VS羅刹 ファーストバトル
20180211 更新1回目です。
久しぶりの感覚。
圧倒的な全能感。
俺は羅刹が召喚したモンスターたちを直視する。
先程まで感じていた恐怖は既にない。
(……負ける気はしない)
オリジナルスキルの効果は15分。
その間に――このモンスターを全員片付けて、羅刹を行動不能に追い込む。
(……いや、そんな甘い考えじゃダメだ)
羅刹が俺たちを殺すことに躊躇いがないのなら――。
「ぶわああああああああああああっ!」
ボブゴブリンが咆哮を放ちながら、その巨体を揺らしながらこちらに迫る。
1階層では殺されかけたモンスター。
だが、あの時のような抗えぬ絶望感はない。
俺を捉えようと、ボブゴブリンは両手を伸ばす。
「邪魔だ」
羽虫を払うように、俺は軽く手を払った。
バン――ただそれだけのことで、ボブゴブリンの丸太のような腕が消し飛んだ。
そして――
「じゃあな」
右拳を握り、だらしなく膨らんだ腹部を全力で殴り付ける。
パン! 風船が弾けるような音が聞こえた。
それが、1階層でボスだったモンスターの最後だった。
「? ……一撃だと……?」
意外そうな声音と共に、羅刹の顔が歪んだ。
その表情からは、微かではあるが動揺を感じた。
「な、なんだ!? 今のは!?」
「宮真君が……やったの?」
「流石だぜ、宮真くん!」
「何か隠しているとは思ってたけど……これが、ヤマトの力……」
だが、羅刹以上に動揺を見せたのは、1組、5組の生徒たちだ。
反応は様々だが、彼らの声には驚愕と興味が含まれていた。
だが、俺の力について説明している暇はない。
「次だ」
次の目標に視線を向ける。
2階層のボス――瞬殺していまったこともあり、名も知らぬモンスター。
「――炎の矢」
最も使い慣れた魔法、のはずだった。
だが――魔法名を口にした瞬間、放たれたのは火矢ではなく、地獄を連想してしまうような轟炎だった。
――ブバアアアアアアアアアアア。
「―――――――!?」
モンスターから、声にならない叫びが上がった。そして、苦痛に歪む表情すらもその業火に焼き尽くされる。
「後、1体……」
もう1体は初めて見るモンスターだ。
鬼……いや、漆黒の翼を持ったその化物は、悪魔と形容すべきだろうか?
俺が2体のボスモンスターを屠った後も、ただ俺の様子を窺っている。
何か行動を起こす気配すらない。
「思ったよりもやるじゃねえか。
お前……オリジナルスキル持ちか」
俺はその質問には答えることなく――目前のモンスターに疾駆する。
身体が軽い。
自分でも驚くほどの速さで駆け抜け、一瞬で悪魔に迫った。
俺はその顔面を殴り付ける。
確実に捉えた。はずだったのだが、
(……なんだ?)
攻撃が直撃した瞬間、闇の粒子が弾け飛ぶ。
だが、倒したわけではない事は直ぐにわかった。
闇の粒子となり顔面が消えた状態のまま、モンスターの腕が動いた。
「っ……」
モンスターの鋭い爪が正確に俺の喉元を狙う。
当たれば致命傷となる一撃を、俺は瞬時に避ける。
(……こいつ、物理攻撃が効かないのか?)
いや、考えるよりも試した方が早い。
俺は炎の矢と雷撃を同時に放った。
すると悪魔は翼を羽ばたかせ、回避行動を取った。
「なるほど。魔法によるダメージはあるのか」
魔法ダメージも無効化するのであれば、回避行動すら取らなかっただろう。
ダメージを与えることが出来るのなら、倒すのは難しいことではない。
だが、
「……ルシフェル、もういい」
支配者の命を受け、悪魔の姿は消えた。
「……挨拶はこんなとこでいいだろ。
そこそこ楽しめたぜ」
唐突に戦いは終わりを迎える。
「逃がすと思うのか?」
俺は即座に動き、羅刹に攻撃を加える。
が――羅刹の全身が闇に包まれる。
「……そう急くなよ。
この世界は始まったばかりだ。
まだまだお楽しみこれからだろ?
それに――今回は種を蒔いただけに過ぎない。
次はもっと面白くなる。
それをしっかりと見届けねえとな」
種……?
一体、何をしたと言うのだろうか?
言いたいことだけ伝えると、羅刹はそのまま闇に呑まれるようにその姿を消したのだった。




