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3組の現状とペナルティ

20181125 更新しました。

「教室はどの辺りにあるんだ?」


「ここからならそう遠くないよ」


 俺の質問に矢那瀬が答える。

 3組は通路の壁に跡を付けることで、自分たちの位置を把握しているようだった。

 マッピングスキルのないクラスはどこも似たようなものだろう。


「1組が問題ないなら、早速行くか?」


「ちょっと待ってくれ」


 俺は2組の生徒たちに目を向ける。

 3組に向かう前に、彼らを拘束しなくてはならない。


「どうする宮真くん。

 男のほうはオレが捕まえておこうか?」


「女の子はボクと三枝で拘束しておくよ」


「……ねぇ、宮真くん」


 二人の提案のあと、三枝が口を開いた。


「どうした?」


「途中で蜘蛛を倒したよね? あの時に手に入れた糸を使えないかな?」


 言われて俺は思い出してアイテム画面を開いた。

 そして三枝の言ったアイテムを選択する。


『アイテム名:ヒューズスパイダーの糸』


 俺はアイテムを取り出した。

 そして直ぐに三枝が鑑定スキルを使ってくれる。

 何も言わずとも俺の考えを理解してくれているようだ。


「……やっぱりだ。

 使用すると対象を拘束できるみたい」


「ならこれで拘束するのもありか」


「待って。

 確かに効果的なアイテムだけど……今は温存しておこう」


 勇希は糸を使って2組の生徒を拘束するのは反対のようだ。

 理由は幾つか思い浮かぶ。

 だから俺はその理由を問うことはなかった。


「ねぇ、あなた名前は?」


 続けて勇希は2組の女子生徒に尋ねる。


「……許斐このみ けい


「許斐さん、よく聞いてね。

 もし2組の生徒が問題行動をした場合、私は迷わず制裁を与える。

 でもこちらに従ってくれている間は、捕虜として人権を保障する。

 いいね?」


「……わかった」


「ああん!? おいてめぇ、さっきからなに勝手に仕切って――」


「伊達、やめて!」


 許斐が慌てて、赤毛のヤンキーを制止する。


「ちっ……」


「ごめん、九重……さん」


「ううん、いいよ。

 それじゃあ行こうか」


 勇希は怒った素振りなど一切見せない。

 問題行動を起こさなければ制裁を与えないと言った以上、彼女が自分の発言に嘘を吐くことはないだろう。

 だが、許斐からすればその愚直なまでの真っ直ぐさは不気味とすら感じているのかもしれない。

 その証拠に脅えと困惑が入り混じるような複雑な表情を浮かべていた。


「話がまとまったのなら行くか?」


「教室までは悠乃たちが先導するから」


 そして俺たちは、高無と矢那瀬の後に続き3組の教室に向かった。




           ※




 教室までは二度の戦闘があった。

 モンスターを倒すだけならさして苦労はないのだが、今回は2組の生徒を拘束しつつ、さらに守りつつという面倒な状況であった為、苦戦を強いられた。

 それと実は三枝に頼みこっそりと3組の生徒を対象に鑑定スキルを使ってもらったのだが、思っていた以上にレベルが低い。


 高無と矢那瀬のレベルは共に3レベルだった。

 これがもし5人パーティで平均3レベルであるなら話は別だが、二人パーティであるならかなり厳しい状況と考えるべきだろう。

 もし二人が3組で最もレベルの高い生徒であったなら……この先、生き残るのは厳しいかもしれない。


「……もう直ぐだ」


 高無が口を開いた。

 すると視界の先に教室の扉が見えた。

 どうやらあそこが3組の教室らしい。

 やはりどのクラスも扉の形状は同じようだ。

 そして扉の前に立つと、高無が扉を開く。


「入って」


 言いながらまずは矢那瀬が教室に入った。

 そのあとに俺たちは続いていく。

 室内には項垂れている生徒が数名。

 明らかに表情は優れない。

 陰鬱とした空気が教室内に充満していた。


「悠乃ちゃん!?」


「一度、戻ってきたんだぞ。

 実は……」


 矢那瀬は俺たちに助けられたことを、クラスメイトに伝えた。


「あの……悠乃ちゃんと、高無くんを助けていただいてありがとうございます」


 教室にいた生徒数人が感謝と共に頭を下げる。

 やはり高無と矢那瀬はクラス内でも中心的な人物に当たるのかもしれない。


「助られたのは偶然だから」


「それでも二人が無事だったのは1組のみんなのお陰なんだろ?」


 控えめな勇希に対して、3組の生徒はもう一度深い感謝を口にした。


「1組のみんな、タウンに来てほしい。

 3組の状況を知っておいてほしいんだぞ」


 タウンに何があるのか?

 そんな疑問を抱えつつ、俺たちは言われるままに歩きだした。




        ※




 そして向かったのはタウン内の最上階にある一部屋。


「……絶対に大声をあげないでくれ」


「約束してほしいの」


 高無と矢那瀬の二人に念を押される。

 何が隠されているのか?

 そんな疑問を感じつつも、俺たちは頷くと……キキィと軋むような音と共に扉が開かれた。


「ぇ……」


 三枝が声を上げそうになるのを必死に抑える。

 だが恐らく俺も厳しい表情を浮かべていただろう。

 室内のベッドには二人――寝かされている生徒がいる。


「ぁ……ああ……あああああああっ!? いたい、いたいよぉ……いたい!!」


 縄で四肢を拘束された生徒が苦悶の表情を浮かべながら、叫び声を上げた。

 男なのか女なのかはわからない……なぜなら――ベッドで泣き叫ぶ生徒の姿は人間と化物が混じったような……そんな異常な容姿をしていたのだから。


「これが3組。

 そして……今の悠乃たちのクラスの現状だよ」


 悠乃が真っ直ぐ俺たちを見つめる。

 その瞳は俺たちに『これがペナルティの一つ』であると訴えているようだった。

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『ダンジョン・スクールデスゲーム』
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