時にまともに動作しなくなるから気をつけるように」
「うん、わかった。やってみる」
解体してもらう予定の鋳造用冷蔵庫の魔法陣で試してみようと、冷蔵庫の扉を開ける。
魔力を籠める……封印の時を思い出しながら、描かれた魔法陣を魔力を籠めて撫でるように指を動かしてみると、指が触れた場所の魔法陣が消えていった。
「できた!」
「上出来だ。前に練習した時より、魔力の調整が上手くなったようだな」
「クラーケンの時に、黒炎弾の調整したからかな?」
「ほう? 黒炎鉄の品質の調整も出来るかもしれないな。
融合でも同じことが出来るのかはわからないがね」
「なるほど。今度やってみるよ」
多分、出来るんじゃないかなと思う。
皆はどの品質の鉱石でも扱えるので、気にせず☆5の黒炎鉄を作っていたが、俺が魔道具に使うには、元となる生産品を作って貰う時に、生産品自体の品質が下がるように調整してもらわないと使えない。
それに、調整してもらっても、元の黒炎鉄が☆5だからなのか、想像している以上に燃え上がってしまうので、魔法陣を複雑にしなければいけなかった。
☆1の黒炎鉄を使ったことがないので比べたことはないけど、黒炎鉄自体の品質が低いほうが複雑にする必要がなくなることは、魔道具製造スキルのお陰でなんとなく分かる。本当に、なんとなく、薄らと。
まぁ、それでも火や炎の魔石を使う時と比べると複雑ではあるけれど。
「それと、水中呼吸か。化け物が出る前は、トーラス街の魔道具工房で売っていたがね。
そう難しいものでもないし、ライでも作れるだろう。この後の予定は?」
「朝ご飯を食べに行って、作業場の家具とベッドを買いに行く予定だよ」
「ほう。私も一緒に行って良いかい?」
「もちろん。エルムさんとお買い物楽しみだな」
「はは、私も楽しみだ。
その後、特に予定がないなら、久しぶりに修業をつけてやろう」
「うん! よろしくお願いします!」
俺よりもエルムさんのほうがこの街に詳しそうだし、お店の場所も知っているだろう。
家具選びで迷い続けない限りは、時間に余裕もある。
「それから……あぁ、水を貯める魔道具か……そう言えば昔作ったことがあるな。
確か、龍人に依頼されたんだったか。さて……」
「俺のスキルレベルじゃ作れないかな?」
「いや、依頼されて以降作る機会がなくてな。あまり覚えていないだけさ。
昔いくつか作った後、龍人の街の魔道具職人が、私の魔道具を参考に作って良いかと聞いてきてな。
毎回あんな暑い場所に行かなくて済むのはありがたいと、許可を出したんだ」
「そんな理由で……?」
「本当に暑いんだぞ。暑さに弱い種族ではないが、溶けるかと思った」
「あー……龍人の街は火口から近いところにあるから。ジオン溶けるかも」
「それは……溶けるかもしれません」
行ってみたかったけど、ジオンが溶けてしまうとなると行くわけにはいかない。
シアとレヴも暑さに強いわけではないようだし。
「当時と全く同じ物ではなくとも、いくつか思い浮かんでいるから問題ないさ。
後でこちらについても話すとするか」
「ありがとう、エルムさん」
《帰還石》も作っておかなければ。
新たにフェルダが仲間に加わったことで、闇の魔石も作れるようになる。
今作れる魔石は、黒炎、氷晶、雷、水。それから、闇は闇纏を覚えてから。
色々作れるようになったなと、改めて思う。
属性を覚えることが出来ない俺が、これだけの属性の魔石を用意できるのは偏に皆のお陰だ。
狩猟祭の時のポイントで交換した魔石とエルムさんに貰った魔石は残っているけど、あまり数はない。
封印する前の魔石と黒炎の魔石は、コンロをたくさん作った時になくなってしまっている。
クラーケンのポイントも、残りは封印前の魔石と交換することになりそうだ。
ワイバーンを倒しに行くという手もあるけれど、戦えるだろうか。
あぁでも、フェルダの種族特性もあるし、試しに戦いに行ってみても良いかもしれない。
「それじゃあ朝ご飯食べに行こう!」
◇
【ガチャ】雑談スレ part89【しようぜ!】
32 名無しの旅人
召喚石失敗したあぁああ!!!
せっかくテイム覚えたのに!!
33 名無しの旅人
俺ポイズンラビットだったわ
売ったが良かったかなぁ
34 名無しの旅人
売っても誰も買わないんじゃない?
35 名無しの旅人
>>34
テイムかサモン覚えてるなら買うんじゃね?
36 名無しの旅人
>>35
余程運に自信ないと買わないかな
37 名無しの旅人
今んとこ人型出てんのはライさんだけっぽいな
38 名無しの旅人
ライさんが召喚石だったかはわかんないけどね
まぁ時期的に召喚石だろうけど
39 名無しの旅人
ぐぬぬぬ・・・運試しに使うか
テイムとサモンどっちがいいと思う?
40 名無しの旅人
サモン⇒時間制限あり パーティー埋まらない 転移陣、食費、宿代いらず
テイム⇒時間制限なし パーティー埋まる 転移陣、食費、宿代が掛かる
両方装備代はいる
41 名無しの旅人
寧ろ装備代が一番お金かかるんだけど!
42 名無しの旅人
サモンかなぁ
パーティー埋まるの困るし
43 名無しの旅人
でもライさんみたいにたくさんいたら楽しそうだよなぁ
44 名無しの旅人
人型集めるコツがあるのかねぇ
45 名無しの旅人
だれかLUKのアクセ貸して!
LUK上げて使いたい!
46 名無しの旅人
フレンドに借りて召喚石使ったけど失敗した俺の話する?
47 名無しの旅人
LUKぅ・・・俺のLUKどれくらいですか・・・
48 名無しの旅人
LUKってなんなの!?
49 名無しの旅人
βの時は他のステータスは足せばみんな同じ数値になってたけど、LUKは人によって差があった
50 名無しの旅人
リアルLUKが関係してたりしますか・・・
だとしたら俺のLUKは地を這ってる自信ある
51 名無しの旅人
関係ないだろー
リアルの運を数値化できると思うか?
52 名無しの旅人
単純にリアルLUKがあればゲーム内のLUKの数値も高いの引けるんじゃね
53 名無しの旅人
>>52
あー
54 名無しの旅人
>>52
あー・・・
55 名無しの旅人
クラーケンのドロップの目玉は召喚石とLUKアクセかねぇ
56 名無しの旅人
いやーLUKはあるのかないのかわからんし数値もわからんし
だったら武器のがよっぽど良い
57 名無しの旅人
付与武器だもんな!
なお剣士の俺の元にきたのは鞭だった模様
58 名無しの旅人
私のアクセはLUKじゃなかったよ
水中呼吸ってやつだった
59 名無しの旅人
へー潜れるじゃん
60 名無しの旅人
海で狩りできますね!
61 名無しの旅人
他のパーティーメンバー誰も持ってないから海の狩りはちょっと・・・